#-01:おでん屋台のロボおやじ
【小説内の記号ガイド】
* 「」:登場人物の会話。
* 《》:通信などの隠密会話。
* ():登場人物の心の中の声。
* []:AIの初期状態。アナウンスUI。
* ▶ :カメラアングルを動かす、最小限の状況ナレーション。
* ━━:カメラを別の場所・時間へ飛ばす場面転換。
* /////:キャラクターの赤面演出。
▶ 話は、少し前にさかのぼる。
おでん屋台のおやじは営業中にトラックが突っ込んできて重症を負う。
脳だけが生き残り、生命維持ユニット越しに医療関係者と
話し合った結果、おやじは格安ロボキットに脳移植することを決意。
ほどなくして、おでん屋台業を復帰。
常連客は姿形が変わり果てたおやじに対しても分け隔てなく接してくれて、
店はそれなりに繁盛している。
今日のお客は藤岡夢重工の社長と
側近の女性が飲みに来ている。
社長「おやっさん、身体の調子はどうだい?」
ロボおやじ「おかげさまで」
社長「お金のことは気にしなくていいからね」
社長「いつでも、ゆっくり返してくれたら……」
社長「というかおやっさんのデータ取りで返済、チャラって話にしたいんだが……。どう?」
ロボおやじ「私のような格安ロボキットのデータが需要があるのですか?」
社長「そのロボにおやっさんが宿ってることに価値がある。引き受けてくれるかい?」
ロボおやじ「……ありがとうございます。今夜は奢らせてください」
社長「あー、んじゃそこは甘えようかなw」
側近の女性「社長!ダメです!(電子)決済するんで、ちょっといいですか?」
ロボおやじ「いや本気で奢りで……」
側近の女性「だーめぇでーすぅ」
ロボおやじ「……ありがとうございます。今後ともご贔屓に」
社長・側近の女性「「こちらこそでございますよ」」
▶ お勘定を済ませ、その帰り道……。
側近の女性「しゃちょー、はじめから全然お金取る気、なかったですよね?」
社長「あ、うん。だってあのおでん屋、むかしっからのファンだから」
側近の女性「私、知ってるんですから。ウチの会社のメインストリーム事業じゃないのに、役員会議でムリ行って、あのプロジェクトを押し通したのを」
社長「かなわないな、君には。うん、君の言うとおり」
社長「ただ、あのおやっさんのケースがウチにとって重要なデータだってのも本当。会社の利益も一応考えてはいるのだよ。えっへん。」
側近の女性「しかもあれ……、格安ロボキットの皮被った、中身別物の最新パーツが組み込んでありますよね?アレ、大丈夫なんですか?」
社長「その辺もちゃんと役員の方々に了承取ってある」
社長「レトロ趣向のお客さんのニーズに応えるためのモデルケースとしての開発、という名目で予算確保して、あのおやっさんにしてある」
側近の女性「抜け目ないっすねー……」
社長「どーだ!まいったか!!」
側近の女性「その小学生みたいな返しがなんとも……。
でも、嫌いじゃないですよ」
社長「嫌われたら泣くわ~♪」
▶ 数ヶ月後。
ロボおやじ「社長、突然の御電話申し訳ありません」
社長「別にいいよ~♪ちょうどまったりしてたんで。んで、どしたん?」
ロボおやじ「先月末に私の預金口座を見たら、御社宛てでスゴイ金額が振り込まれていたのですが……、これはもしや、あの件ですか?」
社長「そうそう♪ おやっさんからいただけたデータで様々な事情で身体を失った多くの方々がサイバネス技術で助かっている」
社長「その事業報酬のほんの一部を、開発に携わってくださったおやっさんにもお裾分け~♪」
ロボおやじ「お裾分けのレベルを超えている金額なのですが……、その……、よろしいのですか?」
社長「よろしいも何も、それはおやっさんの正当な報酬です。受け取ってもらわないとコチラが困るw」
社長「屋台設備のアップデートにでも使ってください♪ また食べに行かせてもらうんで♪」
ロボおやじ「それに使っても余り有りますが……、本当に……、ありがとうございます」
社長「ちょうどよかった。別件で相談があって」
ロボおやじ「何でしょう?」
社長「おやっさん、ボディパーツ、まるっと新しくする気、ない?」
ロボおやじ「と、いいますと?」
社長「今度あたらしいサイバネスボディをリリースするんだけど、
そのベータテスターになってくれないかなと。もちろん別で報酬は出ます」
ロボおやじ「お断りします」
社長「決断早いねw 何で?w」
ロボおやじ「私は社長に与えていただけたこのボディに愛着を感じています」
ロボおやじ「そしてもうこの身体で動くテンポやリズムが染みついてしまった」
ロボおやじ「今更最新のボディに乗り換えでもしたならば、ムズ痒くなりそうです」
社長「なんとなくそういう風に言われるとは思ってたw 即答とは思わなかったがw」
社長「んじゃ引き続きその身体で生活できる様にコチラも動くんで、なんかちょーし悪いとかあったら遠慮なくいってねー♪」
社長「そうそう、またまた話変わりまして♪」
ロボおやじ「はい」
社長「しばらくおやっさん、お休み取れないかな? 今回の報酬でたぶん数年働かずに済むくらいな状況かと思うのだけど」
ロボおやじ「そうですね……、今まで働き詰めでしたから……」
ロボおやじ「それもいいかもしれません。以前から行きたかったところへ一人旅でもしてみようかと思います」
社長「あー!あー!その前に!旅立つ前にロボティクスワーカー・グランプリ観にいかない?株主優待でチケットが3枚余ってる。君も行くよね?」
側近の女性「行きますっ!」
ロボおやじ「あの人型ロボットでフォーミュラレースをする催しですか。それ、私も前から観てみたかったので助かります。喜んでお供させていただきます」
社長「んじゃ決まり!日程は9/23でいいかな?」
ロボおやじ「ありがとうございます。それでお願いします」
社長・側近の女性「「たのしみぃ~♪♪♪」」
━完━
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【ロボティクスメイカー|設定紹介】
ロボティクスメイカーの公式サイトはコチラ↓
https://robotics-maker.jimdofree.com/
今回のSSの絵はコチラ↓
https://x.com/FDFyukiharu/status/2029506712252887377?s=20
本編第1話の前日譚です。
本編第1話はこちら▼
https://ncode.syosetu.com/n9533le/5




