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ロボティクス・メイカー  作者: 藤岡 幸春


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10/27

#-01:他を生かすために闘う ―That others may live Fight―|セイジ&キョウコ|パート1

本編第1話の前日譚です。

本編第1話はこちら▼

https://ncode.syosetu.com/n9533le/5


<シリーズ解説|#-01:他を生かすために闘う ―That others may live Fight―>

第1話:#-01:他を生かすために闘う ―That others may live Fight―

第2話:#-01:他を生かすために闘う ―That others may live Fight―|セイジ&キョウコ|パート1

第3話:#-01:他を生かすために闘う ―That others may live Fight―|セイジ&キョウコ|パート2

完全版(第1話~3話統合加筆版):#-01:他を生かすために闘う|完全版 ―That others may live Fight―



▶ 西暦2043年。C.F.N軍基地内務班。


▶ キョウコ視点の回想。



キョウコ・コバヤシ管制官「……つ、付き合ってください!で、できれば、お友達から、でも……」


セイジ「……」


キョウコ「……だ、ダメですか……?」


セイジ「……」


キョウコ「……」


セイジ「……その、君が言っているのは【男と女として】交際を、【この俺に】申し込んでいる、という認識で、まちがってないか?」


キョウコ「は、はいっ!」


セイジ「……」


セイジ「……気持ちは嬉しいが、よく考えた方がいい。今、俺は28だが、君は今、いくつだ?」


キョウコ「18です……」


セイジ「……もっと君に相応しい人が居るハズだ。ましてや俺はSQBのパイロット。今度RWへの適性試験も受ける。おそらくそれにも合格し、俺はRW乗りになるだろう」

※SQB:作業用ポッドを戦闘用に改造した兵器

※RW:ロボティクスSQB(RW)。搭乗型汎用人型兵器。全高15メートル。


セイジ「近隣諸国(A.S.I軍)とのキナ臭い情報も飛び交っている。俺はいつ死ぬか、わからない」


セイジ「こんないつ死ぬかわからん年寄りを相手にしているヒマがあったら、同期の若い男にでもアプローチするのを勧める」


セイジ「それじゃ、俺は訓練があるのでこれで失礼するよ」


キョウコ(わたしは、あなたに憧れて、軍に入ったのに……)


▶ SQBやRWを管制する管制官の私は学生時代、職場見学でこの軍に来た事がある。

その時、セイジは18歳。まだ配備数も整っていない、当時最新鋭のSQBをセイジは任され、輝いていた。


18歳のセイジは学生時代の私、つまりまだ8歳の私に嬉しそうに自分のSQBを紹介していた。


俺はこのSQBで宇宙を駆け巡り、地球のみんなを護るんだ!そう、彼は息巻いていた。


その少年のような姿に私は魅かれ、基地祭など民間人が軍と接触できる機会があれば全部参加した。勉強もした。


倍率の高かった管制官の職にも主席で合格した。成績が良くないと、優秀な彼のサポートが出来ないと思ったからだ。


そして今、私はようやく彼の前に居る。兵科、階級は違えど対等な立場だ。

ようやく、彼が手の届くところに居てくれる。


正直私の同僚の応援、背中押しも強烈だったのもある。

だから今回の告白だ。


彼の身辺調査も進めていた、というか同僚が勝手に調べ上げて、勝手に私に情報を渡した。

なんでそんなに協力的だったのかはわからない。単純に同僚の趣味なのだろう。歳の差のロマンスというやつに。

あぁ、そういえば最近のTVドラマでちょうどそういうのが流行っていたのを思い出す。タイトルは忘れたが。


面白がっているでもなんでも協力してくれるのは有難かった。

なんでも10年来の恋だ。なんとしても実らせたい。

私は努力してここまで来たんだ。


なんで私がここまでお熱かって?

聞きたい?聞きたくなくても聞かせてあげる。

実は彼に助けられたことがある。


私が6歳の頃。パパとママに遊園地に連れて行ってもらった。



━━2031年、【ミニWMD】付帯施設遊園地

※ミニWMD:日本を基点に建造されたWMD本格建造のための実験施設。ミニサイズのWMD。

※ウェルカム・マスドライバー:略称「WMD」。宇宙資源を迎え入れる巨大なレール。レールの中は住居になっている。



園内アナウンス「【ミニWMD】弁当は残り10セットですっ!」


園内アナウンス「【ミニWMD】ジェットコースターのチケット売り場はコチラ~♪」


キョウコ(6歳)「ママっ!次!あれ乗りたいっ!!」


キョウコのママ「まだキョウコは6歳だから、ジェットコースターは初心者コースしか乗れないわよ?」



▶ ジェットコースター初心者コース=全体の30%ほどの高さまで。

【ミニWMD】の構造物を利用したジェットコースターが、本施設の目玉アトラクションだ。


▶ しかし【ミニWMD】の全体は使っていない。

【ミニWMD】の最大のレール高さは大気圏付近まで存在しているので、

上級者コースでも生身で乗れる高さまでしか存在しない。


▶ 業務用の昇降エレベーターは【ミニWMD】全域を昇降できるように作られており、

これは【ミニWMD】施設の点検用エレベーターなので業者しか搭乗できない。

業者間では俗称で「ジェットコースター超上級者仕様」と冗談めかして言っている。

宇宙服の着用は必須である。



キョウコ「初心者コースでもハンパないわ……」



▶ キョウコは初心者コースで十分満足したようだった。



キョウコ「ママっ!次!あれ!観覧車乗りたいっ!!ひとりでっ!!」


キョウコのママ「えー?危ないわよ?」


キョウコのパパ「ちょっと心配だな……」


キョウコ「キョウコはもう6さいなのよっ!立派なレディーなのよっ!!」


キョウコのママ「もぅおませさんなんだから……。しかたないわね……、パパ、私たちは近くのカフェでお茶でもしましょうか?」


キョウコのパパ「……うむ、……そうだな。キョウコ、たのしんでおいで♪」(めっちゃ心配だけど)


キョウコ「ありがとうっ!!」



▶ はじめのうちは順調に観覧車は動いていた。【はじめのうちは】


▶ しばらくして……、なんと、観覧車が止まった。しかも一番上の位置で。

一番上の地面から最も離れた位置のゴンドラの中に私は閉じ込められた。


▶ パパとママの反対を押し切ってひとりで乗ったので私ひとりぼっち。

寂しい……、というか!今!私は!!

猛烈に!もう!ダメだ!!ゲンカイだっ!!(トイレ的な意味で)

……と、その時!



セイジ(16歳)「俺っ!ちょっと行ってきますっ!おやっさん!SQB借りますっ!!」


整備班長おやっさん「あ、ちょ、ちょっとぉっ!おぃ!!まだソイツは推進剤がっ!!……あー行っちまぃやがった」


整備班員「今動けるSQBはアレだけ。他はオーバーホール中。そこまで見越して、あえて推進剤充填中のSQBで出た彼なら……」


整備班員「他の現場で詰まってる救助隊が来る前に、推進剤が尽きる前に、助けられるんじゃないですかね」


整備班長おやっさん「お前、若いのに、妙に悟ってるとき、あるよな?」


整備班員「えっ?俺、こう見えて今度40歳ですけど?」


整備班長おやっさん「お前さん、そんな年齢やったんか……。まぁ前の基準だとお前さん26歳くらいになるものな。まだまだ若々しいか。今時寿命150年だからな。しかし、助かるといいな、アレ」


整備班員「大丈夫ですよ、彼なら、きっと」



▶ 彼、セイジ(16歳)の駆る飛翔ユニットを取り付けた作業用SQBで助けに来てくれた。

私は、お姫様抱っこされて助けられた。トイレはギリ間に合った。彼のおかげで。

だから、私はその時から彼に夢中。



キョウコ「………」


キョウコ同僚「おーぃ?元気かー?生きてるかー??おーぃ?」


キョウコ「あ、ごめんなさい。何?」


同僚「見事にフられてたわね。まぁ……、ドンマイ」


キョウコ「あ、ありがとう」


同僚「じゃーん」



▶ 彼はロボットSFモノの映画チケット2枚をキョウコに差し出した



同僚「これで今度、彼を誘ってみなさいよ。ただ映画観に行くだけ、しかもこの男の人が好きそうな映画だったら一緒に行ってくれるかも」


キョウコ「そ、そうね。ちょっとチャレンジしてみるわ」


同僚「いてらー」ノシ



▶ 同僚はキョウコを送り出した。


▶ それからキョウコはめげずにいろいろとアプローチをがんばった。

映画に誘ってみたり、食堂の隅で待ち構えて偶然を装ってセイジの隣の席に座ったり。

スポーツはニガテなのに、セイジのトレーニング時間を狙って隣の席で、

ムリしてサポート無しで重量挙げをして失敗しそうになってセイジに怒られたり。

そこまでしてもセイジが全然キョウコになびかないので、ついに同僚が動き出した。


▶ セイジのサプライズ誕生日パーティーを企画した。

暗い部屋にセイジを呼び出して、部屋の灯りをパッと付けたら同僚の皆でお祝いする、そんな企画だ。

しかしそこに同僚の皆は居なかった。

暗いウチにセイジとキョウコだけ残して、皆、どこかへ行ってしまった。

いや、部屋の隅で二人の様子をガン見していた。

いけー!いけー!と皆で念を送っていた。二人の恋が実るように。


▶ そこから、恋人、とまでは行かないが、セイジとキョウコはよく二人で居ることが多くなった。

主に軍施設内の食堂とか、ではあるのだが。

しかしキョウコはハンガーにもよく行くようになり、

セイジが割り当てられたばかりのRWの機体チェックでハンガーに入り浸りになっているときに、

彼の好きそうな、その場で食べられるものをよく差し入れに行った。

彼は喜んでそれを食べた。RWの前で少し話もした。

他愛の無い話だ。



キョウコはセイジとのデートで【ミニWMD】付帯施設遊園地にも行った。

ジェットコースター上級者コース=全体の100% に乗ることができた。



キョウコ「上級者コース……、恐ろしい子っ!」


セイジ「……お、そう……だな……」


▶ セイジでも結構クるものがあったようである。



…………



……だけどその時間のひとつひとつが【俺は】楽しかった。本当に、楽しかった。

彼女も【キョウコも】おそらく楽しんでくれていたんじゃないかと想う。



セイジ「本当に、あの頃は、楽しかったんだ……。だけど、俺は、もうあの頃には、戻れない」



…………



━━地球。西暦2053年。



セイジ「俺はMIA(作戦行動中行方不明)になってしまった」


セイジ「しかし俺は助かった。助かってしまった」




セイジ「運良く救難艇に拾われ救助された。しかしトラブルで地球へ不時着。救難艇のみんなは助からなかった。生き残ったのは俺だけ」


セイジ「救難艇の無線は使えない。軍との連絡も取れなかった」


セイジ「途方に暮れていると脚のケガのせいで再び意識が飛んだ。また目が覚めると不時着した先の集落で俺は看病をしてもらえていた」


セイジ「ケガの処置が遅れたせいで以前のようには歩けなくなってしまった」


セイジ「しかし俺は体調を快復させ、この救われた集落で働かせてもらえることになった。といっても歩けなくなってしまったので出来ることは限られてくるのだが」


セイジ「農業を手伝わせてもらったり、農機具の整備をしたり。今ではこの穏やかな日常がとても気に入っているし、癒しだ」


セイジ「それとここは田舎の村だが、多少ネットワーク設備も整っているので、それら機材の保守点検整備も一手に任せてもらっている。有難い」


セイジ「そんな穏やかな日常が続いたので、もうこのままMIAのままでいい。ある日、俺はそう思った」


セイジ「あとで聴いたラジオで知ったが、一応、俺の国はあの戦争で勝ったみたいだ。WMDの利用権利も奪還したようだ」


セイジ「しかし今となってはそんなことはどうでもいい。少年兵相手に戦わされたし、本当にもう、何もかもが疲れた。」



セイジ「少年兵は助けられなかった。彼は、俺のRWのブレードに飛び込むようにして、最期を……、迎えた」



セイジ「うん、そうだ。俺は少年を殺してしまった。ここが一番、俺が立ち直れない原因だ」


セイジ「俺の仲間はあの少年に殺されたが、できれば少年は救ってやりたかった。だが、ムリだった。相手の動きをさばき切るのが精一杯だった」


セイジ「もっと俺が強ければ……、あるいは……、と、今でも悔やむ」


セイジ「操縦桿越しに伝わるあの感触が、数か月たった今でもリアルに思い浮かぶ。感触がはっきり今でも残っている」


▶ セイジは胸ポケットにしまっていた写真を見る


セイジ「今でも彼女、キョウコのことは、気になる。逢いたいとも思う。できればあの時の約束を果たしたいとも思う」


セイジ「赦してほしいとは言わない。ただ彼女に会って一言詫びたかった。しかしもう、本当に疲れてしまった。その気力が俺の中に残されていなかった。俺はここで骨をうずめるつもりだ」


▶ 集落住民の少女がセイジにゆっくり近づいてきた。セイジを最初に発見して看病した少女だ。


集落住民の少女|パニア・エンデバー「アナタ イツモ カナシソウ ドシタノ?」(あなた、いつも悲しそう。どうしたの?)


セイジ「あぁ、いや……、別に何でもないんだ。何か今日はやることは、あるかぃ?」


▶ セイジが身動きしようとしたその時、彼女の写った写真が地面に落ちた。


パニア「コノヒト、タレ?」(この人、誰?)


セイジ「あぁ、俺の彼女、でもないな……。ただの……、ただの友人だ」


パニア「クワシク、キカセテ」(詳しく、聞かせて)


▶ セイジは、はじめて自分の事の顛末を少女に詳しく話した。

今まで詳細は伏せて、ごまかし続けて現地で働かせてもらっていたが、

彼女のアーモンド色のまっすぐな瞳に見つけられると、

自分でも驚くくらいに、つらつらと少女に、

置いてきてしまった彼女、キョウコとのこれまでの想い出を詳しく、話した。話してしまった。


パニア「……」


パニア「……」


パニア「…………」


セイジ「あの……、パ、パニア? どうしたんだ?」


パニア「……アナタ! クニ……! カエラナキャ……! タメ!!」(あなた!自分の国へ!帰らなきゃ!ダメ!!)


セイジ「いや……、でも……、」


パニア「タメ! アルケナイ ヤクタタズ! …………デテケ!!」(ダメ!歩けない役立たず!出ていけ!!)


▶ 少女は大粒の涙を流しながら男にそう言った。



To be continued...


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【小説内の記号ガイド】


* 「」:登場人物の会話。

* 《》:通信などの隠密会話。

* ():登場人物の心の中の声。

* []:AIの初期状態。アナウンスUI。

* ▶ :カメラアングルを動かす、最小限の状況ナレーション。

* ━━:カメラを別の場所・時間へ飛ばす場面転換。

* /////:キャラクターの赤面演出。


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【主要登場人物紹介】


◎セイジ:C.F.N軍所属のRWパイロット。搭乗機体は「バーニングアタッカー」


◎キョウコ・コバヤシ管制官:C.F.N軍所属のRW管制官。セイジに想いを寄せている。


◎パニア・エンデバー:セイジを救った集落の少女。


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【用語】


・ウェルカム・マスドライバー:略称「WMD」。宇宙資源を迎え入れる巨大なレール。レールの中は住居になっている。


・ロボティクス・SQB:略称「RW」。人型汎用作業機械。全高15メートルの搭乗型ロボット。


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【物語登場国家の設定|C.F.N軍】

Coalition of Free Nations(自由国家連合)

略称:C.F.N

構成:

・民主主義国家群

・WMDの共同管理を掲げる

・宇宙資源の共有化を理念とする


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【物語登場国家の設定|A.S.I軍】

Alliance of Strategic Integration(戦略統合同盟)

略称:A.S.I

構成:

・東方ブロック

・南アジア圏

・社会主義的価値観を共有する国家群

・宇宙資源の国家独占を掲げる陣営


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【ロボティクスメイカー|設定紹介】


ロボティクスメイカーの公式サイトはコチラ↓

https://robotics-maker.jimdofree.com/


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