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ロボティクス・メイカー  作者: 藤岡 幸春


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#-01:他を生かすために闘う ―That others may live Fight―

本編第1話の前日譚です。

本編第1話はこちら▼

https://ncode.syosetu.com/n9533le/5


<シリーズ解説|#-01:他を生かすために闘う ―That others may live Fight―>

第1話:#-01:他を生かすために闘う ―That others may live Fight―

第2話:#-01:他を生かすために闘う ―That others may live Fight―|セイジ&キョウコ|パート1

第3話:#-01:他を生かすために闘う ―That others may live Fight―|セイジ&キョウコ|パート2

完全版(第1話~3話統合加筆版):#-01:他を生かすために闘う|完全版 ―That others may live Fight―



▶ 西暦2053年。



この時代、

超巨大インフラ|ウェルカム・マスドライバー(WMD)の利権争いで、

世界規模の戦争が起きてしまっていた……。


WMDの効率的な建造のために開発された全高15メートルの搭乗型汎用人型作業機械、

ロボティクス・ワーカー(RW)は軍事転用されてしまっていた。

その結果、闘いは苛烈を極め、各地の被害は深刻だった。

戦争は宇宙空間にまで広がり、宇宙はデブリまみれになっていた。

どれだけお互い被害を出し合っても引っ込みが付かなくなった大国同士の争いは終わりが見えなかった……。


しかし、ようやく今、戦争決着の最終局面を迎えようとしていた━━



━━A.S.I軍|月面軍事基地作戦司令室



ボブ・アンダーソン司令「ヤツの作戦行動中は【オープンチャンネル】にしておく」


ダーニア補佐官「……?! ……それは、何故ですか?」


ボブ・アンダーソン司令「【オープンチャンネル】にしておくことで【少年兵が搭乗しているRW】というのを敵に知らしめる。子供相手の戦闘はヤツラもやりにくかろう。フフッ……」


ダーニア補佐官「……」


ボブ・アンダーソン司令「どうした?不服か?まぁいい。我々はこの戦争でどんな手を使っても勝たねばならんのだ」


ダーニア補佐官「国際法に違反しています。貴方は、この国は、いったいどうなるのです……?」


ボブ・アンダーソン司令「責任はすべて私が取る。既にそのように根回しもしている。要は勝てばいいのだ。勝者にならねば何も成し遂げられぬ」


ダーニア補佐官「貴方は……、それで構わないのですか……?」


ボブ・アンダーソン司令「どのみちこの戦争に負ければ惨めな未来が待っているだけのこと。ならば私は負けても誇り高き死を選ぶ」


ダーニア補佐官「貴方はよくても!少年兵……、オリヴァーの犠牲はっ!!」


少年兵|オリヴァー「おねえちゃん、そのへんはきにしないでだいじょうぶ。ぼくもなっとくしてるから。ねぇ?アンダーソン司令?」


ボブ・アンダーソン司令「……助かる。調整は済んでいるか?」


オリヴァー「もちろん!」


ボブ・アンダーソン司令「そうか……。では行け、オリヴァー。必ず、生きて還ってこい」


オリヴァー「あたりまえだよ!」



━━A.S.I軍|RW管制室



オペレーター「電磁カタパルトオンライン。電力正常。パイロット及び機体に異常なし。いつでも出れます。発艦のタイミングをパイロットへ移譲。ユーハブコントロール」


オリヴァー

「アイハブコントロール。


メインリアクターON、


神経接続開始、


ニューロコンバータモードC、


武装は…、ありったけ!


今日はパーティだっ!!


ハイマチックマニューバーも最初からマキシマム位置で固定。


よし、じゃあいこうか。


RW-XXX(トリプルエックス) レクイエム! 出撃(で)るよ! 前あけないと踏みつぶすよっ!!!」



━━C.F.N軍|RW管制室



アキツ管制官「敵RW、アンノウン、データ無しの機体。急速接近中。距離1万。出撃できるパイロットより五月雨で出撃してください。繰り返します。敵RW、アンノウン……」



………………



キョウコ・コバヤシ管制官「……」


アキツ管制官「キョウコ……、もう、あの人、行っちゃうよ?」


キョウコ・コバヤシ管制官「……うん」


アキツ管制官「キョウコ……、……今!言わないと!きっと後悔するよ!……ココは任せて行きなさい!!」


キョウコ・コバヤシ管制官「……」


キョウコ・コバヤシ管制官「……うんっ!ありがとうっ!!」


▶ キョウコが出撃前のパイロットに駆け寄る。本来であればありえない行為だった。

しかし彼女の想いを前々から知っていた同僚のオペレーターが、ルールを破って彼女の背中を押した。

結果、彼女は出撃前の男の前に、居る。


キョウコ「す、少しだけ!待って!」


男RWパイロット|セイジ「?」


キョウコ「こんなときにゴメンなさい!あ、あたし!あなたにどうしても!伝えたいことが!」


セイジ「……あぁ、それは言わなくても、なんとなくわかる」


セイジ「この戦いが終わったら、俺も君にちゃんと伝えたいことが、あるんだ」


セイジ「……俺は必ず生きて還る。そのときは一緒に食事でもしよう。そのときに、【俺から】君に伝えたい」


キョウコ「……はい」


……


アキツ管制官「電磁カタパルトオンライン。電力正常。パイロット及び機体に異常なし。いつでも出れます。発艦のタイミングをパイロットへ移譲。ユーハブコントロール」


セイジ

「了解した。


アイハブコントロール。


メインリアクターON、


神経接続開始、


ニューロコンバータモードA、


武装、右腕ブレードユニット、左腕ミニガドリング、共にドライブ正常。


バックパック、予備サブマシンガン、サブアーム、プロペラント、すべて正常。


ハイマチックマニューバー、マキシマム。


バーニングアタッカー。出撃(で)る。」



━━戦闘宙域



オリヴァー「あははっ!オジサンっ!またあったねぇ!会えたねぇっ!!」


セイジ「くっ……、こ、子供……、だと……? 俺はキサマに構っているヒマなどないっ!そこをどけっ!」


オリヴァー「やーだねー♪オジサンはこれからボクとあそぶんだよぉっ!!」


ガキィッ!ギィィィンッ!!


▶ オリヴァー機の容赦の無い斬撃がセイジの機体に襲い掛かる。

セイジの機体に装備された右腕ブレードユニットで攻撃を受け止めるのがやっとだった。


セイジ「もう!こんなことはやめろっ!!俺は子供とは闘いたくないっ!!」


オリヴァー「じゃあこれだったらどうよ?おじさぁん??」


▶ オリヴァー機からレーザーが照射された。セイジの背後にいた僚機が爆散した。


セイジ「ドリー!アーガス!タタラ!!」


オリヴァー「はっはぁ♪ これで少しは闘う気になったぁ?」


▶ オリヴァーはいたずらな笑みを浮かべてセイジを煽った。


セイジ「……キサマ」


スヴァッシュッッッ!!


オリヴァー「クッ……、やればできるじゃん……! あーあ、片腕片脚サヨウナラしちゃったw どうしよw」


▶ オリヴァー機の右腕右脚に甚大な損傷が出ていた。


オリヴァー「なーんちゃってぇ♪ あーらよっとぉ!」


ガガガッ!ギギギッ!バシュウッ!!


セイジ「く……、やるしか……、ないのか……」


オリヴァー「ぼーっとしてるとぉ♪ オジサンやられちゃーうよ♪」


オリヴァー「そろそろ決めるか……。もう機体が、もたない。全リミッター、解除。メインスラスター、最大出力。AIサポート、オフ。今まで、ありがとう……、レクイエム」


レクイエムAI「イママデ アナタト トモニ タタカエテ ウレシカッタ セメテ ドウカ ヤスラカニ ネムリタマエ……」


オリヴァー「ぅぅぅううううぉぉおおおおぁああああっっっっっ!!!!!」


ズヴァッシュッ!


▶ セイジ機の構えた右腕ブレードユニットでオリヴァー機の胴体ユニットを貫いていた。


オリヴァー「ふふっ……、ははっ……。やっと……、ボクは……」


ドォォォンッッ……。。。


▶ オリヴァー機はセイジ機の目の前で爆散した。


「こちら国連軍。こちら国連軍。両軍はただちに戦闘を中止せよ。たった今、和平協定が結ばれた。繰り返す。両軍はただちに戦闘を中止せよ。たった今……」


セイジ「クソが……。遅いんだよ……。何が和平だ……。クソが……」


バァンッ!

ピーッ!ピーッ!ピーッ!


▶ セイジ機から警告音が鳴っていた。


セイジ「クソ……、機体に負荷を掛け過ぎた……。脱出を……、うわっ」


▶ セイジ機のコクピットモジュールの一部が爆散してしまった。

コクピットモジュールは座席シートがバイク型の脱出艇になっているが、

爆散した結果、大きくモジュールが破損し、セイジの脚に大きな破片が刺さってしまった。


セイジ「ぐぅあああっ!」


▶ セイジは大量出血を避けるため破片をそのまま抜かずに救急キットで脚のケガを治した。

大きな出血は止まったが、セイジの意識は混濁していた。


セイジ「とにかく、脱出を……」


▶ 脱出艇は辛うじて機体から射出されたが、セイジは辛うじて脱出艇にしがみついているだけで、

既に意識が無かった━━



━━地球



セイジ「俺はMIA(作戦行動中行方不明)になってしまった」


セイジ「しかし俺は助かった。助かってしまった」




セイジ「運良く救難艇に拾われ救助された。しかしトラブルで地球へ不時着。救難艇のみんなは助からなかった。生き残ったのは俺だけ」


セイジ「救難艇の無線は使えない。軍との連絡も取れなかった」


セイジ「途方に暮れていると脚のケガのせいで再び意識が飛んだ。また目が覚めると不時着した先の集落で俺は看病をしてもらえていた」


セイジ「ケガの処置が遅れたせいで以前のようには歩けなくなってしまった」


セイジ「しかし俺は体調を快復させ、この救われた集落で働かせてもらえることになった。といっても歩けなくなってしまったので出来ることは限られてくるのだが」


セイジ「農業を手伝わせてもらったり、農機具の整備をしたり。今ではこの穏やかな日常がとても気に入っているし、癒しだ」


セイジ「それとここは田舎の村だが、多少ネットワーク設備も整っているので、それら機材の保守点検整備も一手に任せてもらっている。有難い」


セイジ「そんな穏やかな日常が続いたので、もうこのままMIAのままでいい。ある日、俺はそう思った」


セイジ「あとで聴いたラジオで知ったが、一応、俺の国はあの戦争で勝ったみたいだ。WMDの利用権利も奪還したようだ」


セイジ「しかし今となってはそんなことはどうでもいい。少年兵相手に戦わされたし、本当にもう、何もかもが疲れた。」



セイジ「少年兵は助けられなかった。彼は、俺のRWのブレードに飛び込むようにして、最期を……、迎えた」



セイジ「うん、そうだ。俺は少年を殺してしまった。ここが一番、俺が立ち直れない原因だ」


セイジ「俺の仲間はあの少年に殺されたが、できれば少年は救ってやりたかった。だが、ムリだった。相手の動きをさばき切るのが精一杯だった」


セイジ「もっと俺が強ければ……、あるいは……、と、今でも悔やむ」


セイジ「操縦桿越しに伝わるあの感触が、数か月たった今でもリアルに思い浮かぶ。感触がはっきり今でも残っている」


▶ セイジは胸ポケットにしまっていた写真を見る


セイジ「今でも彼女、キョウコのことは、気になる。逢いたいとも思う。できればあの時の約束を果たしたいとも思う」


セイジ「赦してほしいとは言わない。ただ彼女に会って一言詫びたかった。しかしもう、本当に疲れてしまった。その気力が俺の中に残されていなかった。俺はここで骨をうずめるつもりだ」


▶ 集落住民の少女がセイジにゆっくり近づいてきた。セイジを最初に発見して看病した少女だ。


集落住民の少女|パニア・エンデバー「アナタ イツモ カナシソウ ドシタノ?」(あなた、いつも悲しそう。どうしたの?)


セイジ「あぁ、いや……、別に何でもないんだ。何か今日はやることは、あるかぃ?」


▶ セイジが身動きしようとしたその時、彼女の写った写真が地面に落ちた。


パニア「コノヒト、タレ?」(この人、誰?)


セイジ「あぁ、俺の彼女、でもないな……。ただの……、ただの友人だ」


パニア「クワシク、キカセテ」(詳しく、聞かせて)


▶ セイジは、はじめて自分の事の顛末を少女に詳しく話した。

今まで詳細は伏せて、ごまかし続けて現地で働かせてもらっていたが、

彼女のアーモンド色のまっすぐな瞳に見つけられると、

自分でも驚くくらいに、つらつらと少女に、

置いてきてしまった彼女、キョウコとのこれまでの想い出を詳しく、話した。話してしまった。


パニア「……」


パニア「……」


パニア「…………」


セイジ「あの……、パ、パニア? どうしたんだ?」


パニア「……アナタ! クニ……! カエラナキャ……! タメ!!」(あなた!自分の国へ!帰らなきゃ!ダメ!!)


セイジ「いや……、でも……、」


パニア「タメ! アルケナイ ヤクタタズ! …………デテケ!!」(ダメ!歩けない役立たず!出ていけ!!)


▶ 少女は大粒の涙を流しながら男にそう言った。



To be continued...


---


【小説内の記号ガイド】


* 「」:登場人物の会話。

* 《》:通信などの隠密会話。

* ():登場人物の心の中の声。

* []:AIの初期状態。アナウンスUI。

* ▶ :カメラアングルを動かす、最小限の状況ナレーション。

* ━━:カメラを別の場所・時間へ飛ばす場面転換。

* /////:キャラクターの赤面演出。


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【主要登場人物紹介】


◎セイジ:C.F.N軍所属のRWパイロット。搭乗機体は「バーニングアタッカー」


◎キョウコ・コバヤシ管制官:C.F.N軍所属のRW管制官。セイジに想いを寄せている。


◎パニア・エンデバー:セイジを救った集落の少女。


◎オリヴァー:A.S.I軍所属のRWパイロット。まだ少年の体躯ながら卓越したRW操縦技術を誇る。


◎ボブ・アンダーソン司令:A.S.I軍総司令官。



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【用語】


・ウェルカム・マスドライバー:略称「WMD」。宇宙資源を迎え入れる巨大なレール。レールの中は住居になっている。


・ロボティクス・ワーカー:略称「RW」。人型汎用作業機械。全高15メートルの搭乗型ロボット。


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【物語登場国家の設定|C.F.N軍】

Coalition of Free Nations(自由国家連合)

略称:C.F.N

構成:

・民主主義国家群

・WMDの共同管理を掲げる

・宇宙資源の共有化を理念とする


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【物語登場国家の設定|A.S.I軍】

Alliance of Strategic Integration(戦略統合同盟)

略称:A.S.I

構成:

・東方ブロック

・南アジア圏

・社会主義的価値観を共有する国家群

・宇宙資源の国家独占を掲げる陣営


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【ロボティクスメイカー|設定紹介】

今回のエピソードのイメージイラストはコチラ↓

https://x.com/FDFyukiharu/status/1729085052171247864?s=20

※セイジとキョウコの別れのシーン


ロボット「バーニングアタッカー」のイラストはコチラ↓

https://x.com/FDFyukiharu/status/2095862659753378148?s=20


ロボティクスメイカーの公式サイトはコチラ↓

https://robotics-maker.jimdofree.com/

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