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ロボティクス・メイカー  作者: 藤岡 幸春


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#-01:他を生かすために闘う ―That others may live Fight―|セイジ&キョウコ|パート2

本編第1話の前日譚です。

本編第1話はこちら▼

https://ncode.syosetu.com/n9533le/5


<シリーズ解説|#-01:他を生かすために闘う ―That others may live Fight―>

第1話:#-01:他を生かすために闘う ―That others may live Fight―

第2話:#-01:他を生かすために闘う ―That others may live Fight―|セイジ&キョウコ|パート1

第3話:#-01:他を生かすために闘う ―That others may live Fight―|セイジ&キョウコ|パート2

完全版(第1話~3話統合加筆版):#-01:他を生かすために闘う|完全版 ―That others may live Fight―



▶ 西暦2055年。街のダイナー。一人の女性が切り盛りしている。

かつて彼女はかつてC.F.N軍に勤めていた。

兵科は管制官でロボティクスワーカー(RW)などを管制する任務に従事していた。


キョウコ・コバヤシ元少尉。RW管制官。その人だった。


WMDの利権を巡る大国同士の戦争が終結した今、彼女は軍を退役し、ダイナー経営を始めた。

店舗は退職金で購入した。ちょうど良い物件が空いていた。

元々彼女は料理が得意だったこともあり、店はそれなりに繁盛していた。

今日もそこそこ忙しい。カウンター席に座る客がキョウコ元少尉に話し掛けた。


客「やぁ、どうもね。また来たよ」


キョウコ「あなた最近よくウチに来てくれるわよね♪ 今日もアレ?」


客「あぁ、いつもの定食で頼む」


キョウコ「わかった。ちょっと待ってて」


▶ ほどなくして料理が運ばれてきた。


キョウコ「おまたせ♪」


客「ありがとう。ここのはウマくて安くて腹が膨れるから助かる」


キョウコ「いつもありがとう♪」


客「で……、前から気になってたんだが……、ひとつ、聞いてもいいか?」


キョウコ「うん、何?」


客「カウンターに飾ってあるその写真、アンタが軍に居た頃か?」


キョウコ「うん。以前軍に勤めていた頃の写真。戦場カメラマンが撮ってくれた写真をお裾分けしてもらったの」


客「そうか、いい写真だな。なんか賞でも取れそうな良い写真だ」


キョウコ「私もそう思うわ。だけどカメラマンはこの作品を公の場に発表してないの。だから賞を取ることも無かった」


客「そうか……、何か察したんだろうな。俺にもわかる。お相手のパイロットはアンタの良い人なんだろ?」


キョウコ「バレたかーw てへ☆ぺろ」


客「そのパイロット、今はどうしてるんだ? あ、なんかすまん。こんなにズケズケと聞いてしまって。答え辛いんだったらムリして答えなくていい」


キョウコ「うーん……、実は私にもさっぱり。軍に居た頃は随分探したものだけど、案外軍を辞めてダイナーでもやってたほうが見つかるかも、と思ってこの店をはじめたの」


客「そうか……、そうだったのか……。見つかるといいな。そのパイロット」


キョウコ「ほんとにそうよねー!こんな美人が首長くして帰りを待ってるんだから、いい加減帰ってきてほしいわw」


客「ほんとにそうだなw ということはそのパイロットはまだ生きている可能性があるんだな?」


キョウコ「うん。あの戦争は激しかったけれど、彼の死亡の事実は確認できなかった。まだMIA(作戦行動中行方不明(者))のハズ……」


客「そうか……、本当に、見つかるといいな……、パイロット」


キョウコ「うん……、そう願いたいものだわ……」



………………



▶ 西暦2053年。キョウコ回想。


キョウコ・コバヤシ管制官「……」


アキツ管制官「キョウコ……、もう、あの人、行っちゃうよ?」


キョウコ・コバヤシ管制官「……うん」


アキツ管制官「キョウコ……、……今!言わないと!きっと後悔するよ!……ココは任せて行きなさい!!」


キョウコ・コバヤシ管制官「……」


キョウコ・コバヤシ管制官「……うんっ!ありがとうっ!!」


▶ キョウコが出撃前のパイロットに駆け寄る。本来であればありえない行為だった。

しかし彼女の想いを前々から知っていた同僚のオペレーターが、ルールを破って彼女の背中を押した。

結果、彼女は出撃前の男の前に、居る。


キョウコ「す、少しだけ!待って!」


男RWパイロット|セイジ「?」


キョウコ「こんなときにゴメンなさい!あ、あたし!あなたにどうしても!伝えたいことが!」


セイジ「……あぁ、それは言わなくても、なんとなくわかる」


セイジ「この戦いが終わったら、俺も君にちゃんと伝えたいことが、あるんだ」


セイジ「……俺は必ず生きて還る。そのときは一緒に食事でもしよう。そのときに、【俺から】君に伝えたい」


キョウコ「……はい」



………………



▶ 再び西暦2055年。



セイジ「もう……、戻ることも無い、と思ったんだがな……」



▶ セイジはかつてのWMDの利権を巡る大国同士の戦争で行方不明になっていた。

宇宙戦闘宙域でA.S.I軍の少年兵【オリヴァー】のRWと激闘を繰り広げ、辛勝。

セイジはRWのコクピットの損傷で脚に大きなケガを負ってしまったせいで歩けなくなってしまっていた。


▶ 命からがら戦闘で激しく傷付いたRWのコクピットから脱出に成功し救難艇に拾われるが、

救難艇のトラブルで地球に不時着。

そして不時着先の集落の少女、パニアに命を救われる。


▶ その後セイジは集落でひとときを過ごすが、セイジの過去をパニアに打ち明けたことで、

パニアはセイジにキョウコに会いに行けと激しく促されてしまった。


▶ その結果、セイジは今、C.F.N軍管轄の空港に居る。



セイジ「しかし、キョウコに会いに行く、と言ったものの……。正直まだ、迷いがある……」


セイジ「……とりあえず、軍へ向かうか」



▶ セイジは車椅子を走らせた。すると、ひとりの男に声を掛けられた。



レイルダース「お、お前……。お前は……、もしかして……、セ、セイジ?」


セイジ「レイルダース、か。生き残ったんだな。よかった」


レイルダース「セイジーっ!!生きてた!!生きてたんだな!!お前!!ほ、本当によかった!!てっきりもう俺はダメかと思っちまったよ……。ほんとうに……、よかった……」


セイジ「すまなかったな。いろいろあって帰りが遅れた」


レイルダース「いや!そんなことはことはどうでもいいんだ!軍に向かうのか?よかったら送ろうか?」


セイジ「助かる。お願いできるか?」


レイルダース「もちろんだとも!さぁ!行こう!」


セイジ「その……、お前の予定とかは大丈夫なのか?」


レイルダース「そんなんどーでもいいんだ!あ、ちょっとキャンセルの連絡入れて来る。ちょっと待っててくれ」


セイジ「あ、いや、それだったら別に俺一人で軍には向かうから……」


レイルダース「水臭いこと言ってんじゃねーよ!いいな!そこから1ミリも動くなよ!!待ってろよ?!」


セイジ「あ、あぁ……」


………………


レイルダース「お待たせ。じゃあ行くか」


セイジ「本当にすまないな。世話になる。見てのとおりこんなナリだ」


レイルダース「歩けなくなっちまったのか……、お前……」


セイジ「あぁ。RW同士の戦闘で、な」


レイルダース「お疲れ様でした……」


セイジ「なんだよw 急に改まってw あ、メシは食ったか? よかったら奢らせてくれ」


レイルダース「何言ってんだ!勇者様にそんなことさせらんねぇ!メシも奢るぞ!」


セイジ「勇者なのはお前さんもだろうw あの激しい闘いをパイロットとして生き残った。それだけで十分勇者だ」


レイルダース「はっはぁw 俺なんざお前さんにくらべりゃ下の下よw たまたま弾のほうから避けてくれたおかげで生き残れただけよw」



▶ レイルダースの大戦中の撃墜スコアは50機を越えていた。かなりの実力者だ。しかしそれを決して彼は自慢したりはしない。セイジはそんなところが気に入っていて、仲良くしているパイロットだった。

レイルダースとセイジは久々の再開を喜び合い、空港内のカフェで食事をした。その後、レイルダースの運転するクルマで軍に向かった。

セイジの帰還報告を軍司令官に執り行うためだ。ほどなくしてC.F.N軍基地に到着した。



━━C.F.N軍基地正門前



守衛「おつかれさまです!」


レイルダース「いつもおつかれさん。これ、よかったらみんなで食べてくれ」


守衛「レイルダースさん!いつもありがとうございます!!」


レイルダース「いやぁ、なんのなんの。礼には及ばんよ。それじゃ」


守衛「ありがとうございました!」


セイジ「お前のそういうところ、相変わらずだな」


レイルダース「うーん、なんだろうね。別に好きでやってる♪ 他人に良くしておいて損は無い」


セイジ「言えてる」


レイルダース「よっし、着いた。もう連絡は入れてある。司令は部屋でお待ちだそうだ」


セイジ「何から何まで助かる。ありがとう」


レイルダース「うん。で、逢いに行くんだろ?彼女に」


セイジ「あぁ……、そう……、だな。明日にでも」


レイルダース「バッキャロー!今すぐ行くんだよぉぅ!ほれ!さっさと司令に挨拶してこい!挨拶終わらせたら彼女のダイナーに連れてってやる!」


セイジ「すまない」


レイルダース「あぁもぅ!そんなんいいから早く行ってこい!」


セイジ「ありがとう。では、行ってくる」


レイルダース「おぅっ!」



▶ レイルダースはキレイな敬礼でセイジを見送った。



━━C.F.N軍基地司令室



セイジ「入ります」


基地司令「ご苦労」


セイジ「第11RW大隊所属第3小隊、セイジ・ミズルハ大尉、ただいまエリア7戦闘宙域における防衛戦闘任務を終了し、帰還いたしました。第3小隊、人員4名、RW4機、人員装備は私以外はすべて失いました。以上で報告を終わります。」


基地司令「よくぞ……、生きて戻った。報告書を待っている」


セイジ「はい!ありがとうございます!」


基地司令「その……、脚は……、悪くしたのか?」


セイジ「はい、不覚ながら……」


基地司令「いや……、その、よく帰ってきた。今はとにかく休め。今後のことも報告書もゆっくりでいい。宿舎も好きに使え。お前の部屋はそのままにしてある」


セイジ「ありがとうございます。その……、司令。今から少し外出させていただいてもよろしいでしょうか?」


基地司令「あぁ、それは構わない。好きにしたらいい」


セイジ「ありがとうございます。それでは、また。失礼します」


基地司令「あぁ、気を付けて」



━━



レイルダース「終わったか!すぐ行くぞ!乗れっ!!」


セイジ「あぁ、頼む。ありがとう」



━━キョウコのダイナー近くの路地



レイルダース「じゃあ、俺はここまででいいだろう」


セイジ「えっ?」


レイルダース「いやいやいや、ここから先は二人っきりがいいだろうがよw ほら!彼女!店先に居るぞ! 早く行ってこい!」


セイジ「あ、うん。まぁ、そうだな。本当に、いろいろありがとう」


レイルダース「また連絡くれよな!あ、俺ちゃんと連絡先教えたよな?」


セイジ「あぁ、このコーネリア端末にきちんと記録させてもらった。ありがとう」


AI端末|コーネリア「レイルダースさぁん♪ またよろぴこ~☆彡」


レイルダース「コーネリア、しっかりセイジのモニター、頼むぜ」


AI端末|コーネリア「承知♪」



━━キョウコのダイナー前



セイジ「その……、えーっと、お久しぶり……」


キョウコ「……」


セイジ「えっ?あの……、セイジなんだけど……、忘れた?もしかして」


キョウコ「……」


キョウコ「……」


セイジ「あの……、今まで音信不通で、本当に、すまなかった……。実は……」


キョウコ「バカァッ!いままでどこに行ってたのよっ!!わぁぁぁあああんんんっっっ!!!」



▶ キョウコはセイジを車椅子ごと抱きしめた。



セイジ「本当に、すまない……」


キョウコ「えぇぇぇんんん!!! 本当にセイジなのね!生きて還ってきたのね! ぅうわぁぁぁあああんんんっっっ!!!」


セイジ「あの……、ちょっと店の中に入らせてもらっていいか? なんかこのままだといらぬ誤解を……」



▶ キョウコとセイジはダイナーの中に入った。

キョウコは本日臨時休業の看板を出した。

ダイナーにはキョウコとセイジの二人きり。


▶ セイジはこれまでのことをキョウコに話した。

戦闘で傷付いたこと、地球に不時着したこと、

集落の少女に救われたこと、

自暴自棄になって今まで姿を隠していたこと、

そして集落の少女にキョウコに会いに行くように促されたこと、

すべて、すべてキョウコに話した。

そして、キョウコは言った。



キョウコ「その集落の少女、パニアって子? きっとセイジのこと、好きだったのよ」


セイジ「えっ? あ、あ……、そうなの?」


キョウコ「そうに決まってる。だけど私にセイジを譲ってくれたのよ、その子。あとで御礼を言いにいかなくちゃ。あ、新婚旅行はその国にしましょう」


セイジ「え?新婚旅行って、ちょ、ちょっと??」


キョウコ「アタシ、アナタのこと何年待ったか、知ってる? 私が6歳のときにセイジに遊園地の止まった観覧車から救ってもらったときから好きなんですけども」


セイジ「そんなに前から? 俺まだ16(歳)じゃん……」


キョウコ「あ、なんか私からプロポーズしちゃった。なんかこんな昼下がりのダイナーでロマンもクソも無いわねw」


キョウコ「ちょっと着替えてくる♪ ちょっといいお店にこれから行きましょう。そこで仕切り直しよ♪いいわよね?イイに決まってるわ。行くわよ」


セイジ「ア、ハィ」



▶ その後セイジとキョウコは、無事にゴールインした。

ここはとある結婚式場……



レイルダース「おめでとう!セイジー!!」


AI端末|コーネリア「オメデトー!」


基地司令「おめでとう」


ダイナー客「おめでとう」


セイジ「あ、あの……、結婚式場、ホントに【ココ】でよかったのか?」


キョウコ「なぁに?わたしの【城】よ、ココ。結構繁盛してるんだから」



▶ 結婚式場はキョウコが切り盛りしているダイナーだった。



セイジ「い、いや、お前がいいんだったら別にいいのだけども」


セイジ「しかし、あらためて見ると、良い店だな。手入れが行き届いている」


キョウコ「ふっふーん♪ そうでしょ? 褒めたたえよ♪ あ、料理はみなさんセルフで勝手によろしく~。あー、君はバッテリーチャージね。電源はココよ♪」


AI端末|コーネリア「あたしも料理、タベタイ……」


レイルダース「キョウコ、ありがとう♪ しかしセイジ、お前また歩けるようになってよかったな♪」


セイジ「あぁ、軍規格の義足を使わせてもらえることになった。RWにも乗れる。(RW)教官職に就かないかと誘われた」


レイルダース「で、どうするんだ?その教官職」


セイジ「うーん……、どうするかな……。しばらく考えたい」


基地司令「別に答えは急がなくていい。好きにしたらいい」


セイジ「ありがとうございます」


ダイナー客「パイロットさんにまた会えてよかったな」


キョウコ「うん。ようやくよ……。何年越しかしら……。本当に、よかった……。あの戦争で、多くの犠牲は出てしまったの、だけどね……」


レイルダース「まぁ……、そうだな……」


セイジ「ドリー……、アーガス……、タタラ……」


レイルダース「献杯、しよう」


セイジ「あぁ、そうしよう」


基地司令「献杯」


ダイナー客「献杯」


AI端末|コーネリア「献杯」


キョウコ「献杯。すべての、失ってしまった、仲間に。献杯」



...fin


---


【小説内の記号ガイド】


* 「」:登場人物の会話。

* 《》:通信などの隠密会話。

* ():登場人物の心の中の声。

* []:AIの初期状態。アナウンスUI。

* ▶ :カメラアングルを動かす、最小限の状況ナレーション。

* ━━:カメラを別の場所・時間へ飛ばす場面転換。

* /////:キャラクターの赤面演出。


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【主要登場人物紹介】


◎セイジ:C.F.N軍所属のRWパイロット。搭乗機体は「バーニングアタッカー」


◎キョウコ・コバヤシ元少尉。元管制官:かつてはC.F.N軍所属のRW管制官だった。セイジに想いを寄せている。


◎パニア・エンデバー:セイジを救った集落の少女。


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【用語】


・ウェルカム・マスドライバー:略称「WMD」。宇宙資源を迎え入れる巨大なレール。レールの中は住居になっている。


・ロボティクス・ワーカー:略称「RW」。人型汎用作業機械。全高15メートルの搭乗型ロボット。


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【物語登場国家の設定|C.F.N軍】

Coalition of Free Nations(自由国家連合)

略称:C.F.N

構成:

・民主主義国家群

・WMDの共同管理を掲げる

・宇宙資源の共有化を理念とする


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【物語登場国家の設定|A.S.I軍】

Alliance of Strategic Integration(戦略統合同盟)

略称:A.S.I

構成:

・東方ブロック

・南アジア圏

・社会主義的価値観を共有する国家群

・宇宙資源の国家独占を掲げる陣営


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【ロボティクスメイカー|設定紹介】


ロボティクスメイカーの公式サイトはコチラ↓

https://robotics-maker.jimdofree.com/


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