Chapter7
「誰だ……」
皐と地下室へ行くと、この世界の翔と、その後ろに女の子が立っていた。
「来たね。それじゃ、はじめるか……」
そう言って、この世界の翔が歩み寄ってくる。
「はじめるって何を……」
オレと皐はどちらからか口を開くと――――
「輝夜、桜夜……」
この世界の翔の後ろにいた少女――ドールがぼんやりと光りだす。
そして、そのドールの頭の上から桜色の光が皐に向かって放たれる。
「なにを……!」
「練習だよ。オレは教えるの下手だしね……。何て言うのかな、大切な人への想いをドールへ伝えるみたいな……」
この世界の翔が肩をすくめてみせる。――そんなこと言ってる間にも、皐には桜色の光が近づいてるわけで……。
「颯!」 「紅椿!」
オレと皐はほぼ同時にそれぞれのドールの名前を呼んだ。
この世界の翔が言うように想いを颯へ向ける。
詩歌への想い……。なんだか、胸が苦しくなる。――――詩歌、大丈夫かな……。詩歌の影に別の女の子を感じながら……。
――桜色の光が皐に届いた時、水しぶきが飛び散ったかと思うと、そこに皐はいなかった。
そして、何故か皐は翔の後ろのほうへ飛ばされていた。
「不意打ちはしないほうがいいよ。輝夜の仕様は、剛力だから……」
はい……? 何が起きたのかわからなかった……。
「あー、やっぱり、キミら2人を相手するのは辛いかもな……」
「「はぁ……?」」
オレと皐の声が裏返る。
「キミは、五月七日皐だろ……?」
この世界の翔が皐のほうを見て、次にオレのほうを見た。
「それでキミは、オレか……」
そう言うと、輝夜と呼ばれたドールの上から一体のドールが皐のほうに飛んでいき、輝夜はオレのほうに走ってくる。
「颯!」
オレが颯の名を呼ぶと、颯から銀色の光が四つ放たれ、輝夜を囲み動きを止めた。
「流石だね。初めてでそこまで能力を引き出せるのは凄いよ」
自分で自分のことを褒めてる様で恥ずかしかったのか、この世界の翔は頬を赤らめる。
「でも、それじゃ、あの子は最上心か……?」
最上……? 誰だ……。頭が痛む。
オレは知っている……?
「ぐは……!」
オレのもとへ颯が飛んできたりして、オレはその場に倒れ込む。
『ドージ!』
女の子の声が聞こえ、その顔が頭に浮かぶ。
この世界のオレが何か言ってる気がするが無視で……。
オレは……。心って子を知ってる……?
あの後気絶したらしいオレは、布団に寝かされていたみたいだ。
起きたのに気が付いたこの世界の翔は、起きるのを待っていたように口を開く。
「あのさ、キミら強いみたいだし。一つ頼まれてくれないかな……?」




