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ひとりたび  作者: 木卯さやの
31/34

風が運んだ鈴の音

花に興味あるか…。

そりゃ、多少なりとも花には興味ある。

じゃなきゃ…

「君にも出逢えなかった。」

「?」

…あの頃、俺は日雇いで稼いで飯を食う生活をしながら、趣味で写真を撮っていた。

日雇いで貰った金の1部を貯め…やっと手に入れたカメラ。いや当時は写真機か。

…そいつを手に旅に出た…。ありったけの金を手に持ち…この地を旅して…ここ赤湯に来た。

当時、赤湯は東北随一の歓楽街で名を馳せていて…あちらこちらに店…飲食店…他には八百屋とかの商店に銭湯…街から少し離れた場所に神社があった。

そこに行く。…赤湯を一望出来る場所だった。…街の景色を写真機に撮る。

写真を撮り終えて…ん?…秋桜か。…これも…撮る。…風が少し…邪魔し

♪…りん♪…ちりん♪

?…なんの音だ?…あ、階段があるのか…?え…

階段を登って来た方がいた。

「……」

…こちらの視線に気が付いた…女性…。

手には巾着を持っていて、その巾着から

♪りん

鈴の音が…。

「……」

静かに…俺に会釈し、何も話さず…顔を隠す様にそそと俺の隣を去っていく…。

その姿に…思わず

「すみません!」

と…声をかけてしまった…。

「?はい…」

…その方が俺を見た…。

白く…抜ける様に白い肌…整った目鼻立ち…。紅い…紅を引いた口元…。

その姿に一瞬で…。




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