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ひとりたび  作者: 木卯さやの
22/34

器からのたより

焼物を食しつつ…日本酒を…

「失礼致します。こちら揚げ物で御座います…」

俵揚げ…。これはまた秋を告げる食が…。

俵揚げはこの地では、油揚げを指すこともあるが、懐石料理となると違う。

こちらの料理は…鯛の真蒸(しんじょう)に衣を付けて油で揚げた料理…。

「あしらいに銀杏。こちらは…銀杏の葉をさつまいもで…」

鮮やかな緑が油を通した事で更に艶を帯び、深い緑が輝きを放す。それと一緒に添えられている葉は飾り切りした薩摩芋…それより目立つ

「稲穂のあしらいね…」

稲穂をサッと油通しした…これは…

「…五穀豊穣…。」

…豊穣と豊作の感謝をこのひと皿に…。

「…感謝を込めて頂きましょ…」

「あぁ…。」

妻と共に俵揚げを味わう。衣はサクッとしつつ、中の真蒸はふわりと仕上がっていた。

食す前に付けた塩…この塩が真蒸の甘さをより引き出す…。…あしらいの銀杏もまた塩を付け、食す…。ほろ苦さが先に口に広がった後に…甘味と塩気が折り重なった。

「これは酒が進むな。」

「…貴方、これ以上は」

「…そうだな…。」

…ちょっと…飲み過ぎる…。













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