怪力女児はいかがですか?
楽しんでぇくださいな。
「いい機会だ…試作品の魔法、見せてあげよう。」
「うぇ?」
「そーだよ!そこのおねーさんも!見ててねぇ!」
よいしょ!と声をかけると、玄関から何かが崩れる音がした。
ししょーはため息をついて、玄関に向かう。
「…毎回家を壊さないでくれないかな。こっちだって費用がかかるんだよ。」
女児は大きな戦闘ハンマーをもって立っている。
それを見たししょーは、黄色いラベルのついたバッテリ缶を取り出し、飲んだ。
「チッ…適応済みでも堪えるね…。」
それを飲み干した後、次に開いた目の、瞳の色は黄色に輝いていた。
「!?」
「かかってきてよ、どっからでもいいよ。」
「わかった。愛してるよまーくん!!」
その重たそうなハンマーを、めいっぱい回転させて振り下ろす。
「ししょー!!!」
ししょーはただ右手を上に掲げ、受け止めた。
床のフローリングに亀裂が入り、衝撃で建物が揺れる。
「ッ!…はー、はー。君はよく私の手のひらを血まみれにしていくね。」
「それを言うならまーくんもだよ。ハンマー、赤くなっちゃったんですけどぉ~」
「あ、そこのおねーさん!逃げなよ、今のうちに。」
「へっ?私?」
「そうだよ!うちみたいになりたくないでしょ!はーやーくー。」
ししょーがくすっと笑う。
「ずいぶん余裕だね…これでも一応出力は上げたんだ。」
「ふん!うちは完全特化適応だけど?勝てるのかなぁ~。」
「慢心が命取りだよ。さぁ!」
ハンマーを右に蹴り飛ばし、意識をそらした刹那、
怪力女児のすぐ横に、移動していた。
「まーくん見えてるよぉ!」
その一瞬の動きを見逃さずに、怪力女児はすかさず拳を繰り出す。
右、右、左、右?、左??、もうわからん!
やばいやばい仲裁しないと!崩壊するこのアパート!
いやでもどうすれば…黄色ラベル!
あれを飲めば!
黄色バッテリ缶を飲む。
一口飲むごとに、ひどい激痛。
特に目が熱い。
でもこれで勝てる!
よし!みえる!みえるぞ!拳の順番が!足の動きが!
「紬!いっきまーす!」
すっとしゃがんで、クラウチングスタート!
2人の間で叫ぶっ!!
「止まってぇー!!!!!!!」
へぶしッ!ぐほぉッ!!!
両方ほっぺ…パンチ食らった…。
痛い…。
ばたっ…。
「おいっ!ヘパブルルカ!やりすぎだぞ!」
「ねーまーくんもでしょぉー!!!!」
こうして私は、ベッドに運ばれた。
・・・
「あー、怪力女児こえー。」
「なによ!そんなに私が気に入らないの!?ひどい!」
あー泣いちゃったー。
「ししょー、女児泣かすのは…」
「今のは君でしょ?紬。」
いや違うんだ、ただ、怪力の女児は怖いなってだけで、愛してくれる人はいるよ、たぶん。
「うわーん!!」
よし!慰める、実行!
「ワー、ナカナイデ―。」
「さすがにひどいんじゃないか?紬。」
え?私が悪いのこれ?
・・・
「というわけで、私の前任の記録係、へパブルルカだ。」
「…私がはじめてじゃなかったんですね。」
って私はなにを言っているのか…。
「うちは体を改造されて、まーくんに捨てられたの…ひどいよね?血も涙もない…。」
「うーわししょーサイテー!」
「違うよ!嘘言わないで、へパブルルカ!」
はー、ほんとししょーったら…
「まずはごめんなさいでしょー。」
「いやだから違うってェ!!!!」
No.005 [バッテリ缶インスタント/イエロー]
究極のドーピング。
味はそのままで、飲むことで超人のような力と速度、そして動体視力が手に入る。
なお、体の耐久は変わらないため、ししょーのような精密な動きを実現しなければうまく戦えない。




