ACTIVATED.
もう忘れてるでしょ、岳川さんのこと。
『ピロン!!』
バッテリ缶を飲んでいると、頭の中にそんな音が流れてくる。
まだ寝ぼけていた俺は、「んぁ?」と気の抜けた声をもらした。
『人体と魔力デバイスが完全に適応しました。』
どういうことだ?魔力デバイスの適応?―――あぁ、魔法が使えるようになったのか!
『第1世代から魔力総量が決定されます。情報処理速度概数および身体安定スコアより―――』
・・・
「予想通り…かぁ…。そりゃ私が考えつくことはとっくに対策してるか…。」
紬がため息をつく。
「にしてもなぁ…魔力総数10"粒"とは、こりゃ投資としては最悪な結果だな…。」
そうだ。俺の魔力総量は、たったの"10粒"だ。
「すまん、俺はそういえば、中学からバカって言われてたからな。」
「情報処理能力で言えば妥当だぁ……うわぁ…。」
紬は以前よりも大人びた姿をしている。
どうせなら年上イケメンおねぇさんになりたかったとか言って、魔王の側近の血肉を取り込んだ。
その結果…人1人分吸収したことで、肉体的な頑丈さが飛躍的に向上し、もはや素で人間じゃない。
彼女はこう続けた。
「―――わかった、これ、やってみて。」
紬が操作するのは二つの魔力。
互いに強く反発しあうそれを、手のひらの上で近づけていく。
発熱していく。辺りは灼熱。
「なるほど、よくわからない。」
「いいのだよぅ~。とりあえずやってみ?むずいよ多分。」
まずは魔力粒子を出して…出して?どうやって?
「ん、真似して。想像を私がやってるのを見て補完するの。」
すると、2つの魔力の点が手の上に集まる。
「まだ大きい、もっと小さくして。」
点は次第に小さくなり、鋭い光となった。
「2つの点は反発する。そういうふうにイメージして…。」
2つの点は離れていってしまう。
「はやく!操作で2つを圧縮しようとしてみて!!」
光は強さを増す。
俺は全力で、光を互いにブチ当てて弾いてやろうと必死になる。
辺り一帯が、地獄のように熱くなる。その2つの魔力は、やがて2つの恒星のように輝く。
その光と相対して、影はそこに真夜中を作り上げる。
「はーい、ストップ。」
ちょっと貸してね、と、腕を掴んで狙いを定める。
「せっかくだし、はっちゃけてみてよ。」
紬は迫ってくる大型の魔物を指さす。
たぶん、このいかにもやばそうな"灼熱の光"を、あれに放てというのだろう。
大丈夫だろうか、巻き込まないだろうか?
「―――大丈夫。やっちゃって!」
ああ、と覇気のない返事をする。
呼吸を整える。
魔法に大切なのはイメージ。
俺が一番力を入れるとき、俺が成功する最高のビジョンを…思い出せ!
「もう大丈夫だ!紬ッ!…これがッ…東京レジスタンス・トップのぉッ…!」
「――――力だあああああああぁぁぁぁぁぁッ!!!!!!」
白い一筋の光線が、巨大な魔物の腹に、巨大な風穴を開ける。
使用魔力は、たったの"2粒"。
大地をえぐり、雷より派手な轟音が、あたりに響いた。
No.30 [力だあああああああぁぁぁぁぁぁッ!!!!!!]
たった2粒の魔力、されどその創造と意志の強さによって、極限まで反発を維持したままその場に押さえつけることが可能。
その時、大量の反発エネルギーを内包し、放出時に頭がおかしいほどのスピードと破壊力を得る。
今回は岳川パワーにより、それよりもひと回り速い。




