ターニングポイント
たーのしんでってってれってーいぇい!
ま、魔王様って一体何だってんだ―――!
そういえば、ヘパちゃんがししょーのこと”まーくん”って呼んでるような…?
「実はわたくし、あれから国に飼われたペットになってしまいましてね…。」
聞けばその胡散臭い男は、幼いころ貧しくて親にも捨てられたので、ししょーの家から何か盗もうとしたそう。
家から出てくる女性はいつもきれいなドレスを着ていたし、お金持ちだと思ったのだと。
ところが、夜中に忍び込むと玄関の4段さすまた拘束に嵌り、しかもししょーは男だったと。
「あの時の衝撃は今でも忘れません―――まさか生えているなんて…。」
「失礼だね、今時は普通だよ?」
匿われて暮らしてるうちに、不意にバッテリ缶が気になって飲んでしまったらしい。
なんとひと缶で適応し、それを隠していた。
里親が見つかったときまで隠し通し、引き渡された。
しかしながら、運悪く里親からの暴力が絶えず、抵抗したところ―――
身体強化が偶発し、運よく助かったそう。
そこから身体能力を買われ、政府に雇われたのだった。
「で、そのしゃべり方は何なの?」
「ふむ、魔王サマの右腕にふさわしい身なりと口調を目指したのですが…。」
ししょーは眉間にしわを寄せ、言った。
「だ・か・ら!その"魔王様"って言い方やめて!」
何というのか、非常に間違っていた。
首にジャラジャラ、手にジャラジャラ、指にジャラジャラ…
ジュエリーが多すぎるし、ヒョウ柄のジャケットとか、今時ここまで派手な人はいないんじゃないか?
「…あとで服買いに行きましょう。ね、ししょー。」
「そうだね。で、名前は付けてもらったのかい?」
「そうですね、個体番号なら…政府から。」
・・・
というわけで、先に潜伏していた胡散臭い男、個体番号#08くんことAくんが仲間になったので、もう野郎どもを生かす必要はなくなった。
そんなこんなで私たちは野郎どものアジトを爆破し、ラーメンを食べて、家に帰った。
「―――この組織は、たぶんとてつもなく大きな組織です。」
Aくんが言った。
「そしておそらく、狙いは"国家転覆"。理由は知りません。」
日本を牛耳って何がしたいのか、甚だ疑問だが、狙われているのだから、止めなければいけない。
「…奴らは、総理を見せしめに暗殺するつもりだ。」
それは少しまずいかもしれない。クライアントがいなくなってしまうし、社会不安も高まるに違いない。
「護衛を置くのが手っ取り早いか。ヘパブルルカ、できる?」
「お任せあれー!」
護衛に必要な条件として、"魔法を使わないこと"が求められる。魔力未適応の総理大臣に魔力を吸わせてしまうからだ。
私やししょーよりも身体強化に特化したヘパブルルカは、体内の魔力だけで十分戦える。
それに加えて、同じく身体強化向きのAくんより魔力のバージョンが高い。
「総理を適応させた方がいいのでは?」
「それは良くない。一般的に見れば"よくないお薬"なのと、適応までいつまでかかるかわからない。」
バッテリ缶を作る手間より、一日でも早くボスを特定した方がいいということか。
「わかりました。ヘパちゃん、頑張ってね!」
「うん!次はみんなで焼肉食べよー!」
こうして、私たちは護衛に動き出した。




