第9話 デートに終わる
先輩方の楽しい乱闘を観覧し、怖い大人達から軽い尋問を受ける頃には、チャラ男さん達はみんな仲良く救急車で病院送り。
先輩方は、尋問やら指導を受けていた。
と言っても、そこは我等が応援団。
顔も広ければ、知り合いだって、相応の数になるので…
「なにィ、後輩の恋路を遮られたぁ?
じゃぁ、しょうがないな。」
といった感じで、お咎めもやんわりとしたものになる。
オマケにチャラ男さん達、ナイフやメリケンサックをひけらかしていたのもマズかった…先輩方『正当防衛』の口実になるから、益々ハッスルしちゃうんだよねぇ。
閑話休題
乱痴気騒ぎの影響で、気付けば陽もだいぶん傾いてきた。
「それじゃあ…」
そう言って、駅の方へ歩みだそうとするアーチャン。
「ちょっと、待って!」
そんな彼女の腕を捕まえてしまう僕。
「家まで送っていくよ。」
「うん…うん。」
涙目になるアーチャン…そんなにきつく腕掴んじゃったかな?
「んっ!」
腕を放し、今度は僕の腕を彼女の方に差し出す。
「うんっ!」
アーチャンは僕の腕に抱き着いてきた…あまりにも強く抱き着くものだから
「ちょっ、近すぎ!」
ふっくらが腕にあたって…僕もイロイロと大変なことになるのだが…
「やだぁ!」
さらに抱き着くアーチャン。
あばば、さらに設置面積拡大しましたよ。
「歩きづらいって。」
何とかしたいんだけど…
「いいの!」
結局、このままで電車に乗る羽目になってしまった。
周りの目は生暖かく、アーチャンはすっかりご機嫌で…あ、お気に入りの歌を口ずさんでるし…。
電車の中でも他愛ないおしゃべりを重ね、最寄り駅につけば…
「う~でっ!」
僕の腕を所望され、再び抱き着く気満々のアーチャン。
流石にここからは恥ずかしいので、ご遠慮出来ないかと両手を合わせてお祈りポーズをとるのだが
「やだぁ!」
有無を言わせず、強引に僕の腕に抱き着くアーチャン。
仕方がないので、彼女に身体を任せて歩き始める。
因みに生暖かい視線は五割ほど増しておりまして…こりゃ、月曜日は詰問待った無し!である。
そんなこんなで、ようやく合気道道場に着いた。
スルッとアーチャンは僕から離れた。
「今日はありがとう。」
一礼して道場の門をくぐろうと歩みだす彼女。
「あの…」
僕は大切な事を伝えないといけない。
振り返る彼女…彼女も何かを期待している。
「今日、分かった事があるんだ。」
「…」
「僕は、君のことが好きだ!って事。」
みるみる涙目になり、両手を口の前で合わせるアーチャン。
「今までは『親友だ!』と思っていたけど、それとは別の感情がここにある。」
自分の胸に手を当てれば、彼女はウンウンと頷いている。
「だから、これからは『そのつもり』で付き合ってほしい。」
そう言って頭を下げた。
「遅いぞ…ばかぁ!」
そう言って、再び彼女は抱き着いて来る。
腕にではなく、僕の腕の中に…




