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第8話 デートに始まり

 昼食とおしゃべりを済ませ、一服ついた僕たちは再び()()()()()()()()()()()を楽しんでいる。

「で、肝心な事を聞き忘れているんだが?」

「何?」

 雑踏を歩きながら問答再開。

「アーチャンって、僕の何処に惚れたの?」

「!!!」

 (おとこ)に変化球は要らない、いつでも全力火の玉ストレート!

「…お、お、応援している姿。」

「オウエン?」

 アーチャンは確か運動部ではない、まして他校の生徒。

 僕が応援団に所属していることは周知とは思うけど、その活動と彼女との接点が思い当たらない。

「そうよ!

 アンタが人を応援している姿に一目惚れしたの!」

 腕を引っ張り、自分へ振り向くよう強制するアーチャン。

「いやいや、僕が応援団で活動してる姿って見たことないでしょ?」

 思わずおどける僕。

「覚えてる?

 ここで貴方が、迷子になって泣いていた小さな兄妹を励ましてた事。」

 往来の中、二人の歩みが止まる。

「しかも、白い長ラン(正装)姿で、大きな声とリアクションで…。」

 何となく思い出してきた。

「可愛そうに兄妹揃って、泣くのもやめて震えてたのよ。」

「あちゃー、そうだったんだぁ…」

 覚えてますよ、変な笑顔が張り付いた幼い兄妹の姿。

「まぁ、その騒動で程なく親御さんも見つかり、万事解決ってなったのよね。」

 人差し指を立て、可愛くウインクするアーチャン。

「…見てたんだ。」

「ええ、物陰からバッチリ!

 だいたい、あんな大きくて聞き覚えのあるモノがこだませば、気にもなっちゃうでしょ?」

 ああ、黒歴史の一部を見られていた事を知り、うなだれる僕。


 その瞬間、肩に何かがぶつかってきた。

「よぉ、兄ちゃん。

 先程はどうも♪」

 気がつけば20人くらいのチャラいお兄さん達に囲まれている。

 往来もすっかり途絶え、闘技場(コロシアム)状態。

「お礼参りに来たぜ。

 隣のお嬢ちゃんもこちらにもらい受けるぜ。」

 ニチャニチャと嫌な笑みを浮かべ、僕らに語りかける男達。

「はぁ~…ごめんなアーチャン。

 こんな喧嘩に巻き込んで。」

 ホント、申し訳ない。

「良いわよ♪

 アンタの彼女になったんだし、『パンチでデート』ってのもオツね。」

 アーチャン、普段の戦闘モードに遷移完了…気になる発言が耳に残るが。


「野郎ども、かか…!」

 リーダーらしき男が右腕を振り上げ合図を出そうとした刹那、その右腕を掴む一回り太い腕。

「せ、先輩?」

 見覚えのある長ラン(正装)姿の高校生六人組がチャラ男達の後ろに立っている。

「な、なにしやが…ぐへぇっ!」

 リーダーは振り返り先輩に殴り掛かるが、顔面を潰され気絶する。

 先輩方が口上を述べる。


「我等これより修羅に入る。

 鬼を見れば、鬼を蹴散らし。

 仏を見れば、仏を殴り倒す。

 草木一つに至るまで、尽く平らげるものなり!」

 この口上が合図となって、六人全員がチャラ男さん達に殴り掛かる。


「あ~あ、始まっちゃった。」

 アーチャンの肩を叩いて緊張を解く。

「この喧嘩は先輩方が買上げた。

 もう、見物するしかないよ。」

「はっ?」

 アーチャンの目が点になり、視線をこちらに向ける。

「ねっ♪」

 眼前に広がるチャラ男さん達の地獄絵図をにはあえて目をつむり、僕はただアーチャンに笑顔を返すばかりだった。

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