AIが治療を拒む?(4)
番組では、ユナイテッド・ヘルスケアの医療保険サービスに入っていたという一人の患者が登場する。
彼は心臓麻痺で病院に運ばれ、数日の入院を余儀なくされる。
その後、ユナイテッド・ヘルスケアの担当者から保険金を支払う入院日数を提示されたが、その日数はかなり短いものだった。
彼の妻も医師だったが、彼女の目からしても、彼はどう見てもまだ治療が必要な状態だった。
なぜこの日数なのかと担当者に訊いても、その担当者は何も答えなかったという。
アメリカでは医療費が非常に高額であり、保険金が下りないのであれば高額の入院費も賄うことができない。医師ではなく、実質的に医療保険会社が患者の入院日数を決めているような状況になっている。
彼は、ユナイテッド・ヘルスケアの担当者が提示した入院日数に従って退院せざるを得なかった。
彼は自宅で療養するが、退院してほどなくして今度は脳梗塞を患い、身体に障害が残ることになってしまう。
また、番組では、そのユナイテッド・ヘルスケアで介護コーディネーターの仕事をしていたという女性も登場する。
ユナイテッド・ヘルスケアでは、患者の平均滞在日数(入院日数)を算出するAIが活用されていたという。
過去の事例で学習させたAIに患者のいくつかの条件を入力すると、AIが自動的にその患者の平均滞在日数を算出するのだ。ただし、そこには患者特有の個別事情は一切考慮されていなかった。
介護コーディネーターは、AIが算出したその日数との誤差を3%以内に収めることを求められたという。
自分の経験に基づく判断ではなく、AIの判断に従うことを求められた。もし、AIが算出した日数よりも過度に入院日数を認めてしまうと、その介護コーディネーターの社内での評価が落とされ、首を切られた。そうなると、介護コーディネーターとしてもAIの指示に従わざるを得なかった。
AIが10日と判断すれば、容態が悪くても10日で退院させられる。
このようにして、患者の入院日数を人(医師)ではなく、AIが決める状況が作りあげられていたのだ。
そしてその許容誤差は、程なくして1%以内に改められた。
彼女は、今まで介護コーディネーターとして働いてきた経験から見て、AIが算出した平均滞在日数が適切だと感じた案件は全体の25%くらいだったという。
それ以外の案件は全て、経験上必要だと感じる入院日数よりも短い日数をAIは出してきた。
長いと感じられる日数を出してきた案件は一件もなかった。




