インサイド・トヨタ(8)
新型カローラの開発にゴーサインを出すかどうか。
それを決める重要な会議が、トヨタ社内で開催される。
その会議には代表取締役会長の豊田章男氏も出席する。他にも各部門のトップである役員が参加する重要な会議だった。
その会議にも番組の取材カメラは入っていく。
会議は会議室というよりも、目の前に展示スペースがあり、そのスペースに向かって座席が並んでいるというような場所で行われた。
展示スペースには新型カローラの試作車が置かれており、それを見ながら話ができるような場所だった。
座席の中央には豊田章男氏が座り、並んで各部門の役員、そして末席に新型カローラの開発担当者が座る。
新型カローラのチーフエンジニアの福島氏が、豊田章男氏を始めとする参加者に、新型カローラのコンセプトや仕様などを説明していく。
途中、豊田章男氏から質問が飛んだ。
「(車の具体的な仕様は)どのように決めるの?」
「実際は、販売の現場の担当者と打ち合わせをしながら決めていくことになります」
福島氏のこの回答に対して、章男氏は、
「1000人の無責任な人の情報を取るよりも、本当に自分はこの車ほしいって人の10名の意見取った方がいいから」
と言う。
いかにしてユーザーが求める車を作るのか。
それを知っているのはユーザー自身なのだから、そのユーザーに実際に話を聞くべきではないのか。
そのような信念が章男氏の中にはあったのだろう。
話は新プラットフォーム(車台)の話に移っていく。
ガソリン車から電気自動車までをカバーする共通のプラットフォーム(車台)を開発することも、新型カローラ開発における重要であり、そしてハードルの高い課題だった。
技術担当役員である中島副社長が狙いを説明する。
「一番の問題はコンパクトなBEV(電気自動車)がトヨタには商品が全くないというところで、過去にも検討したんですが、お客さんに喜んでもらえるようなスタイリングのものができなかったのが実態です。
小さくてもバッテリーEV(電気自動車)が作れること、エンジンがついても低い構え(の車)ができるんだよといったことをやりたかった」
その新プラットフォームに対しても章男氏は切り込んでいく。




