インサイド・トヨタ(5)
番組では、現在開発が進められている新型カローラの開発現場を映し出していく。
カローラとはトヨタが1966年より製造・販売している乗用車のブランドである。
代を変えて販売が続けられていて、現在は12代目カローラが販売されている。
カローラは1997年に累計販売台数でフォルクスワーゲン・ビートルを抜いてギネス記録を樹立。現在も年間世界販売台数1位を記録し続ける、トヨタの主力ブランドの一つだ。
2023年末時点でグローバル生産累計台数は約5300万台に到達した。これは、トヨタが創業以来生産した自動車の5台に1台がカローラである計算になるという。
トヨタにとって「カローラ」とは、そのくらい重要な車種だった。
その新型カローラの開発を任されたのが、チーフエンジニアの福島徹氏だ。
トヨタには「チーフエンジニア(主査)」という役職が存在し、そのチーフエンジニアが開発責任者となる。
チーフエンジニアは特定の車種における企画、開発、生産、販売までのすべてを指揮し、その車に関する全責任と決定権を持つ「製品の社長」と呼ばれる独自で重要な役割を担う。
チーフエンジニアの福島氏は「CZ」と呼ばれる部署に所属する。
「C」とはトヨタのCセグメント(中型車)商品群を指し、そして「Z」は製品企画を指す。車の開発の心臓部となる部署だ。
福島氏は取材カメラにCZの居室を紹介していくが、居室の隅には、カローラ初代チーフエンジニアである長谷川龍雄氏が書いた色紙も飾られていた。カローラの礎を築いた伝説的なチーフエンジニアだ。
そこには、次のような言葉が書かれていた。
「地球人の幸福と福祉のためのカローラを」
非常に遠大な目標である。
だけど、そのくらい大きな視点を持っていたからこそ、カローラという車種がここまでの存在になったのかもしれない。
その時点で新型カローラの開発はまだスタート地点に立ったばかりで、各地から「こういう車を作って欲しい」という要望を聞き入れるタイミングだった。
どのような車を作るのか。
カローラ開発担当の一人は次のように語る。
「情報は何だって手に入るし、エンターテインメントもいっぱいある中で、何をしたら憧れてくれるんだろうなとか。
普通のどこにでもあるようなセダンを作っていたら、たぶんカローラって名前がなくなっちゃう気がするんで」
ユーザーが憧れる車を作る。
これは、「クルマ屋」としての一つの矜持なのだろう。
福島氏が開発部門、製造部門、販売部門と各部門を取りまとめながら、彼のリーダーシップのもと新型カローラの開発は進められていた。




