テスラ“安全神話”の真実(4)
2019年4月に、米フロリダ州でテスラ車の「モデルS」が一つの交通事故を引き起こす。
「モデルS」は信号や標識を無視して時速約100キロでT字路交差点に侵入し、路肩に停車していた車に衝突。近くに立っていた女性が亡くなり、恋人の男性も重症を負った。
事故を起こしたテスラ車は運転支援システムで運転されていた。
亡くなった女性の遺族と重症を負った男性は「運転支援システムに欠陥があった」として、テスラを連邦地方裁判所に訴える。
一方でテスラは「オートパイロットやFSDは適切に使用されれば安全性を向上させるものであり、最終的な車両の操作責任はドライバーにある」と裁判で主張した。
評決は2025年1月に出される。
連邦地裁の陪審は、テスラの運転支援システムに欠陥があったとの評決を下し、テスラに対して賠償金の支払いを命じた。
賠償額には補償的損賠賠償(1億2900万ドル)と懲罰的損害賠償(2億ドル)が含まれる。
補償的損害賠償のうち33%(4260万ドル)はテスラに、67%は運転手に支払い義務があるとされた。ただし運転手は今回の訴訟の被告ではないため、支払い義務はない。
テスラに命じられた賠償金は、補償的損害賠償と懲罰的損害賠償を併せて約2億4300万ドル(約360億円)にも上る。
テスラの運転支援システムに関する訴訟で、損害賠償を命じた初の評決だった。
テスラは評決に対して不服の申し立てを行い、判事に、陪審員による評決を覆すよう求める。
しかし、判事はテスラの申し立てを棄却する。
裁判で提示された証拠は評決を「十分に裏付けている」とし、テスラが評決を破棄するに足る新たな主張を提示していないと判断した。
この判決により、テスラの重大な法的・財務的責任が確定し、自動運転技術を巡る将来の訴訟に影響を与える先例となる可能性があった。
アメリカの連邦裁判所は一審(地裁)、二審(控訴審)、三審(最高裁)の三審制を取っているが、テスラは連邦地裁の判決を取り消すことを目指し、2026年7月に上級審に控訴している。




