テスラ“安全神話”の真実(3)
自動運転車の中には「LiDAR」というシステムが搭載されているものがある。
「LiDAR」とは、レーザー光を照射し、反射して戻ってくる光を検出して距離を測定するリモートセンシング技術だ。得られた距離情報を組み合わせることで、地表や構造物の3次元形状を作成することができる。
高精度な3次元空間データを非接触で取得できる能力から、地質学などで用いられているが、近年ではドローンや自動運転車用センサーとしても注目されている。
自動運転車に搭載することによって、車の周りの地形や障害物を物理的に検知することができる。
ただし、「LiDAR」には一点だけ欠点がある。
非常に高価なのだ。
イーロン・マスクは自動運転車に「LiDAR」を搭載することには否定的で、テスラ車には搭載されていないという。
彼は、技術が社会に普及していくためにはコストを下げることが必要だという信念を持っていた。
スペースXが実現しようとしている「使い回しのロケット」も目的はコスト低減だ。ロケットを使い捨てにしてしまうとロケットの発射コストが大きく上がってしまうので、ロケットを何度も使い回すことで発射コストを下げようとしている。
自動運転車についても高価な「LiDAR」を搭載すると車の価格が上がってしまう。自動運転車を廉価でユーザーに提供するためには、「LiDAR」に頼らない自動運転が必要だった。
テスラ車では車に搭載された8台のカメラで車体の周囲を全方位で撮影し、その映像をソフトウェア(AI)で解析して車の周りの地形や障害物を認識している。
そのソフトウェアに関して、2023年、テスラ社で整備士をしていた一人の従業員が内部告発を行う。
彼はテスラ社の内部データを持ち出し、ドイツメディアに提供した。そこには数千件の事故報告などの機密情報が含まれていた。
そこで、自動運転ソフトウェアの欠陥が明るみに出た。
AIには、「ハルシネーション」という現象が発生する場合があることが分かっている。
ハルシネーションとは、AIが事実とは異なる不正確な情報を、あたかも正しいことのように自信を持って出力してしまう現象を指す。
テスラ車に搭載されていたソフトウェア(AI)も、「完全自動運転」を謳っていたが内実は欠陥を抱えていて、ファントムブレーキ(思わぬ急減速)を引き起こす場合があることが内部告発によって暴露されたのだ。




