東野圭吾について(2)
東野圭吾の出世作と言ったら、やはり「秘密」だろう。
それまでは数多くいるミステリー作家の一人という立ち位置だったが、「秘密」がベストセラーとなったことで、「人気ミステリー作家」という位置にワンランク上がったようなかたちになった。
「秘密」は1998年9月に文藝春秋より単行本が刊行され、2001年5月に文庫化された。
累計発行部数は約224万部に達する。
この作品は第52回日本推理作家協会賞も受賞している。
1985年に第31回江戸川乱歩賞を受賞して作家デビューした東野圭吾にとって、二度目のタイトルだった。作品は直木賞にもノミネートされたが、惜しくもこの作品では直木賞は逃している。
また、1999年に映画化された際も話題になった。
映画では、主役である「杉田藻奈美」役を広末涼子が演じ、藻奈美の父親である「杉田平介」役を小林薫が演じた。
物語は、藻奈美が母親の直子と、直子の実家に向かうためにスキーバスに乗るところから始まる。
しかし乗ったバスが崖から転落してしまい、直子と藻奈美は病院に搬送される。結局、直子は亡くなってしまい、藻奈美は奇跡的に一命をとりとめた。しかしそれは、仮死状態になった娘・藻奈美の身体に、死んだ妻・直子の魂が宿ったためだった。
藻奈美の身体に宿った直子に平介は戸惑いながらも、周囲に決して悟られないように生活する。
これが物語タイトルにもある、藻奈美(直子)と平介の間の「秘密」になる。
しかし、長らく消えていた藻奈美の意識が再び現れ始め、直美でいる時間は徐々に短くなっていく。
藻奈美の中の直美は平介に別れを告げ、もう藻奈美の中で直美の意識が現れることはなくなる。
そして、最後にもう一つの「秘密」が明かされて物語が終わる。
作品は「推理小説」とは一線を画している。
どこかファンタジーにも近い。
私も刊行されて少し経ってから図書館で「秘密」を予約した。
「秘密」は人気作品だったから予約待ちが非常に多く、予約してから実際に本を受け取るまで結構な時間がかかった記憶がある。
そして実際に読んでみると、これまでの東野作品と毛色が違っていて少し戸惑ったのを覚えている。




