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或る人のFIRE日記  作者: 鷺岡 拳太郎
2026年07月

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生きた証を抱きしめて (4)


権藤氏の現在の悩みは、自分自身が10年間で培ってきたデスマスク製作の技術をいかにしてこの世に残していくかということだった。








一般人でも簡単に写真や動画が撮影できるようになった現代においても、やはりデスマスクによって救われる人はいるだろうし、そのためにもデスマスク製作の技術を残していきたかった。





権藤氏はカメラの前で次のように述べる。




「動画とか写真とかが発達してきたから、故人の面影を残す方法ができたのだろうから。


そういう時代にデスマスクをわざわざ残す必要もなくなってきつつあるだろうけども、そういう方法があるんだということを知ってもらいたいなというのが私の望み」








自分が培った技術を残すためには、弟子をとり、弟子に技術を教えて後進を育てていく必要がある。








しかし、デスマスク製作の依頼は年間10件程度。


それだけで生活していくのは難しい。


権藤氏は葬儀社を定年まで勤め上げ、その後にライフワークとして行っているからできているが、若い人がデスマスク製作だけで生活していくのは難しかった。


そのことも重々承知していた。








弟子の一人、安田さん(31)は、権藤氏のデスマスク製作のサポートをしていたが、彼女はデスマスク製作について次のように語る。




「『こういうのをやってみるのも寄り道としてそれが人生なんじゃない』と言っていただけて」




彼女自身もデスマスク製作だけで生計を成り立たせるのは難しいことは分かっていた。人生経験の一つとしてデスマスク製作を手伝っていたが、結局、別の場所に就職するために権藤氏の元を離れていく。


権藤氏は彼女を引き止めることは無かった。




権藤氏はしばらく一人でデスマスク製作を続けていたが、彼のもとに元さん(28)という新たな弟子が入ってくる。



挿絵(By みてみん)


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