貧困と生きる(3)
番組が追跡取材した二人目の子どもは、ブリタニーという白人の少女だ。
追跡取材を開始した2011年当初は9歳。
両親と兄と、小さな家で肩を寄せ合うようにして暮らしていた。
父親はもともとホームセンターで働いていたが、ホームセンターが閉店することにより職を失う。求職のためいろいろな企業に応募するがなかなか採用してもらえない。
もともと貧しかった家族は、請求書の支払いもままならなくなっていく。
ブリタニーにとって兄は非常に大きな存在だった。ありのままの自分を受入れてくれる。どんなことがあっても自分のことを守ってくれる。
彼らはお互いを励まし合いながら、何とか一日一日を生きていた。
そんな中、ブリタニーの母親は妊娠をする。
さらに子どもが増えるということは、金銭的に厳しくなるということを指し示していたが、両親は中絶せずに子どもを生むことを選んだ。その結果、彼らはますます貧困の縁に落ち込んでいく。何とか貧困から逃れようとはするのだけど、仕事も見つからなくて、どのようにして貧困から逃れればいいのかも分からなかった。
ブリタニー一家の食事は「フードバンク」によって支えられていた。
アメリカでは6人に1人が食料不安を抱えていると言われている。
アメリカのフードバンクは、そのような現状を背景に、廃棄食品の有効活用と貧困・飢餓対策として定着した支援ネットワークだ。企業や地域からの食品寄付が中心となっていて、大学や地域拠点で広く無料の食料配給が行われている。
食品の寄付では、例えば寄付した食品で食中毒などの事故が起こった場合に寄付した人の責任を問われてしまうと、食料寄付のハードルが上がる。
このことも、日本で食品の寄付が進まない一因だとされる。
しかし、アメリカには「善きサマリア人の法」と呼ばれる仕組みがある。
これは、窮地の人を救うために無償の善意の行動をとった際、結果的に失敗してもその責任を問われないという法だ。
新約聖書に登場する「善きサマリア人のたとえ」に由来する。
「善きサマリア人食品寄付法」は1996年にアメリカで制定され、善意で食品を寄付した個人や企業がその食品によって健康被害が起きても、故意や重大な過失がない限り民事・刑事上の責任を問われない。この法律により、企業は安心して余剰食品をフードバンクに寄付することができ、食品ロス削減と貧困支援が両立されている。
今やフードバンクは、低所得家庭だけでなく、経済的な理由で食品を必要とするあらゆる人を対象とする、アメリカの重要なインフラの一つとなっている。




