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9/9

ビジネスモデル成功と、美少女発生の理由とその結果

このコスプレイベントは、性別が変わって、超美しくなった自分をまずは鏡で堪能し……


「これが……私?」


二人とも、自分の姿に悶絶している。



次に村人や町の人たちの欲望の的となって、セリにかけられる。


一枚ずつ脱いでいただき、寸止めのところで、セリの最終の槌音を響かせる。


美貌を買われた奴隷気分が味わえる。校長や金持ちのマダムには刺激的らしい。


拍手喝采付き変身料として、人造宝石を支払えばいつでも解放される仕組みだ。




「結構な人気らしい。コスプレ遊び。6か月先まで予約で一杯だそうだ」


「趣味悪いな」


「思いついたのあんただろ? でも、バグスがそろそろ飽きちゃって、もう止めたいらしい」


私は無事帰還して、タクマと駅の近くのスタバにいた。タクマに誘われたのだ。


「美少年のリリカだけは手元に残しときたかったって」


校長あたりから聞いたらしい。


野球部主将のタクマは、実は背の高い細マッチョだった。

それが、ちんまい美少女だったんだから笑える。


「なんで掃除道具入れなんかに入ったのさ?」


タクマが興味津々と言った様子で聞いてきた。なんで、そんなことに興味を持つ? 彼は目元が涼やかな整った顔立ちだった。きっとモテるのだろう。


「古典が嫌いで」


「は?」


「サボっただけ。向こうから古典の先生が来たから隠れた。あの掃除道具入れに」


彼は笑った。私はちょっとムッとした。


「そっちはなんで掃除道具入れなんかに入ったの」


「好きな女の子が入っていったもんで、チャンスだと思ったんだ。ついて入った」


「へ、へえー?」


意外だ。キレイな顔してるくせに、女子不足なのか。。


「すごくかわいい女の子で、声かけるチャンス狙ってストーカーしてた」


ストーカー多いな、野球部。


「メガネを割っちゃったところに通りかかって、素顔がかわいくて、それ以来気になっててさ」


メガネ、割るヤツいるんだ。ま、私も割ったことあるから大きなことは言えないが。

それにタクマはメガネ女子好きか。意外だ。他にもいるかもしれん。期待しておこうかな、自分もメガネ女子だし。



コスプレ事業も一段落したし、無事に戻れた。


階段下の掃除用具入れが異世界に繋がっていただなんて、まるで嘘みたいだ。


こっちの世界が嫌になったら、もう一度行ってみたいな。

青い連峰の向こうには何があったんだろう。


「じゃあ……。話、終わったし」


帰ろうとした途端、ぐっと腕を掴まれて、椅子に押し戻された。


タクマが私を見つめている。


「あんたの後、すぐに入ったんだよ」


「は?」


「あんたのあと、付けてったんだ」


「え? 私?」


私は、かわいくなくて、背が高くて場所ばかり取って……そんなこと、ありえない。


タクマはそっとメガネを取り上げた。ビクッとした。


「とってもかわいい。とっても」


「わ、私は……背が高すぎて、大きすぎて、男子ウケしない!」


「オレの方が大きい」


それに、とタクマは付け加えた。


「感謝してくれ。あの時、オレが後からついてかなかったら、永遠にあの世界にいなきゃいけなかったんだ」


茫然とした。それはそうだ……けど。


「だから、オレと付き合って。感謝の証だ。それとも、やっぱりオレのこと嫌い?」


最後はお願いするような調子だった。笑ってしまった。


……だけど涙がにじんだ。ずっと言って欲しかった言葉だった。可愛いって。


「いや…その…嫌いじゃない……かな」


「じゃあ……」


「あ、でも、あの……」


全然男子と付き合うなんて考えたこともない。


「ちょっと待って……ほしいかも?」


がやがやしたスタバの片隅は柱の陰だ。


タクマの指がそっと頬に触れた。超絶美少年……ではないけど、フツーにかっこいい。どうしよう。目のやり場に困る……。


「じゃあ、オッケーてことで……まず、ここから出ようか。んで、デートしよう。あのね?」


タクマは悪意ありげにニヤリと笑った。


「金はあるんだ。コスプレ奴隷ごっこで儲けた金。一緒に楽しもう?」


彼は手を強く握った。なんかこれ、私、ウマ男以上にマズイのにつかまったのかも……奴隷とか、セリフがちょっと怖い。


「ね? 小窓から追いかけて行って、やっと捕まえたんだ。離さないよ」


それから彼は、目を逸らした。


「ずっと好きだったんだ」

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