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白豚貴族だったどうしようもない私に前世の記憶が生えた件 (書籍:白豚貴族ですが前世の記憶が生えたのでひよこな弟育てます)  作者: やしろ


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蜘蛛とマンドラゴラの誘い

いつも感想などなどありがとうございます。

大変励みになっております。

次回の更新は、4/10です。

 庭には葉っぱが子どもの顔ほどの大きさになる植物は植わっていない、はず。

 植わってないって言い切れないのは、源三さんに協力してもらって、マンドラゴラ村の住人達が何か変わった植物を育ててるからなんだよね。

 一応許可を出したのは私なんだけど、栽培地になっているのは家の周りの森。木を隠すなら森の中って言うじゃん?

 正直何が生えてるのかさっぱりだ。

 だって姫君様に御目通りを願って、何処からか風に乗ってやって来た植物もあるって言うし。

 まあ、いいや。

 その大きな葉っぱを見れば、可愛い丸文字で「おまつりのごあんない」と書いてあって。

 読み進めていくと。


「へぇ、マンドラゴラ村と蜘蛛蜘蛛ネットワーク構成員の皆で、合同でお祭りやるの?」

「そうなんだって。それでね、おれとあにうえとでしんさいん? やってほしいんだって」

「審査員? どういうこと?」


 ござる丸とタラちゃんに尋ねると、ござる丸がゴザゴザとタラちゃんに話しかける。それをタラちゃんが、単語帳を通じて教えてくれた。

 なんと、お祭りというのは一種のコンテストみたいな話らしい。


「蜘蛛達によるダンスバトルに、マンドラゴラ達の肉体美競技会? ダンスバトルは分かるけど、肉体美競技会とは……?」

「はっぱのふぁさっていうのとか、ぼでーのムキムキをくらべるんだって。ぼでーのムキムキってなんだろうね?」

「ぼでーのムキムキ?」


 分からん。

 お祭り開催日は本日の夜だそうな。

 話をよくよく聞いてみると、蜘蛛達とマンドラゴラ達は、以前からそういう集まりをちょいちょい開催してたそうな。

 それで仲間も増えて来たし、ここらで大きなお祭りのようにしたくなったとか。

 折しも私とレグルスくんが、奥庭で二人だけでキャンプをするという。

 この期に私達に、菊乃井ナンバーワン蜘蛛ダンスマスターと、マンドラゴラ肉体美マスターを決めてもらおうという話になったんだって。


「そんな面白そうなことしてたの?」

「しらなかったー!」


 昼間は楽しそうに踊ったり、町を守る仕事を情熱を持ってやってくれてたりするのは知ってたけど、夜の活動は知らなかった。

 だってござる丸なんか、陽が沈んだら寝床でぐうぐう寝てるんだもん。

 そのへんを尋ねると、ござる丸は「ゴザ~」と手を挙げた。タラちゃんが単語帳で教えくれる。


「えぇっと……『夜中』『起きる』……。ああ、そのお祭りの日は夕方に寝ても、夜中に起きてくるのか。そっか」


 なるほど。

 そういう夜更かしする日があっても、マンドラゴラ達も蜘蛛達も朝になったら働いてくれるんだ。全然オッケー。

 そういうことなら参加させてもらおう。

 レグルスくんと二人で「お招きありがとう」といえば、タラちゃんもござる丸もぴょいぴょい跳ねて喜んでくれた。

 そんなこんなで夕方。

 本日のお夕飯は奥庭でキャンプ飯をすることになっている。

 子ども二人のキャンプだから、私達からは見えないところで先生方が安全確認してくれることになってはいるけど、二人きりは二人きり。

 料理長が持たせてくれた食材を、ソーニャさんからもらった冒険セットのリュックに詰め込んで出発。

 ロッテンマイヤーさんと宇都宮さんがお家から「いってらっしゃいませ」と送り出してくれた。

 レグルスくんとお手々繋いで裏庭へ。

 夏は昼が長くて、まだ太陽が眩しい。

 奥庭のいつも姫君様が座っておられる木の近く、開けた場所にテントを置くことに決めて。


「行くよ~」

「いいよ~」


 離れた場所で手を振るレグルスくんの近くに、小さな円錐を放り投げる。

 するとぽふんっという音と共に、結構な大きさの円錐状のテントが現れた。テントよりちょっと豪華。

 ソーニャさんからもらった冒険セットにあったそれは、普段は小さな円錐だけど魔力を通して空に放り投げると忽ちテントに変わる優れモノ。しかも通す魔力で大きさと収容人数が変わるのだ。

 二人分の魔力はきっちりベッドを二つ備えたテントに早変わり。魔力で地面に固定されてるから、安定もばっちり。

 夕飯はこれもソーニャさんからもらった冒険セットの持ち運び用簡易魔術コンロで準備するんだ。

 これもリュックの中に入れてるときは手のひらサイズの玩具みたいな感じで、魔力を通すとそれなりの大きさになる。

 本日の夕飯は土鍋で炊くご飯と、豚汁と菜園で採ったトマトときゅうりのサラダ。

 サラダは料理長が作った物を持たせてくれたけど、ご飯と豚汁はこれから作るんだ。

 お水は水差しを持たせてくれたし、何より庭への散水用の水道がある。無くても魔術でお水は確保できるけどね。

 レグルスくんと豚汁に使うお野菜を切るんだけど、包丁と刀は使う技術が違うからか、大根や人参のいちょう切りの端が繋がっていたり、大きさが不揃いだったり。

 それもなんだか楽しくて、きゃっきゃしちゃうんだ。


「あにうえ、おなべにおこめいれたよ~」

「じゃあ、豚汁に入れるスペアリブを焼こうか」

「はーい」


 今日は豚汁って言っても御馳走豚汁だからね。お肉も豚と言いつつ、ダンジョンで奏くん達と獲ってきた猪のお肉だ。薄く切ったバラ肉も入れるけど、豪勢に骨付き肉も炙っていれちゃうよ!

 なんとかっていう狂暴な猪らしいけど、レグルスくんに木刀で脳天叩かれてそのままお亡くなりになったヤツ。

 ご飯は多めに炊いておいて、明日の朝の焼きおにぎりにするんだ。

 このテント、何と簡易冷蔵庫も付いてるんだよね。素晴らしい。残ったご飯と豚汁、それから明日の朝とお昼用の食材はこっちに入れておくんだ。

 二人できゃっきゃご飯を作って、食べて。

 気が付けば明るかった外は、星が煌めく夜空になっている。

 そこへ、外から「ゴザゴザ」と呼びかける複数の鳴き声がした。

 レグルスくんとテントの外に出ると、ござる丸やめぎょ姫、マンドラゴラ村の住人達と、タラちゃんやラシードさんの蜘蛛のライラやイフラースさんの蜘蛛・アメナ達蜘蛛蜘蛛ネットワーク構成員達が揃っている。


「こんばんは。お迎え、ご苦労様」

「みんな、こんばんは。たのしみにしてたんだ!」


 手を振ると、皆恭しくお辞儀で迎えてくれる。

 それからござる丸とタラちゃんが私達兄弟の前に立つと、先導するかのように歩き出す。他のマンドラゴラや蜘蛛達は、私達を護衛するように周りを固めた。

 導かれるままに歩くこと数分、家の周りの森にあるレグルスくんの秘密基地へ。

 そこに生えている桃の木は、若木のはずなのに凄く立派。そのうえ、電飾もしてないっていうのに、ほんのり光って見える。

 それに桃だけじゃなく、周りの木々も仄かに光っているようで、歩くのに全く支障がない。

 広場のように開けた場所に、椅子代わりの倒木があるんだけど、そこに二つ可愛い敷物が敷いてあった。これが私とレグルスくんの審査員席で、敷物はお土産だそうな。終わったら持って帰っていいんだって。

 遠慮なく座ると、ござる丸が「ゴザゴザ〜!」と叫んだ。

 すると同じくマンドラゴラ村の住人達も腕を天に向かって突き上げ、「ゴザゴザ~!」と叫ぶ。

 何だろうと思っていると、レグルスくんが笑顔で「おー!」と腕を振り上げた。


「レグルスくん、分かるの?」

「うん。いまのはござるまるが『盛り上がっていくぞー!』っていって、みんなが『おー!』って」

「おお、なるほど。じゃあ、私もレグルスくんに合わせて『おー!』って言えばいいやつ……?」

「そうだよ!」


 なるほど、あれはコール&レスポンスってやつだったんだな。

 頷いていると、またござる丸がゴザゴザ言ってる。それにレグルスくんが「次だよ」と教えてくれた。


「ゴザゴザゴザ~!」

「おー!」

「おー!」


 不思議なお祭りは、始まりも不思議なものだった。

お読みいただいてありがとうございました。

感想などなどいただけましたら幸いです。

活動報告にも色々書いておりますので、よろしければそちらもどうぞ。

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― 新着の感想 ―
これまでの殺伐さ?が嘘のようなメルヘン展開!
更新ありがとうございます。 ダンスバトルに、肉体美コンテスト。盛り上がってきましたね⁈ 自然界は時にセクシー大根や、面白大根を産むとか? 未だ実物を持ったことないです。いつか会えるのか⁇ 次回も楽し…
むきむきぼでーより白くてつやつやでむっちりぼでーの方が評価しやすいな……しかしみんな可愛らしい。試練だらけなのでこういう年相応のほんわかな息抜きはこちらもほっとする。
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