Part4 試作パーツ回収任務
超巨大企業による先進技術「星欠片」により、世界は大きく変化した。
金さえあれば永久が手に入る時代
然し、当然利益ばかりではない
表世界で人々が自適に暮らす間
裏路地では1人が死ぬ
残酷な彗星都市で自我を叫び、泥臭くとも生きる者たちの話です
※流血描写、グロ描写、鬱展開を含みます
※月曜日以外毎日1話更新予定
15区入り口には 数人の男が屯っている 八雲会だ
男達は皆刀を携え、着物を流し着している
腕や肩には、雲の刺青
誰が見てもわかる程度に柄が悪い
「いっちょかましてやるか…」
ノウルはふらふらと八雲会に近づく
八雲会構成員の中でも、特に体格の良い男が立ち塞がった
「何だぁおめぇ?」
「いやぁ~少しここを通りたくてね」
敢えて間の抜けた声で言う
「へっ とにかく通りたきゃ交通料だ」
「高すぎないか?」
「は?てめぇ何様だ?」
「少しまけてくれよ」
値段交渉に持ち込み、時間を稼ぐ
「(早くしてくれよ…エフィル)」
「あの建物です エフィル」
その頃…エフィルは15区に忍び込み、倉庫に辿り着いていた
ノウルの撹乱が幸いし、特に接敵せずに済んでいる
然し…
「当然…見張りは居るよなぁ」
倉庫の前には2人の八雲会構成員
戦闘は避けられないだろう
エフィルは大きく息を吐き、大剣をいつでも抜けるよう調整する
この程度なら「アレ」は必要無さそうだ
「ふぅ~ やるか」
「なっ…何だてめぇ! どうやって忍び込んだ!?」
エフィルは答えず、ただ宣告する
「今すぐ武器を捨てて降参してくれるかな?」
「てめぇアホか?これは…」
2人の八雲会構成員は刀を抜く
「痛い目見てもらうしかないなぁ!」
2人はジリジリと間合いを詰めてくる
「まだです まだ…今!」
エアの合図
それは敵が飛び掛かってくる瞬間
エフィルが動く
大剣を盾の様に構え、突進する
迫る刀を迎える様に 弾く
刀が宙を舞い、地面に刺さる
「なっ…」
続けてエフィルが一閃
湿った嫌な音が響く
八雲会構成員の腕が消える
「あ…ああ…うわぁぁぁぁっ!」
エフィルは男の叫びが聞こえないかの様に冷静に言う
「あと一人」
エフィルはゆっくりと歩く
歩きながら、大剣を大上段に構える
一歩近づく度に八雲会構成員の顔が青くなっていく
「ヒィッ」
八雲会構成員は本能的に 刀を使って防御姿勢を取る
その刹那 金属がぶつかる鈍い音が響く
振り下ろされた大質量に刀は耐えきれなかった
八雲会構成員の刀が砕け散る
「あ…ああ…あ…」
逃げなくては…
離れなくては…
ゆっくりとしたエフィルの足音
引き摺られる大剣の金属音
死の音の恐怖を前に
八雲会構成員は容易に意識を手放した
「…気絶しましたか…」
エフィルはふっと肩の力を抜く
急いで試作パーツを回収しよう
エフィルは扉の前に立つ
当然扉には電子ロックが掛かっている
「エア お願い」
「了解で〜す!」
エフィルは懐に携帯している瓶から粉末を取り出す
星屑だ
エアの星屑波形に共鳴した星屑が電子回路に侵入する
そのまま物理的に回路を焼き切り 解除する
「…よしっ!開きました!」
「ありがとう エア」
倉庫内部
少し埃っぽい空気
「え〜っと試作パーツの箱は…」
「「工房の刻印がある」らしいですよ〜」
エフィルは順々に棚を見ていく
一番上…真ん中…
面倒だがこればかりは仕方ない
虱潰しに探していこう
3番目の棚…真ん中…
「あった!」
「何やってんだ?」
背後から声が掛かる
八雲会の増援か?
エフィルはゆっくりと振り返る
「よっ!」
「なんだ…びっくりした…」
「おっ! 回収出来たみたいだな」
ノウルは倉庫の出口を示す
「増援が来てもアレだ さっさと逃げようぜ」




