Part6 死の商人は客を選ばず
超巨大企業による先進技術「星欠片」により、世界は大きく変化した。
金さえあれば永久が手に入る時代
然し、当然利益ばかりではない
表世界で人々が自適に暮らす間
裏路地では1人が死ぬ
残酷な彗星都市で自我を叫び、泥臭くとも生きる者たちの話です
※流血描写、グロ描写、鬱展開を含みます
※月曜日以外毎日1話更新予定
「コチラは『貫蜂』 超距離狙撃に特化したモノ…… 装弾数一発 装填にかかる時間は15秒程 更に対応しているのは自社製特殊弾のみトハ……」
その異常に長い銃弾を撫でる
「馬鹿ですネェ……」
ショーケースに並ぶ武器達
「このコは『翔渡鴉』 反動を利用した高速移動機構に挑んだショットガン…… 馬鹿ですネェ」
その中でも一際光を放つそれが気になり 無意識に手を伸ばす
「オヤ その子ですカ」
ショーケースを開き 手袋をつけた手で取り出しながら説明を始める
「『黄金郷』 コスト度外視 あらゆる技術 一級素材が惜しみなく費やされた拳銃」
やれやれと頭を振る
「コレを作った工房は資金難で潰れました」
そういう彼女は 微笑んでいた
「このコ達は商品にはなりまセン」
「価格は異常 仕様はピーキー 整備性はクソ」
ここにある骨董品たち
それらを愛おしそうに眺め 呟く
「馬鹿ですネェ……」
――――――――――――――――――――――――
上の階から扉を叩く音が響く
「オヤ オキャクサマですネ」
パタパタと小走りで階段を上がる背中を ゆっくりと追った
リーが扉を開くと そこに居たのは……
「よぉ 嬢ちゃん 世話になったな!」
黒光りする甲冑に身を包み 頭には二本の角
その顔は…… 丑
便利屋協会で共有されている「十二支使『丑』」その者だった
――――――――――――――――――――――――
「お前…… 何を……」
丑の眼前に飛び出そうとした瞬間 リーに制止される
「それで 本日な何のご用デ?」
「約束通り報告に来たんだよ」
丑はニヤリと笑うと宣言する
「そろそろおっ始めるぞ」
「一世一代の稼ぎドキ ですネ」
「アンタにとっちゃそうなんだろうな 所でだ…」
丑は手に持つ大剣でこちらを指す
「嬢ちゃん アンタああいう便利屋にも商売してんだろ? 敵対勢力なんかにも武器卸していいのか?」
「構いませんヨ 武器屋は客を選びまセン」
「ははっ! そうかい アンタはどっち側で参戦するんだ?」
「敢えて開示する必要も無いデショウ? 始まれば戦地で会うでしょうシネ」
――――――――――――――――――――――――
リーの注意が会話に向く瞬間……
身体は既に動いていた
大剣を取り その勢いと遠心力の儘、丑の脳天に振り下ろす
「おっと!」
然し丑の剛腕 人ではあり得ない速度で構えられた大剣に阻まれた
「中々良い筋じゃねえか なぁ!」
丑が力を籠めると 打ち込んだ時の倍で跳ね飛ばされる
「悪かねぇ 悪かねぇ打ち込みだ」
丑は顎に手を当てる
「……或いは 彼奴が十三番目…… なんてな」
思考を遮るように訊く
「貴様らは何を始める気だ」
「ああ? なんだ知らねぇのか」
丑はゆっくりと口を開く
「あの打ち込みに免じて教えてやろう」
大剣を大きく振り 納めた
「戦争だよ」
「………」
その言葉が ひどく耳に残った
「また会おうぜガキ! 後お嬢ちゃんもな!」
その蹄は 遠く 遠くへ消えていった
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