Part1 便利屋の休暇 それと武器屋
超巨大企業による先進技術「星欠片」により、世界は大きく変化した。
金さえあれば永久が手に入る時代
然し、当然利益ばかりではない
表世界で人々が自適に暮らす間
裏路地では1人が死ぬ
残酷な彗星都市で自我を叫び、泥臭くとも生きる者たちの話です
※流血描写、グロ描写、鬱展開を含みます
※月曜日以外毎日1話更新予定
「……………今何時だろ」
エフィルはベッドの上で思考する
もう日は昇る……というかもう数刻で沈み始めそうだ
眠気眼をこすりながら見た壁にかかった時計の針が指す時刻は……
「!? もう11時じゃん!?」
ヤバい…… 流石に寝すぎた……
便利屋の休日は貴重だ
街灯協会は比較的ホワイトな労働環境だが 依頼が立て込めば休みが暫く取れない事など珍しく無い
現に今も13日ぶりの休暇である
「………何かするか……」
流石に無為には終わらせたくない
何とも無く自身の仕事道具を引っ張り出す
……………汚な………
整備でもするかぁ………
――――――――――――――――――――――――
ふふふ………
エフィルの部屋から聞こえる騒がしい音を聞きながらエアはほくそ笑む
全ては私の計画の為だ
目覚まし時計を止めたのも、前夜エフィルを引き留めたのも、当然起こさなかったのも
だって………
「あの部屋流石に汚すぎるんだもん!」
――――――――――――――――――――――――
服、防具、その他諸々
数多の技術が使われた便利屋の仕事道具達はとても頑丈だ
然し道具は劣化するもの
連日の戦闘で服は解れ、被弾箇所は破れ、穴が空いている ついでに血と汗で臭い
些細な損耗も放っておくと命取りとなるらしい サルヴァさんの教えだ
解れを整え、穴を補修し、星唄社の「御声」で浄化する
資金も無限に湧くわけじゃない
依頼制が常の便利屋なら尚の事、次に金が入るのはいつかなど未定だ
直せる所は直して、節約しなくては
「しかしなぁ………」
仕事道具の中で最も重要と言っても過言ではないもの
一振りの大剣
幾度となく敵を裂き、穿ち、命を預けてきた相棒
その刃には刃毀れが、刀身にも大小の傷が目立つ
生憎鍛冶屋の技能は無い
「……どうするかなぁ……」
思案に明け暮れていた所で 扉が開く
――――――――――――――――――――――――
「エフィル 起きたか」
サルヴァドールがこちらを見下ろす
「ごめんサルヴァさん……… 寝すぎた」
その言動に怒りは感じられないが……
肩幅の広い老兵に見下されるのは否が応でも迫力がある
「いや いい 疲れているんだろう」
ふぅ……… 命拾いした………
「それよりこれは……」
「道具の整備をしようかな……と」
流石にこの損耗具合には思う所があるらしい
「………次からは早く伝える様に 良いな?」
「………ごめん」
サルヴァドールのいい所は数多あるが その一つは「後を引かない」事が挙げられる
「それなら…… 今夜 空いてるか?」
今夜? 特に予定は無いけれど……
「はい 何を……」
「連れて行きたい……いや 行くべき所がある」
連れて行くべき所……か
恐らく大事な事なんだろう
「分かりました」
それに……
久々に父親?とお出掛け?も悪く無いだろう
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