Part4 鉄
超巨大企業による先進技術「星欠片」により、世界は大きく変化した。
金さえあれば永久が手に入る時代
然し、当然利益ばかりではない
表世界で人々が自適に暮らす間
裏路地では1人が死ぬ
残酷な彗星都市で自我を叫び、泥臭くとも生きる者たちの話です
※流血描写、グロ描写、鬱展開を含みます
※月曜日以外毎日1話更新予定
………堂々としてればバレない…堂々としてればバレない…
自分に言い聞かせる
爆発物処理班ってこんな緊張感なんだろうな……
何しろ今は……
『スタッフの服』で変装しながら『レーシャが入っているダミーの箱』という爆弾を運んでいるのだから
作戦はこうだ
まず適当なスタッフを殴り(流石に可哀想だった…)
レーシャを競売品保管室まで運び
レーシャが盗り次第なんとか逃げる
いつ見ても無理があるだろ……
なんだよ「なんとか逃げる」って……
「これ本当にバレてないんだよね?」
通信機で箱の中のレーシャに問う
「大丈夫ニャ オークションは各組織がスタッフを出し合ってるから服装はバラバラニャ 腕章さえあればOKニャ!」
ホントかなぁ……
その時
背後に熱を感じる
こっちの世界の者なら誰もが感じた事のある感覚
「殺気」
見ると首に銃を突きつけられている
「……わニャニャ……鉄工会ニャ……」
『ヤバい感じだな……焦るなよ……』
鉄工会 銃を扱う実利主義の組織
単独で会場を出歩けるとは恐らく幹部……それ以上の可能性もある
ゆっくりと振り向くと一人の女
髪は長く 銀色
その目には限りなく冷たい青が浮かんでいた
「名前とナンバーは?」
その声も凍えそうな程冷たい
「スタッフナンバー12_56 コ…コルトです」
怪しまれぬようなんとか冷静さを保ち 腹に力を込め震えを止める
「そうか この箱の中身は?」
その緊張感、威圧感に身体が震え 酸素が薄くなる
「さ…作品A12「月陰湖畔」です」
「そうか」
「ッ!」
不意に頬を掴まれる
爪を立て、頬に赤い線が引かれていく
「仕事にかかれ」
それだけ言うと女は去っていった
なんとか助かった……か
『危なかったな 良くやった』
「急いだほうが良さそうだニャ」
足を速め 保管室に急ぐ
保管室
埃一つないその空間には様々な品々が所狭しと並べられている
明らかに高そうな宝石をあしらわれた芸術品
何がモチーフか良く分からない絵画
珍妙なオブジェ(見る人が見れば分かるんだろう)
和洋折衷異文化沢山 正に混沌だった
当然カメラが点けられ 入り口には守衛も居る
「ンじゃレーシャさん 頼みましたよ」
「了解ニャ! 頑張るニャ〜!」
後は手順通りやれば……
「僕達も早く逃げるよ」
『走るなよ?怪しまれるぞ』
焦らず、只急いで オークション会場を後にする
女は誰かに連絡する
「私だ 鉄工会特殊部隊『金剛』隊長フェルムだ」
部下と思わしき男が出る
「鼠が1,いや2匹入った ……いや運営への通報はいい それより……」
その顔にはどこまでも狡猾で凶暴な笑みが浮かんでいた




