Part2 任務要項
超巨大企業による先進技術「星欠片」により、世界は大きく変化した。
金さえあれば永久が手に入る時代
然し、当然利益ばかりではない
表世界で人々が自適に暮らす間
裏路地では1人が死ぬ
残酷な彗星都市で自我を叫び、泥臭くとも生きる者たちの話です
※流血描写、グロ描写、鬱展開を含みます
※月曜日以外毎日1話更新予定
「やぁ おはよう 新しい任務があるよ」
「また任務通達ですか……いつものやつ お願いします」
『ははっ あの宴会芸 俺好きなんだよなぁ〜』
「はいはい」
所長はペラペラと頁を捲り、ある頁を探す
そこには穴が空いていた
黒く、塗りつぶしたような穴
「出すよ 受け取ってね」
頷いて肯定の意を示す
穴からペンの音とインクの匂いが漂う
「カサッ」と音が鳴り、穴から紙が吐き出される
「『所長FAX』! なんてね」
まだ温かい紙を拾い上げ、読み始めた所で 怪訝そうな声が聞こえる
『長すぎだろ…… 後でまとめたやつ見せてくれ』
「待てオルター! それを作るの誰だと思って……」
『よろしくなレイセン んじゃおやすみ』
「クソ……」
――――――――――――――――――――――
『任務要項』
作成者:レイセン
目標 罹湾者の影響を受けた物品「湾曲物」確保
湾曲物『孤独紙』 とある作家の影響を受けた物品であり形状は一般的な手記 罹湾者確保後に存在が発見され、異常性を持つ可能性を考え確保
協力、支援 歪獣協会より便利屋1名
留意事項
『知りたきゃ頭下げて聞きに来いクソガキが』
――――――――――――――――――――――
『!? おいレイセン! どういう事だ!?』
「そのままの意味だよ 言葉はわかるよな? あっふり仮名が必要かな?」
『チッ…クソッ…』
頭の中で響く恨み言が心地良い
久方ぶりの情報優位だ 活かさせてもらおう
「さぁ〜てじゃあ言う事は?」
『教えろ!』
「もう一回チャンスをあげようかな」
『……教えて下さい』
顔を見なくても顰めっ面がわかる様な声だな
でも……まぁ良いか そろそろ流石に可哀想だ
「良く言えました〜 茶番はこれくらいにしようか」
と言って説明を始める
理解力の乏しいオルター君に教えるのには些かコツが要るのだ
「さてと……今回の留意事項は「湾曲物がある組織の管理下にある」事だよ」
『ある組織……って言うと何処だ? 『鉄工会』か?『八雲会』…はこういうのには出張らないだろうし……手記って事は『真実ノ美』か?『記憶保管所』か?』
オルターは中々いい線行ってるんだけど…
「残念違う どれも「今は」違うね」
頭の中で不正解の効果音が聞こえた気がした
『じゃあ何処だよ!?』
「「まだ」分からない」
頭の中のオルターが頭を掻き毟っている
『まどろっこしい! どういう事だ!? はっきり言ってくれ頭が破裂しそうだ!』
「販売されるんだよ オークションで」
『……湾曲物の販売は禁止だろ?』
「非合法のオークションに決まってるじゃないか この時期の……」
『「アンダーグラウンドオークション」か』
「御名答 ウチじゃないけど毎年公安課の奴らが見張ってるだろ?」
『って事は…任務ってのは…』
オルターの声に真剣な響きが満ちる
「オークションに潜入 盗るか落としてこいってよ」
『どっちにすんだ?』
はぁ~ とわざとらしく溜息をしてみる
「ウチに落とすほどの経費あると思う?」
『だよな って事はよ!』
コイツ……期待しやがって…
頭の中のオルターは爛々と目を輝かせている
「当然 「盗る」んだよ」
脳内で万雷の拍手と歓声が響き 意味がないと分かりながらも耳を押さえる
「うるさいぞオルター……」
『だってアンダーグラウンドオークションだぞ!あの烏合共が熱り立ってで出陣するのウザかったからな』
ニヤリと笑うオルターに釣られて、こちらも怪しい笑みを浮かべてしまう
『久々の祭りだ! 楽しむぞレイセン!』
「……まぁよろしくね オルター」




