Part1 狩人
超巨大企業による先進技術「星欠片」により、世界は大きく変化した。
金さえあれば永久が手に入る時代
然し、当然利益ばかりではない
表世界で人々が自適に暮らす間
裏路地では1人が死ぬ
残酷な彗星都市で自我を叫び、泥臭くとも生きる者たちの話です
※流血描写、グロ描写、鬱展開を含みます
※月曜日以外毎日1話更新予定
「ここもハズレか……」
異臭の漂う裏路地を一人歩く
「さて 帰りますか」
どうやらこの辺りも治安悪化が見られるようだ
併せて報告書を書こう……
そこまで考えている時 鼻が何かにぶつかる
「なんだよテメェ!」
……どうやら面倒なのにぶつかってしまったようだ
「テメェ!何処のもんだ! 怪我でもしたらどうする!?」
「すっ……すみません!」
「おいどうすんだよ!ああ?」
此処は穏便に……ってか普通に勝てないしなぁ…
『なぁ……代われよ』
声が聞こえる 「もう一人」の声が
「聞いてんのか?ええ?」
「すみません!すみません!」
『全く……相変わらず弱虫だな』
逃げようか……いや足が動かない…
「やっぱ痛い目見てもらうしかねぇなぁ!」
「ひっ…ひい!」
『ああ……もう見てられねぇ…』
悪いな 出るぞ
そう聞こえた気がした後 いつもの様に視界が歪む
「テメェ!殴…」
『早くしろよ よく泣く犬だなぁ…」
「オルター……殺すなよ?」
頭の中で弱虫ちゃんがピーチク言ってら
『分かってるよ」
そのまま足を踏み出し 拳を振るう
指から痺れる感覚と何かを砕いた音が走る
男は鼻面を抑えながら走っていく
やっぱりな ああいう雑魚はコレだからつまらん
『一応名乗るぜ!俺はオルター さっきの弱虫はレイセンってんだ!」
聞こえるか分からない名乗り口上は夜空に消えた
「おやお疲れ様 2人とも」
住処でもある「東部特異事務所」に戻った1人…いや2人を迎えたのは所長の丁寧な挨拶だった
所長の周りはいつも珈琲の香りと柔らかい雰囲気で満ちている
彼が狩人で しかも狼級とは信じられないぐらいに
狩人……
彗星都市の警察機関
便利屋とは似て非なるもの
主に「上」からの指令を受け、遂行する
その行為は正義の名のもとに絶対である
当然階級分けがあり 下から
鼠 山猫 大鳥 獅子 狼 竜
となる
特に「東部特異事務所」は湾曲体関連の事件を扱う事が多い
「はぁ………疲れました…」
『最高だったぞ なぁ?』
「やめてくれオルター ただでさえ疲れて…」
『俺のお陰だろ?ほら〜感謝がまだだぞ?』
「チッ……」
「自分で自分に論破されるとは……なかなか面白い身体だねぇ」
「所長も人のこと言えないのでは……」
いやいやと首……いや「本」を振りながら所長「エニグマ」は言う
「私は至って普通だよ?268頁の5行目にも書いてある」
2人を「もう休むと良い」と送り出してから自分の頭をパラパラと捲り例の頁を開く
『人事評価 レイセン・オルター』
※この人物には多重人格が見られ、不安定性を加味し獅子級に留めるものとする
「……どうにかならないかなぁ…コレ…」
勿体ない と
「早く狼級にでも上げてやれば良いのにねぇ」
元罹湾者の言なんて 通るわけは無いけどね




