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救いなき世界の裏路地で  作者: 案内人
0章「彗星都市の日常」
3/6

Part2 技術の結晶

超巨大企業による先進技術「星欠片」により、世界は大きく変化した。

金さえあれば永久が手に入る時代

然し、当然利益ばかりではない

表世界で人々が自適に暮らす間

裏路地では1人が死ぬ

残酷な彗星都市で自我を叫び、泥臭くとも生きる者たちの話です


※流血描写、グロ描写、鬱展開を含みます

※毎週日曜日更新予定

エア「今日も来ました〜!お願いしま〜す!」


エアが扉を開ける


そこはまるで図書館


大量の書物が蓄えられた知識の山


情報系便利屋(フィクサー)協会「視線協会」


それが誇る大書庫である



???「おっ! 来たね」


???「お久しぶりです エア様」


その奥には2人


金髪に長いコートを羽織り椅子にもたれ掛かる女性


その脇には糊の効いたスーツを着込み、恭しく礼をする男性


女性「早速始めますかっと ミラ 用意して」


ミラと呼ばれた男性はいそいそと機材を並べ始める


ミラ「準備出来ました エア様 こちらへ」



エア「じゃあ お願いします」


というとエアはバッグを置き椅子に座る


女性「はい 肩の力抜いて〜」


そう言うと女性は機材を巧みに使い 様々なデータを取っていく


エア「その数値をみるだけで何故そこまで把握が…?」


女性「ん? 私を誰だと思ってるんだい? 「視線協会大書庫管理人」ライツ様だよ」


そう 彼女こそが視線協会の実質的なトップ


サルヴァドールとも肩を並べる一流の便利屋フィクサーであり情報屋


その性格は…唯我独尊と言った所か


ミラをはじめ振り回されている職員も多い


然し結果は必ず出す それが管理人足る所以である


年齢でいえば軽く60は過ぎている筈だが…


エア「(いつ見ても精度の高い若返り施術跡…どう見ても30… 一体幾ら積んで…?)」



ライツ「さて 終わったよ 異常なし!」


エア「いつもありがとうございま〜す」


扉が僅かに開き ミラが入って来る


ミラ「お二方 お茶の用意が整いました」


ライツ「おやつ!おやつ!」


ライツが慌ただしく走っていく


ミラ「……はぁ……」


エア「と…とりあえず 私達も行きましょう〜」



ライツ「なんだか私のクッキーだけ少なくないかい?」


ミラ「最近食べ過ぎですよ…」


2人の会話を聞き流しながら エアはふと疑問を口にする


エア「…ライツ様は何故そんなに私を気にかけて下さるのですか?」


ライツはフッと笑い、答える


ライツ「当たり前じゃないか その身体(機械義体)を作るのにに幾らの金と時間をかけたと思ってるんだい?」


エアの身体は特別製オーダーメイド全身義体「ECHOエコー


「人に限りなく近い身体」



ライツ「良いものを見せてあげよう ミラ…準備」


ミラ「…はい」


ミラは慌てて紅茶を飲み干すとプロジェクターを用意する


ライツ「ええと…あの記録は…あった!」


ライツが取り出したディスクには「星屑波形スターダストパルス調査記録」と書かれている


ライツがディスクをセットするとスクリーンには空が映る


汚れた彗星都市の夜空が…




エア「なんでしょう…この記録…懐かしい…」


ライツ「いわば アンタの故郷…だからね」


星光社スターライトコーポによる発電


空から降る「星」と呼ばれる高エネルギー物質の変換


彗星都市で最も普遍的なエネルギー源


然しその技術の代償は空を漂う


星屑(スターダスト)」の生成による環境汚染


ランダムな波形(パルス)を放つ星屑(スターダスト)は取り込めば身体に害を与える


いまや星屑スターダストは大量に彗星都市の空を漂い 美しく汚染している


その中に偶然…1京分の1で生まれた星屑波形(エア)


泡沫で消える定めだったそれは


視線協会大書庫管理人(ライツ)の手で拾われ身体(ECHO)を与えられた


星屑波形(スターダストパルス)であるが故、エアには「遠距離通信(テレパシー)」のような力がある


また 星屑(スターダスト)を利用し、物理的に電子機器の回路に侵入、ハッキングが可能だ



映像を見終わったエアは…身体をさする


異常な拘りにより、味覚、関節の動き、瞳の水、伸びる爪と髪、極限まで人に近い身体


エア「…非合理です…」


ライツ「それが人間ってもんさ」


エア「…ありがとうございます…」


ライツは微笑む


実際は身体にどこまで近づけられるか試していたら止まらなくなっただけ…これは言わぬが花だろう



エア「またよろしくお願いしま〜す」


エアが走り去っていく姿を見ながらライツは呟く


ライツ「この年で おてんば娘を拾うとはね 私もサルヴァも」


ミラ「慌ただしいのは母親似と言うか…」


ライツ「今なんて言っ…え?」


振り向いたライツは気付く


ライツ「エア〜!バッグ忘れてるよ〜!」


そこには忘れられたエアのバッグがあった…

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