Part7 レーサー
超巨大企業による先進技術「星欠片」により、世界は大きく変化した。
金さえあれば永久が手に入る時代
然し、当然利益ばかりではない
表世界で人々が自適に暮らす間
裏路地では1人が死ぬ
残酷な彗星都市で自我を叫び、泥臭くとも生きる者たちの話です
※流血描写、グロ描写、鬱展開を含みます
※日曜日以外毎日1話更新予定
男は這いつくばり懇願する
「頼む!助けてくれ!」
「んじゃ情報吐くニャ」
レーシャはサディスティックな笑みを浮かべる
お~いレーシャ?ジジイが若干引いてるぞ
「ニシシ…この絵 アタシ見たことある〜 高いんでしょ〜?」
レーシャは爪を絵画に立てながら言う
「ほらほら〜 早くゲロっちゃおうニャ…」
若干 乾いた音…何かを突き破る音が聞こえた気が…
「わ…分かった! 何だ?何が聞きたい!?」
「湾曲体に関する情報全部 吐きな」
「…!? それは……知らん」
「ニャルほどこの絵破かれたいのね」
「本当だ! 本当に知らない! 俺等もアイツを探してんだ!」
なんだか哀れになってきたな……
上には報告しないでおいてやろう
ん?待てよ……
「そりゃ……どういうことだ? 話せ」
レーシャから話を引き継ぐ
「俺等は偶然取っ捕まえたアイツを賭けに使ってたんだ レースさせてな でもつい先日……ピットは蛻の殻だったよ」
「テキトーこいてんじゃないよな?」
「まさか……ピットを見せてやっても良いぞ」
ったく無駄足だったか
お互いがお互いを怪しんでたと 不毛だな
「なんか手掛かりとかはねぇのか?」
こうなりゃダメ元だ
「特には……いや……」
ボスはなにやら部下と話してやがる
「何話してんだ」
「いや……お前……狼…だよな?」
「そうだが だから?」
「だったらアレが使えるかもな」
ボスはニヤリと笑い 部下に指示する
「「アレ」持ってこい そう ピットにあったアレだよ」
「スンスン……この辺だな」
「それ」を追って辿り着いたそこはとある広場
野球場ほどの大きさだろうか
「にしてもあの南部レイズ 少しは役に立つじゃねぇか」
南部レイズから貰ったもの 湾曲体を追う手掛かり それは……
「まさか焼け落ちたタイヤが役に立つとはニャ」
そう 焼け落ちたタイヤ
ターニャの優れた嗅覚はその匂いを捉え ここへ導いたのだ
「全く 2人とも良くやったのぉ ここで待ち伏せしよう」
それはそれとして……少し腰が痛いんじゃが……
………誰か水とロキ〇ニンを………
……突如 爆音が響く
激しい駆動音と咽るような排気
ガソリンと焼け付いたタイヤの匂い
ターニャの目が爛々と光る
「アレが今回の獲物だよな」
「そのようじゃの」
「だったら…殺っても…良いんだよなぁ!」
「ターニャ! 待っ…」
ターニャが飛び掛かり 一際激しい駆動音が響く
衝撃音と共に ターニャの身体が宙を舞う
「ターニャ!」
この瞬間のターニャの意識は 異常な迄に冷静だった
…クソ痛ぇ…
撥ねられた…のか…
身体の損傷は…そうだな 腕、足、腹ってとこか
まぁ良い……
この不快感も血の味も全て愉悦に
今この瞬間をただ楽しむ為に
「湾曲ID 発現」




