Part2 落とし物
超巨大企業による先進技術「星欠片」により、世界は大きく変化した。
金さえあれば永久が手に入る時代
然し、当然利益ばかりではない
表世界で人々が自適に暮らす間
裏路地では1人が死ぬ
残酷な彗星都市で自我を叫び、泥臭くとも生きる者たちの話です
※流血描写、グロ描写、鬱展開を含みます
※日曜日以外毎日1話更新予定
歪獣協会
ふぁ~最近退屈だなぁ… 暑くて寝苦しいし
まぁたまにはゴロゴロしてるのも 良いかな
今日はこのまま ドラマでも一気見するかな…
そんな事を考えながらテレビを点ける
一応彗星都市にもテレビ放送ぐらい残ってる
まぁ… いろんな娯楽のせいで廃れかけてるけど…
さてと 今日のニュースは…
『悲劇のレーサー引退から1年 激走の記録』
『65区にて不審な礫死体26人』
なんだか 暗いニュースばっかり
「少しは明るいネタ探しなさいよ!」
「どうした?」
ターニャがこっちを向いた
あっ…ヤベ… 口に出てた…
気不味い沈黙を斬り裂く様に 落ち着きを孕んだ声が聞こえる
「2人とも 少し良いかの?」
リウ爺がこう聞いてくる時は大体「いつものパターン」だ
次に来る言葉は…
「依頼が入ったんじゃ」だろう
「依頼が入ったんじゃ」
ほら 当たった
でも 次に来た言葉はアタシの予想外だった
「今回の依頼主はA社 湾曲体鎮圧じゃ 皆 65区に出発じゃ」
協会の空気が一段階 冷たくなる
暫く 退屈することは無さそうだニャ
〜移動中〜
「65区と言えば最近流行りのオウルプリン!なんと…」
「早く寝とけよ あと15時間かかるんだぞ」
「15時間で着くのか… 最近の列車はすごいのぉ…」
「駅弁!駅弁! ってダメだよリウ爺!」
「?なんじゃ?」
「食べる前に写真撮らニャイと!」
「来ちゃったニャア… 65区」
さっさと依頼を片付けて余った時間でプリンを…
そこまで考えた所で申し訳なさそうなリウ爺の声が聞こえる
「実は今回の依頼…少し面倒な事になっとってのお…」
リウ爺は人目を憚るように路地に入る
「湾曲体の現在地が不明なんじゃ 被害からしてここなのは確かなんじゃがなぁ」
ってことは…
探偵ごっこと行こうか
近くを歩いてる男にもたれ掛かり 話しかける
男の肩がビクンと揺れた 知らん奴に声かけられたんだから当たり前か…
「な…なんだよ…」
「ねぇ おにいさん?」
男の顔が毒気を抜かれたように緩んでいく
こ〜んな美少女に声をかけられたんだから当然よね
「湾曲体って知らない?」
ターニャが話に割り込んでくる
「おいレーシャ! 何やってんだよ?」
「何って… 聞き込み調査」
「んな聞き込み調査があるかよ…」
見る見るうちに男の顔が青ざめていく
「し…知らねぇよ! 俺…俺…急いでんだ!」
男が走り去っていく
怪しいね…
「逃げられちまったな」
「そうだねぇ…」
言いながら私は不敵に笑う
「敵を騙すには味方から」ってね
裏路地時代に鍛えた「テクニック」
「「落とし物」しちゃったみたいだね」
私はもたれ掛かった時にすった男の身分証を取り出す
「届けてあげなくちゃ…ね」




