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救いなき世界の裏路地で  作者: 案内人
第2章「ノンストップ・サーキット」
17/36

Part1 歪獣協会

超巨大企業による先進技術「星欠片」により、世界は大きく変化した。

金さえあれば永久が手に入る時代

然し、当然利益ばかりではない

表世界で人々が自適に暮らす間

裏路地では1人が死ぬ

残酷な彗星都市で自我を叫び、泥臭くとも生きる者たちの話です


※流血描写、グロ描写、鬱展開を含みます

※日曜日以外毎日1話更新予定

とある裏路地


薄汚れた空気の中で中堅のフィクサー達が会話している


本来は協会ごとに別行動であるが、こうしてばったり遭遇した際には言葉を交わすことも少なくない


会話は この彗星都市に置いて 数少ない娯楽の一つだ


依頼に関すること、情勢、世間話から愚痴まで 話す内容は多岐に渡る



「…そうだ お前こんな噂を知ってるか?」


「…どれだ」


「「元罹湾者を集めたフィクサー協会」だよ ほら 狼女とか猫娘とかを集めた…」


元罹湾者は その特異な出で立ちと外見に出る湾曲体から 常に差別の対象になる


世間話の種になるほど 罹湾者差別は深く根付いている


「確か 歪獣協会とかいう奴らだろ? 俺は前狼女…確かターニャっったかを見たことがあるぞ」


「別嬪さんだったか?」


「毛深いのはちょっとな」


「それでな 話はここからなんだよ」


男はゴクリと唾を飲む


「歪獣協会協会長…お前も知ってるよな」


「確か…リウエンケイ… 慈龍とか名乗ってるやつだよな?」


「そいつ…元「天厄龍」らしいぜ あの「一族皆殺し」の…」




暗い路地


そこを歩く3つの影が伸びていた


フードを深く被り 顔は分からない


体格からして2人は女性 一人は男のようだ


立ち位置からして男がこの二人をまとめているのだろう


「なぁレーシャ ここで合ってんのか?」


「アタシに聞かないでよ!」


「うむ ここで合っているはずじゃ」


一見普通のフィクサーに見えるが 彼らは大衆の言う「普通」ではない


しかし素顔を出せば悪目立ちする


故に隠しているのだ


「ってかこのフード意味あんのか? うざいんだが」


「何言ってんの! これ目茶苦茶流行ってるんだよ」


「…若者の流行りにはついていけんなぁ…」


そんな事を言っているうちに目的地に着いたようだ


3人は足を止め ある集団を捕捉する


ここら一帯を縄張りにするギャングの一派だ


名も無き弱小組織だが 如何せん数が多い


奴等をここから追い出すことが 今回の任務だ


女のうち一人が聞く


その声は僅かに期待と興奮を纏っていた


「好きに暴れて良いんだよな?」


「話し合いで解決したいところじゃが… まぁ 無理だろうな」


ギャング達も3人に気づき 武器を構える


「戦闘開始じゃ」


その言葉を合図に 3人はフードを脱ぎ去る


ギャング達の中から 混乱の声が聞こえる


「な…なんだあいつら…顔が…」


「ま…まさかな… 覆面だろ…?」


当然だろう 3人の身体は「異常」なのだから


3人とも 頭は人間のそれではない


一人 ターニャと呼ばれた女は狼


一人 レーシャと呼ばれた女は黒猫


そしてその後ろに立つ男


歪獣協会協会長「慈龍」こと龍淵慧(リウエンケイ)


その顔は 長い髭 角を持つ伝説


龍であった


ターニャが敵の真ん中に飛び込む


「ははっ! まとめて来いやァ!」


手当たり次第に拳をめり込ませ 蹴りを叩き込む


「ちっ ならこれで…」


「甘い」


ギャングが拳銃を向けた瞬間 背後にレーシャが現れ 手刀を叩き込む


ギャングは胃酸を吐き出し 倒れた


「ちょっと!?アタシの服にかかったじゃん!」


そのまま悉くの攻撃を弾き いなしていく


そしてリウはギャングの中でも特に体格の良い男と一騎討ちを開始した


「老いぼれが 龍だか知らんが死…」


言い終わる前にリウは動く


「淵龍弐式「山降流水」」


淵龍式…


龍一族に伝わる武術


水をモチーフとし 汎用性の高い実戦型


龍一族無き今 リウ及びその弟子のターニャ、レーシャが唯一の継承者である


山を降る水の様に 勢いを力に


早さを威力に変えた足がギャングの首筋に当たる


微かに足に痺れる感覚が走る


次の瞬間 ギャングのボスは立っていなかった


他のギャング達も散り散りに逃げていく


これが歪獣協会


全員が元罹湾者であり3級以上の協会


生ける伝説の住む協会

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