Part6 リトルナイトメア
超巨大企業による先進技術「星欠片」により、世界は大きく変化した。
金さえあれば永久が手に入る時代
然し、当然利益ばかりではない
表世界で人々が自適に暮らす間
裏路地では1人が死ぬ
残酷な彗星都市で自我を叫び、泥臭くとも生きる者たちの話です
※流血描写、グロ描写、鬱展開を含みます
※日曜日以外毎日1話更新予定
「思念回廊」
湾曲体の内側
元になった人物「罹湾者」の心
そこには思念、願い、想い、トラウマ
「湾曲した理由」が広がっている
もし仮にまだ完全に湾曲していないとすれば…
その原因を取り除けるならば…
帰って来られるかも知れない
「それ」の??
そこには何の変哲も無い道が伸びている
道には数多の子供達 皆お揃いの帽子と服、鞄
エフィル達は背後 自分達が入って来た方を振り向く
大きな門 規則正しい配置の窓 白い壁
暖かい雰囲気
「…これって…」
「学校…だな」
ミラは道の先を見据える
「つまりこの道は… 「帰路」ですかね」
先を指差し 言う
「取り敢えず 行ってみますか」
家へ帰る道
家族へ会える道
走る子供達の表情は歓喜一色である
しかし何故だろう
「…気のせいじゃ 無いですよね」
足を進める度に
家に近付く度に
悪寒がする
「家に帰りたがらないガキなんかいるのか?」
「よっぽどの事が無い限りは…例えば…」
ミラが言おうとした瞬間 足を止める
目の前には 巨大な城
黒い壁 悪魔の像 堕ちる稲妻
その威圧感 恐怖 禍々しさ
「魔王城」としか形容しようがない城が聳え立ち 影を落としていた
「…これが 家だってのか…?」
「罹湾者の視点では こう見えたんでしょうね」
その時 背後から荒い息が聞こえる
「早く…早く…入ら…な…きゃ」
「エフィル君?」
「また…また…殴ら…る」
ミラの呼び掛けにも応じず エフィルは城に駆け込む
どういう訳か「早く帰らなければ」という強迫観念に襲われているようだ
「一人で行かせるのは…危険ですよね?」
ミラ、ノウルもエフィルを追い 城に入る
外観と同じく 内装も暗く、沈んでいる
所々蜘蛛の巣が張り 空気は埃っぽい
特に広い部屋 恐らくリビングだろう
そこにエフィルは倒れていた
「…あれ…?僕は…何を…?」
「お前が急にトランス状態になって走ってったんだぞ」
エフィルは頭を押さえる
「なんだか…思考が…急に流れ込んできて…」
言いかけた所で「音」が響く
大きな足音 はためく布の音
ジャラジャラと鎖を引き摺る不快な音
扉が軋みながら開く
そこには「魔王」がいた
黒いローブを纏い 顔を隠した姿
身体は太く 優に3mを超えるだろう
鎖を引き摺り こちらを監視している
「子供達の恐怖」を象徴する様な存在
「ちっ…」
戦うことすらできない
逆らってはいけない
もし…逆らったら…また…
足が震える 呼吸が出来ない
「逃げますよ!」
ミラの声で我に返る
とにかく逃げなくては
隠れなくては
3人が必死に逃げ込んだのは 小さなクローゼットだった
震える息を潜め ただ 祈る
足音 鎖の音
3人は目を見開く
この扉1枚 その先に「恐怖」が居る
あっさりと 無慈悲に
扉は開かれた
魔王「悪い子には…躾が要る…」
はノウルの頭を掴む
魔王「しっかり覚えろ…出来損ない…」
ノウルの身体が持ち上がっていく
「ノウル!?今!助け…」
ミラとエフィルは助けようとする
しかし 動けない
鎖に 「恐怖」という鎖に縛られていた
「ガッ…くっ…」
そのまま 躊躇なく 慈悲なく
床にぶつかる鈍い音が響く
魔王は3人を引き摺る
魔王「ここで…反省していろ…」
連れて行かれた場所は地下室…
いや こう呼んだ方が正確だろう
「地下牢」




