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803話 Eroi ossan 2nd 01


【Eroi ossan 2nd】



「”3度晴れて、2度曇る”とは、昔からよく言ったものだよ」



コトン、とカップを置き、男が苦笑する。



「どうにも今日は、冷えてかなわない。

こういう時は、まさに『これ』だ。


鮮やかなる血の一撃クリムゾン・ブラッド・ショット』に限るな!」


「・・・・・・」



いや。

いやいや、いや。


森の中を歩いていたら、突然に連れ去られ。

青みがかった黒い肌で(とが)った耳の男から、謎の飲み物を(すす)められ。


おまけにそれが、見た目も名前も不穏当なモノだった場合。

素直に”そうですか”と口を付ける人間など、そうそういやしないだろう。


如何(いか)に世間から『超・個性派』と称される私でも。

これが夢の中の出来事だと理解していても、だ。



「・・・これは、その。

血が入っているのですかな?」


「まさか、そんなわけないさ!」



気分を害さぬよう、おずおずと尋ねたが。

返って来たのはキッパリ、明確な否定。


ただし、その口調には何故か、”してやったり”という喜びも含まれていて。



「我々には、血を(すす)る習慣など無いからな?

そんな事を好むのは飢えた肉食獣か、吸血鬼くらいのものだよ!」


「・・・はあ」


「貴殿、思い込みは良くない。

ダークエルフとて自然を愛し、命を慈しんで生きている。


安心するがいい。

『CBS』が赤いのは、カシス由来さ!」


「それは、その・・・失礼・・・」



湯気の立つカップを、静かに持ち上げ。

ゆっくりと口元に近付けつつも、素早く匂いを確認してみる。



うん。

確かに、ベリー系の華やかな香りを感じるが。


他は?

他には何が、入っているのだ??



「ささ!遠慮は要らない、ぐい、と()って暖まり(たま)え!」


「あ・・・ええ、ハイ・・・」



今イチ納得はいってないのだが、仕方無い。

所詮は夢の中の出来事だし、押し切られる形でカップに唇を付けて、一口。



───うう───むう。


───意外に親しみのある、なんというか。



炭酸抜き、ホットの《クラフト系コーラ》?



「・・・色合いに驚かされましたが、とても美味しいですな」


「そうだろう、そうだろう!

ヴィジュアルとネーミングによる、強烈なインパクト!

それがあるからこそ、一層美味く感じるというものさ!


よし!

『人間との接触・第一段階』は、取り()えず《成功》だな!」



サリウフォルトと名乗る『ダークエルフ』も、私と同じものを飲んで破顔。

その気さくさと陽気な物言いは、以前の夢で会ったエルフ達とよく似ており。


とても『邪神を信奉する暗黒の妖精族』とは思えない、爽やかな印象だった。



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