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Hello.War.  作者: 春玖
Chapter2
14/15

最強という名の、正義を成す為の、仮面

この作品はフィクションであり実在する組織、団体、人物等とは何ら関係はありません。

ですが、他作品に影響を受けている事は確かです。あしからず

不快に思われる方はドンドン批判してくださってかまいません。

ありのままを受け止めようと思いますので、出来るだけお手柔らかにお願いします。


作品を構成する物:主にロマンと、そしてロマン、偶にロマンが含まれていて、隠し味はロマンです。

「……そういえばチャプタークリア報酬もらいにいってない」


「あっちゃー……武器に夢中で忘れてたよ。どうしよっか」


「むしろ私が入院してる間に取りに行ってなかったのが不思議なんだけど。ってか別にあんな低レベルな鎧いらないんだけど。無視でいいんじゃない?」


「……難易度上がってるからもしかしたら中身変わってるかも。だってあれだけ強くて弱い装備渡すなんてありえないし」


「なるほど。ナルイ頭いいねー。なでなでしてあげない」


「……あれ?なんかおかしい……」




HAPINESSからの援護要請があったものの、あれから一週間連絡が来ない。たぶん条件が揃わないんだろうけどいつまで耐えられるのやら……。



それでも自国の防衛線ならある程度は耐えるはずだ。補給もあれば人材もある。戦争中は非戦闘員でも出来ることなんていくらでもあるのだ。どうとだってやれる。



とにかく今私たちが出来るのは戦争の準備をすることだけ。回復薬も装備も持ったしいつでもいける。早く暴れたくて体がむずむずしてきた。



作戦決行は夜。となると連絡が来るのは日が沈み始める頃、来るとすれば今の時間帯だろう。よくもまぁあんな作戦を思いつくものだ。たぶんバンビは戦闘要員というよりも軍師に近いのだろう。弱いし。



そしてようやく私の手元に会議チャットルームの招待がくる。



------------------------------------


バンビ@くーや様が、アーヤ様を招待しました。


バンビ@くーや:待たせたな


バンビ@くーや:ようやくここまで長引かせることに成功したっつーの


アーヤ:で、私たちはこれから拠点に攻め込めばいいのよね?


バンビ@くーや:たぶん、もってあと2時間ってこところだ。


バンビ@くーや:3人なら進軍速度も速いだろうし、間に合うよな?


アーヤ:どうかな……絶対の自信を持っていえるわけじゃないけど


アーヤ:もう30分あれば確実に落とせる


バンビ@くーや:わかった。何とかもう一手を打ってみる


アーヤ:出来るの?もう日が落ちるまで1時間もないでしょ?


アーヤ:侵攻は短期決戦が定石よ。夜になって見限られたら一時撤退するんじゃない?


アーヤ:作戦を聞いたときは疑問に思わなかったけど


アーヤ:よく考えてみればこの作戦かなり無謀なものだと思うよ?


バンビ@くーや:まぁお前らは拠点を落とすことに集中してくれ


バンビ@くーや:こっちは大丈夫だ。絶対に2時間30分持ちこたえる


バンビ@くーや:俺だって根拠のないことは喋らねぇよ


アーヤ:私とカーヤのこと、ゴミ屑ニートって噂したの誰だっけ


バンビ@くーや様が、退場しました。


アーヤ様が、バンビ@くーや様を招待しました。


バンビ@くーや:マジすんませんっした。マジ反省してます。


アーヤ:前々から馬鹿だとは思ってたけど、まさかここまで馬鹿だとは思わなかった


バンビ@くーや:~~~ここまでがテンプレ~~~


バンビ@くーや:ちゃんと確立した作戦がある


バンビ@くーや:少しの誤差はあるだろうけどな


バンビ@くーや:大体お前らだって俺の戦術に嵌ってただろうが


バンビ@くーや:ちゃんと時間稼ぎされたんだろ?


アーヤ:私たちが勝ったから関係ないわ


バンビ@くーや:これだから戦略兵器は……戦術を潰す戦略は俺が一番嫌いなタイプだ


アーヤ:褒めてくれてありがとう!今度殺してあげるね!


バンビ@くーや:あっそ


バンビ@くーや:とにかくだ、お前らがミスったら間違いなく負ける


アーヤ:ってか何で私達に頼んだの?


アーヤ:過信とかじゃないけど、あんた達の誰かでも出来たでしょう?


バンビ@くーや:確かに出来るな


バンビ@くーや:でも撃破されてもないのに人数が減ってたらバレるだろ?


アーヤ:あぁーなるほど。ほんと意外だけど頭いいのね


アーヤ:走りながらチャットするの辛いし、もう切るよ


バンビ@くーや:俺なんかレイナに怒鳴られながらチャットしてんだぜ


バンビ@くーや:どや


アーヤ:師ね


アーヤ様が、退場しました。


バンビ@くーや:……お前ら、聞いてたな?


バンビ@くーや:壊し屋は今回味方だ。前回やられて嫌だと思うのも分かるが勝つ為と割り切れ


バンビ@くーや:戦闘中のやつもいるだろうから反応はいい


バンビ@くーや:これからリアルタイムで作戦を通知するぞ


バンビ@くーや:復唱はしないし質問も無しだ。一発で頭に叩き込め馬鹿ども


バンビ@くーや:作戦開始は今から約一時間後。日が沈んで敵が撤退し始める時だ


バンビ@くーや:レイナ、敵指揮官と思われるユーザーを1人だけ撃破しろ。他は無視でいい。


バンビ@くーや:PK部隊は敵ユーザーの足止めだ。絶対に連絡手段をとらせるな。


バンビ@くーや:殲滅班、出来るだけ発見されないよう後退。その後城門前で待機。


バンビ@くーや:ゆーりんは俺のところに来い。座標は144.902A


バンビ@くーや:戦闘不能になってもいい。でもただでやられるな。


バンビ@くーや:なんとしても時間を稼げ。以上だ。


バンビ@くーや:引き分け狙いって話だけどな、やるからには勝つぞ。全員気合を入れろ!!


バンビ@くーや:このチャットはこれ以降発言禁止。次に発言するのは勝った後だ。健闘を祈る。



------------------------------------



戦争を開始します。

フィールド:ジジミネア軍中間拠点地

味方:劣勢

敵:優勢

勝利条件:敵劣勢による拠点制圧、もしくは敵ユーザー全員の戦闘不能 *14名

敗北条件:味方ユーザー全員の戦闘不能 *3名





──残り制限時間、01:30:00



日が落ち、都市でもない拠点には光が所々にしかない。そんな中上空に戦争開始の告知が出るが、気づく者はいない。そこに人工的な地震が訪れた。出来るだけ混乱させるよう、時間をかけスキル画面からスキルを発動させるカーヤの姿がそこにあった。





────────ズゥゥゥゥゥゥン



「な、なんだ!!こんな時に地震か!?」


「とりあえず状況を────」




[青]ナルイ様が、[赤]ヘイト様を撃破しました。




「ヘイト……?何でいきなり……ッ!?敵だ!!敵襲────」




[青]ナルイ様が、[赤]赤橙黄緑様を撃破しました。




「……ちょっとだけ騒がれちゃった。師匠に怒られたらどうしよ……」



嬉しいからいいや、と後向きに考えるのをやめたナルイだったが、それが前向きとは限らないとは気づかない。敵も襲撃を受けてる事に気づいてなければいいのだが。どちらにしても関係はない。


「……影纏い」

術技【影纏い】を発動します。効果時間は10分です。



影を纏うことで完全に姿を消す術技。だが、夜限定でしかもその間動く事はできない。でも今はこれでいい。ようは気づかれないようにユーザーの数を確実に1人ずつ減らす。




──残り制限時間、01:18:00



術技【影纏い】の効果が切れました。




そして二度目の人工的な地震が発生する。


────────ズゥゥゥゥゥゥン



カーヤは地面を術技で穿ち、隠れ、そしてまた穿つことによって敵に混乱を与える。そしてナルイが仕留めるという手順。最後までこのままだとは思わないが、これである程度はふるい落とせるはずだ。







──残り制限時間、00:52:11



「撃破勧告……!敵襲だ!!敵は恐らく影人、出来るだけ固まって光を灯せ!!」



拠点地のいたるところから光が出始める。予想以上に早かったが問題はない。侵攻中の敵に連絡されないよう一気に畳み掛ける。身を隠していたカーヤが達人に転職し、姿を現した。




「いくよ。虎拳、狼蹴。錬気!」

術技【錬気】を発動します。効果時間は30秒です。



カーヤが購入した武器、ナックル【虎拳】とレギンス【狼蹴】。本来であればどちらか一つしか装備することは出来ないが、カーヤは自身の個人術技を応用することでこれを可能にした。



個人術技【武具具現化(リアルウェポン)

装備を実物として具現させることによって装備の応用を可能にした術技。二丁拳銃の片方を収めて短剣を装備するなんてことも、短剣を壁に突き刺して足場代わりにしたのもこの術技があったからこその技。以前アーヤが羨ましいと感じたのはこの応用力だ。もちろん、拳銃を両手に持ったまま短剣を装備することは出来ないが、手と足に同時に装備することは可能である。



武器がなく、決定的な一撃に欠けていた達人。ナックルかレギンスを実装することにより達人をPVP用職業から誰でも扱える職業に運営はするつもりだったのだろう。


この手のゲームはどうしても職業によって優劣がついてしまう。その優劣の差を埋める為に施した修正は結果的に────






[青]カーヤ様が、[赤]フライト様を撃破しました。


[青]カーヤ様が、[赤]よってる様を撃破しました。


[青]カーヤ様が、[赤]@@@wsk様を撃破しました。





────鬼人、いや、鬼神を生み出してしまった。




──残り制限時間、00:39:52







その頃アーヤは一人息を潜め、拠点地から離れようとする敵兵をドラグノフの消音弾で狙撃し続けていた。ユーザー同士の連絡の取り合いも阻止しないといけないが、ジジミネアに直接援軍を呼ばれるのも阻止しないといけない。



今回の戦争は隠密かつ近接攻撃が主になってしまう為、自動的にアーヤがこの役目をすることになった。遠くから状況を逐一把握しながら伝令兵を狙撃。簡単そうに見えて意外に難しい。何故か。答えは簡単暗くて見えづらいからで、その状況で狙撃できるのはいつも暗い場所に隠れながら狙撃してる日々の賜物である。




現在ユーザー数

味方:3人

敵:7人

──残り制限時間、00:34:46




……時間が足らない。私も出るか?いや、それだと伝令に援軍を呼ばれて作戦失敗だ。やっぱり伝令を狙撃しながらユーザーも狙撃するしかない。何度も撃ってる余裕はない。一撃……!



「爆烈弾、セット」

【67式―対要塞城壁破壊用狙撃銃―遠雷】に爆烈弾が装填されました。


「Fire……!」──スパァァァン!



[青]アーヤ様が、[赤]AABQ様を撃破しました。




すかさず伝令が出ていないかの確認。大丈夫、あと6人。カーヤが3人、ナルイが2人、私が最後に1人撃破すれば大丈夫だ。問題は、もう直ぐ2時間だということ。本当にアイツがこれ以上時間を稼げたなら作戦は成功する……!




------------------------------------



フィールド:北の国パージアル

味方:劣勢

敵:優勢

勝利条件:敵劣勢による西の(・・・)への撤退、もしくは敵ユーザー全員の戦闘不能

敗北条件:自国王の戦闘不能、もしくは味方ユーザー全員の戦闘不能






アーヤ達が隠密に徹している頃、ジジミネア軍は拠点への一時撤退の準備に入っていた。西の国への撤退ではないので、これでは勝利にならない。これはただの後退であり、追撃するにも返り討ちにあって終わるだけだ。



下手にユーザーを討っても撤退を更に匂わせるだけ。そのまま全員を戦闘不能にも出来ない。元々9人の少数精鋭だったHAPPINESSからナルイが脱退。HAPPINESSには8人しかメンバーがいなかった。



そして今回の戦争。北の国に所属していたユーザー、チームは全て他国へ移り、実戦力はたったの8人となってしまった北の国に他国が攻め込むのも無理はない。防衛で勝利すれば謝礼金等が支払われるだけだが、侵攻に成功すれば変わってくる。敗北した国に所属してるユーザー、チームは全員勝利した国への所属。そして敗北した国の代表チームの解体。そのチームのリーダーは今後チームに所属することが出来なくなる。



HAPPINESSが必死になる理由はこれだ。このチームを解体されるわけにはいかない。これまで代表チームとして他国に何度も戦争をしかけ、好き勝手してきた。その度に他のユーザーに無理矢理協力を仰ぎ、勝利してきた。そのユーザー達に都合も考えずにだ。




その事に関する恨み、不満が募ってこの戦争が起こったのだとしたら、受け入れるしかない。だが負けるわけじゃない。負けていいはずがない。元々、仲良しチームだった【HAPPINESS】。強くはなかった。むしろリーダーに至ってはPVPを怖がる、ただの生まれたばかりの震える子鹿(バンビ)のような人物だった。それでも、この仲間とやっていくのは楽しい。それを手放す気は毛頭もない。だから一番強いチームになった。解体されないよう、子鹿は強くなった。初めから全員がLv.200だったわけじゃない。皆と一緒にいたいからLv.200になった。皆と一緒にいたいから最強になった。だから────







「────最強は俺達だ……!この戦争、勝つぞッ!!」





夜、北の国城壁前、敗北の恐怖に震える一匹の子鹿が吼えた。








[青]レイナ様が、[赤]カステラ様を撃破しました。




「カステラさんがやられた!?どうする!!」


「落ち着け!まずは撤退する!!隊を再編成するんだ!!」


「ねぇ、あなた達二人だけ?他の人いないの?」



突然現れた少女に驚愕する敵ユーザーである二人。それも当然、ここは陣営だ。本来ならユーザー達が集まる場所であり、敵が来る場所ではない。




「ねぇねぇ、名前は?私はグミ!職業はバーサーカーだよっ!あ、大丈夫。あなた達の職業は聞かないからね」



にひーっと笑う少女に困惑を隠せない。職業をバラすなんてもってのほかだ。何を考えてるのか全くわからない。容姿から察するに高校生だろうが。




「じゃ、ヤろっか!直ぐにイっちゃやだよ?頑張って耐えてね!!バーサクっ」

術技【バーサク】を発動します。 効果時間は10分です。



発動した瞬間、グミの姿が消えた。そして、次に気がついた時は二人とも地面に伏していた。



「もう終わりなのー?早くたってよー。つまんないじゃない。あ、じゃあこうしよう!私を満足させられたら私のこと好きにしていいよ!好きなように殺してねっ!だからさぁ早くたってよ。ねぇったらー早く。キコエナイノ?」





それから数分間、この二人はグミから解放されることはなかった。


そして飽きたら放置され、グミはまた獲物を探しだす。




「もる!ぽむ!今だ、やれ!!」


「はーい。スロウレイン」

術技【SlowRain】を発動します。 効果時間は10分です。


「りょーかいでーす。グランドシェイク」

術技【GroundShake】を発動します。 効果時間は5分です。



「お前ら、あと何回使える?」


「私は5回が限界かなー」


「私はまだ楽だから10回ちょいは使えるよー」


「よし、全敵兵に限界まで使い切れ。もう無理だと判断したら撤退していい」




これで1時間は敵兵とユーザーはある程度抑えられる。あと30分……やるしかない。



「ゆーりん、準備を手伝え。俺が出る。」


「えぇ!?バンちゃんが出るの!?」


「なんでそこ驚くんだよ!俺だってやれるっつうの!!」


「大丈夫?怖くない?あ、トイレ行ってくる?何なら前まで着いていくけど……」


「前々から言おう言おうと思ってたんだけどさ。お前、俺の事馬鹿にしてるよな?」


「そんなことないそんなことない!バンちゃんがいきなり変な事言い出すからトチ狂ったのかと思っただけだよ」


「もういいや。とにかく手伝ってくれ。剣の補給しないといけない」


「……やっぱり、その戦い方するの?本当に危ないよ?」


「これしか出来ねぇよ。普通の術技は名前を口に出すときにいざって時に舌を噛むんだ。音声認識が俺の声を術技名だと判断しない」


「そっかぁ。じゃあ怪我はしないってお姉ちゃんと約束ね。それは問題ないでしょ?」


「……ああ、わかったよ」





ごめん。無理だわ。








[赤]Cube様が、[青]レイナ様を撃破しました。


[赤]追々妙命様が、[青]グミ@PK厨様を撃破しました。




1時間が経ち、ほとんどの仲間がやられ、たった今主戦力である仲間もやられた。もう本陣にいるゆーりんとバンビしかいない。



「よし、撤退だ!!不確定要素の多い夜に無理して戦うことはない!明日確実に仕留めるぞ!!」


「「「「「おぉぉぉぉ!!!!」」」」」





「もうあとちょっとだけ待ってくれねぇかなぁ」



転送の魔法陣が発生。出てきたのは、丸腰のバンビ。一人だけだ。



「あぁ!?おい!馬鹿がいるぞ!馬鹿が一人で攻め込んできやがった!!」


「本当だな。全員で潰せ!据え膳は食うのが男だ。仕留めろ!!」



「せっかちだなぁ……ふん!」──ドン!



突然振り切られた大剣に、一人吹き飛ばされる。突然どこから出したのか分からないが、バンビは大剣を両手に1本ずつ構えていた。



「……いつ、装備した?」


「あぁ?今だっつの。個人術技だけどな」


「はぁ!?」


「安心しろよ。武器を装備するしかできねぇよ」


「は、ははっ!それだけかよ!!壊し屋の個人術技みたことあるけど、お前の個人術技はしょぼいなおい!!」


「で、それだけ?」


「あ?」





PVP開始前に名乗る事。これはHAPPINESSのルールであり、相手に対しての礼儀でもある。もっとも、余裕がないときは仕方が無い。



「HAPPINESSリーダー。バンビ@くーや、デュエリストだ。全員まとめてかかってこいよ。俺がまとめて相手になってやる」



【バンビ@くーや】

Lv.210

職業:デュエリスト



「舐めた口きいてんじゃねぇぞガキがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」



迫る剣を両手の大剣で受け止める。始めは均衡するが、バンビが徐々に押され始めてきた。



「足震えてんぞ?オラァ!」


「ッ!!」



バンビが押し負け、大剣の重みのせいで大きく仰け反ってしまう。だがバンビは仰け反った体を横に回転させることで反動を受け流し、更に両大剣で攻撃を仕掛けた。左手で上段、右手で下段を狙う。


震えてるのは、足だけじゃなかった。下から剣を打ち上げられることで下段を狙う大剣を手放してしまう。



「レベルが台無しだぞガキ!弱すぎて俺だけでも勝っちまうぞ!」



上段切りをかがむことで回避した。だが、攻撃はこれだけで終わらなかった。




「コンバート!!」

個人術技【Convert】を発動します。【バンビ@くーや】様に、【バスターソード】が装備されます。



「なっ!」──ズバン!!




[青]バンビ@くーや様が、[赤]ファネル@ようか様を撃破しました。




突然装備された大剣になす術もなく直撃を食らい、戦闘不能。バンビはStrとAgi以外のステータスを一切(・・)上げていない。元々しっかりとしたステータスだったが、自分に合わなかった為にLv.200になると同時に課金アイテムを使ってステータスを再編集したのだ。




だからバンビには攻撃が全く当たらない。そしてバンビも攻撃を当てる事ができない。だが、当たったら最後一撃で戦闘不能になってしまう。逆もしかり。



バンビの戦闘スタイルは、自分、敵問わずの一撃必殺。



「どこぞのアニメに登場するお侍さんの無限一刀流なんてちゃちなもんじゃねぇ。無限二刀流を見せてやる……!復唱は嫌いだが、今回は特大サービスだ。




てめぇら全員、まとめてかかってこい!!!!」








──ズドン!!



[青]アーヤ様が、[赤]ppskyblue様を撃破しました。




ジジミネア側ユーザーが全滅しました。

壊し屋フィーネ軍の勝利条件達成により、戦争を終了します。

壊し屋フィーネ軍側ユーザーには───



「……師匠、今HAPPINESSの人から連絡がきた。バンちゃんが一人で足止めしてるって」


「えぇ!?作戦があるって言ってたじゃない!!」


「……たぶん。これが作戦」


「あの馬鹿!本当に馬鹿!!何考えてんの!?行くよ二人とも。馬鹿をシバきに!!」


「お姉ちゃん、何だかんだ言って優しいよねー。バンちゃんって人のこと気に入っちゃった?」


「……バンちゃん。まさかこの手で殺すことになるなんて……」







もう何人のユーザーを撃破したのかすら覚えてない。後何人のユーザーが残っているのかすら分からない。あれから何分間戦っているかも分からない。使用したバスターソードの数も数えていない。



もう腕は限界。ただ大剣を握り、全身を使って無理矢理振るだけだ。高Lvユーザーがいたら間違いなく負ける。負けたくないなぁ。あぁ、負けたくない。もう負けるのはたくさんだ。勝つためにこの世界に逃げて(負けて)きたんだ。今更負けを何度も重ねたくない。



握力が徐々になくなり、大剣を手放すことが多くなっていくが、関係無い。一撃必殺の為のStrのおかげで多くの大剣を持ち運べるようになった。回復アイテムも一つたりとも持っていない。どうせ一撃食らえば負けるんだ。なら全部大剣に使えばいい。




「コンバート……ッ!!」

個人術技【Convert】を発動します。【バンビ@くーや】様に、【バスターソード】が装備されます。



そしてまた戦う。俺は軍師だと言い張っても結局は戦う。この世界はどこまでいっても戦いだ。現実でも仮想でも、どこまでいっても戦いだ。





数の少ない正義は潰される。間違った世界で振りかざす正義は世界に食い潰される。

法律は他者を縛る為に存在する。法律は法律を作った者の為に存在する。

正しいの意見は通らない。正しい意見はそれにより悪影響を及ぼす他者が阻害する。





そんな馬鹿なことが許されてたまるか。何故正義は肯定されない。何故善は肯定されない。





皆と一緒にいる為に戦う俺は善だ。──ならそれに敵対するものは悪か?

俺達がこれまでしてきたことは悪に近い。──ならそれに敵対するものは善か?






……やめだ。結局は戦いだ。勝てば正義。負ければ悪。なら────





Convertを発動しても大剣は出現しなかった。もう武器を持たないバンビへ、多方向から攻撃が迫った。




「────負けた俺は悪か……」





目を瞑り、敗北を悟ったバンビ。




「じゃあ勝った私が正義ね?」──ズバン!!




[青]アーヤ様が、[赤]Utube様を撃破しました。






「カーヤ!」


「はいよースマッシュクラッシャー!!」──ズドゥン!!

術技【SmashClasher】を発動します。



地面を砕き、敵兵の進軍が止まる。






「壊し屋か。今時間は……ちょうど2時間30分。よく間に合ったな」


「確実に落とすには、2時間30分って言ったよ?ま、そうゆうこと」


「何にしろ助かった。……ありがとよ」


「えぇ?何て?聞こえなかったんだけど」


「チッ。俺は復唱するのが嫌いなんだよ。二度と言わねぇ」


「は?意味わかんないんだけど。それにしてもさー」


「あぁ?」


「あんた中々やるじゃん。ちょっとだけ見直したよ」


「あーうぜぇ。お前に言われても嫌味にしか聞こえねぇ」


「何、照れてんの?」


「はぁ!?意味わかんねぇんだけど!!」



騒ぐ二人。気づけばバンビの首元に短刀【草影】が突きつけられていた。



「……コロスヨ?」


「ごめんなさいほんとごめんなさい……おい!ナルイに何しやがった!!」


「いや、それに関しては悪かったと思ってる」


「したのかよ!おいナルイ!何をされた!?事と次第によってはHAPPINESSに無理矢理でも戻ってきてもらうぞ!!」





「……何をっていうか……師匠の物にされた?私は師匠の物」


「おい、レイナ!!くそっ!さっき撃破されたんだった……!てめぇ後で覚えてろよ!?」


「いやだから悪かったって。私だって何とかしたいんだけど。っていうか引き取ってくれない?」


「……師匠、私を捨てるの…?こんなに愛してるのに……」


「おい、責任もって壊し屋で引き取れよ。こいつもうダメだ」


「ちょっと!押し付けないでよ!!元々そっちのでしょ!?」


「ねぇお姉ちゃーん。まだ戦争終わってないよ?それかアタシ暴れてきていい?もうちょっと遊びたいんだけど。っていうか遊び足りない」


「待て!今終わらせるからもうちょっと待て!装備が怖いんだよ殺す気か!?さすがお前の妹だな!!」


「でしょ?自慢の妹なの」




閑話休題





バンビは拡声の術式を使用し、混乱し続ける敵兵に向かい声を発した。


「ジジミネア軍!この時間稼ぎの間にお前らの中間拠点は制圧した!!これでお前らは一時撤退が出来ない!俺達の勝ちだ!!」



「おい、待てよ。ならこのまま攻めるだけだ。勝利宣言をされても困るんだが?」



「だよな?まぁ正直このまま勝ちで終わらせたかったんだが……このままだとお互いに消耗戦だ。だから俺は停戦、戦争を引き分けという結果に終わらせたいと思う。敵味方は問わない。異論のあるものは前に出ろ!!」



前に出たものは、いない。




「……いないな。ではここに、停戦を宣言する!!」





両者勝利条件未達成により、戦争を終了します。

お疲れ様でした。

両者共にペナルティはありません。

それでは各国の復活ポイントへ転送させていただきます。

お疲れ様でした。



------------------------------------


戦果 ※当話通算

【アーヤ】撃破数3 未撃墜

【カーヤ】撃破数8 未撃墜

【ナルイ】撃破数3 未撃墜

【バンビ@くーや】撃破数23 未撃墜

【レイナ】撃破数12 撃墜

【グミ@PK厨】撃破数43 撃墜

etc...

今回は重めにしてみました。

犠牲にしたもの:サクサク感、更新頻度、睡眠時間

得たもの:達成感


どうも長いのは難しいですが、多くの人に見てもらいたいので頑張ります。


更新頻度は毎日じゃなくなりますが、ご了承ください。


失踪してないです。ご安心を

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