生きたければ立ち止まるな。勝ちたければ走れ。足を止めた者に、生も勝利も無い。
この作品はフィクションであり実在する組織、団体、人物等とは何ら関係はありません。
ですが、他作品に影響を受けている事は確かです。あしからず
不快に思われる方はドンドン批判してくださってかまいません。
ありのままを受け止めようと思いますので、出来るだけお手柔らかにお願いします。
作品を構成する物:主にロマンと、そしてロマン、偶にロマンが含まれていて、隠し味はロマンです。
大広間だった場所が、簡易戦争フィールドが発生すると同時にガラリと変わる。以前のフリークエストで蛟を倒した水の神殿だ。その中央に浮いてる人型のMOB。わかりやすく例えるとしたら精霊のようなもの。
戦闘開始直後にアーヤとカーヤは転職。ナルイは牽制として衝撃弾を放ち続けた。
【アーヤ】
Lv.257
職業:イージス
HP 40215/45603
MP 231/553
【カーヤ】
Lv.257
職業:達人
HP 19467/19467
MP 529/713
【ナルイ】
Lv.203
職業:ドラグノフ
HP 8056/8056
MP 385/937
「シールド、レジストガード、守護の前奏、発動!」
術技【Shield】を発動します。 効果時間は5分です。
術技【ResistGuard】を発動します。 効果時間は5分です。
術技【ProtectionPrelude】を発動します 効果時間は10分です。
「お姉ちゃんどうする!?アタシ昔戦ったときのこと忘れたんだけど!」
「……このBOSSは初心者にでも勝てるように動きは単調で遅かったはず」
ヒュン。と風切り音がなり、カーヤはとっさに首を曲げる事によって何かを避けた。そこには天之水分神が拳を突き出してる状態で止まっていた。
「ねぇ、何か言う事は?」
「……いや、ほんと悪かった」
「Lvじゃなくて難易度の上昇ってさっきも言ったでしょ!」
カーヤは接近した天之水分神に多連撃を放つ。だが、牽制ではなく本気で打ったその拳は難なく避けられてしまった。
その間に今度は正義の味方に転職したアーヤ。他の職業だとイージス以外は全て一瞬で戦闘不能に追い込まれてしまうと判断したのだろう。移動速度が違いすぎる。
「ナルイ!束縛弾持ってる!?」
「……ごめんなさい。持ってない」
内心舌打ちしたアーヤだったが、無いものは仕方が無い。自分が渡すしか方法はないのだが戦闘中にトレードは不味い。しかし、この速さの敵に対してまともに攻撃するには束縛弾で1秒で2秒でもその場にとどめておく必要がありそうだ。
「カーヤ!攻撃し続けて何とか3秒だけでいいから時間を稼いで!!」
「まかせて、5秒は稼いであげるよ!」
「ナルイ!」
「……いいよ」
ナルイの傍に向かうアーヤ。ナルイは既にトレードウィンドウを表示させていた。
その間、カーヤは天之水分神に攻撃を仕掛け続ける。
高速で接近し拳を打ち出す。体を反らすことで回避される。間髪をいれずに翔烈脚を真下から打ち上げるが、宙へ逃げる事で回避される。
敵に背を向けた状態のカーヤ。無防備な体勢の二人に攻撃をしかけようとする天之水分神。
まだだ、と言わんばかりに背を向けたまま弧月脚を放つカーヤ。しかしそこに天之水分神はいない。この弧月脚は攻撃ではなく、移動の為のものだ。カーヤは天之水分神と同じ高さまで跳躍、体の向きが上下逆の状態で天の水分神と対峙する。
「まだまだ付き合ってもらうよ!旋迅脚……!」
術技【旋迅脚】を発動します。
空中で横になぎ払うように右足で蹴り、そのままの勢いで更に左足で内回し蹴りを叩き込む。しかしほんの少しだけ後退され、これも空振りに終わる。
空中で体勢を正常に整えたカーヤ。まだあと一回攻撃をしかけられる体勢だ。
「反月脚ぅぅ!!」
術技【反月脚】を発動します。
宙を蹴り、回転しながら踵落としを繰り出す。これを回避ではなく防御され、その足を捕らえられた。以前のレイナとのPVPと同じような状況だ。
「んな!?しまっ──」
術技【水弾】を発動します。
──ドンッ!
寸前で両腕で水の塊を防御したカーヤ。更にダメージカットの恩恵によりHPはそれほど深刻ではない。
【カーヤ】
Lv.257
職業:達人
HP 17791/19467
MP 218/713
これ以上の攻撃し続けると途中でMPが切れる可能性がある。それにHPのダメージではなく直接的な体へのダメージがある。レイナの正拳突きは、実際レイナに力があるわけではないから対したことはなかった。だけどこれは違う。本気で痛い。
攻撃の手が止んでしまう。だが、時間稼ぎには十分だ。
「断罪の刃!!」
術技【ConvictionEdge】を発動します。
ジャッジメントを振り、薄く伸ばされた真空の刃を放つアーヤ。横に長いこの攻撃を避けるには上か下しかない。刃を放った後、アーヤは天之水分神に高速で接近する。
避けられた刃の先、アーヤはジャッジメントで切り込むが、突然現れた水の剣のような物に阻まれる。そこに一発の銃弾が放たれた。
結果、回避される。三段構えの攻撃が全て避けられてしまう。確実に束縛弾を当てる為に二度も回避させたのにと、アーヤは下唇を噛んだ。
しかし、それは当然の結果だった。カーヤが放った続けて放った攻撃の連続回数は四度。それも全て普通なら当たるタイミング、最初以外全てが奇襲なのにも関わらず避けられてしまったのだ。
回復をすませたカーヤが復帰する。三段構えでも四段構えでも駄目なら、さらに攻撃を繰り出すまでだ。
「ナルイ!私とカーヤで一瞬隙を作るから束縛弾当てて!貴女なら絶対当てれるよね!?」
「……それだけなら、師匠にも負けない自信がある……!」
カーヤと天之水分神の間に向かうように走るアーヤ。一直線に天之水分神に向けて走るカーヤ。
「カーヤ!断罪の刃!!」
術技【ConvictionEdge】を発動します。
「うん!反月脚!!」
術技【反月脚】を発動します。
カーヤの後ろに周り、カーヤと天之水分神を同時に狙うように真空の刃を放つアーヤ。出来るだけ下から放つことで、天之水分神は上にしか逃げ場が無い。そしてカーヤは刃を避けるように跳躍し、天之水分神の真上から踵落としを叩き込む。全ての逃げ場がなくなった。
いや、全ての逃げ場がなくなったわけではない。正確には左右の斜め上後方に逃げる事ができる。それかもう一度カーヤの蹴りを防ぐ。しかし逆に言えばそれしかない。
……ここまで行動の幅が絞れたなら、次は絶対外さない……!
天之水分神のとった行動はカーヤの攻撃を防ぐことだった。一番好都合な行動。カーヤには悪いが水弾を撃ってくれると尚都合がいい。
神経を研ぎ澄ませ、落ち着き、迷いなく────
「──Fire!!」──ズドン!
束縛弾が直撃した。天之水分神の全身に電撃が奔り、動きが止まると同時に地面に墜落する。攻撃するなら今。
「処刑!!」
術技【Excution】を発動します。
超ド級の大鎌が出現、天之水分神に振り下ろされる。
「練気……!正、拳、突きぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」
術技【練気】を発動します。効果時間は30秒です。
術技【正拳突き】を発動します。
天之水分神に接近しながら練気を発動、全力の拳を叩き込む。
「……爆烈弾、セット。Fire!」
購入できる市販の弾と違い、一つ一つ作成しないといけない上位弾を撃ち込む。
全ての攻撃が直撃し、大ダメージを与えることに成功する。そこで時間が経過し、天之水分神のステータスが表示される。
【天之水分神】
Lv.231
HP 46721/104371
MP 481/531
後半分だけ、と考えるか、まだ後半分、と考えるかは三人次第。
「お姉ちゃん!あと半分だって!凄いよ!だって三回しか攻撃してないよ!!つまりあと三回攻撃するだけで勝てるんだよ!!」
「私に話を振らないでよカーヤ。馬鹿がうつる」
「……師匠、できたら私にも」
「おまわりさぁぁぁぁぁぁん!!!!ここです、こいつです!!ここに変態がいます!!」
「……う、うへ。ふへへ」
遊んでる暇はない。爆裂弾によって発生した煙が晴れ、天之水分神は再び姿を現した。
その体は所々黒くすすけていたり、服と思わしき布切れもボロボロだ。こうしてみて初めて気づいたが、どうやら女の神のようだ。いつも一瞬で終わらせていたから気づかなかったらしい。
「あと半分、気合いれてぶっ殺すよ!!」
「お姉ちゃん。言葉が悪いよー」
「……私に───以下省略」
とはいったものの、もう一度束縛弾を当てるしか方法はないだろう。当てられるかどうかと聞かれたら、まず当たらない。さっきのような防御は極力せず、反らすだけの回避等をしなくなる。
次の攻撃に備え完全に避け切り、三人同時に視界にいれられるようにすれば束縛弾は避けられる。何せ束縛弾は遅い。その気になれば普通の人間にでも避けられるだろう。
完全に手詰まりな可能性がある。
どうする。戦うか、諦めるか。Lvでは勝ってるがスペックが違いすぎる。それこそ多人数で挑めば勝てるだろう。一度負け、仲間を増やしてもまた次の機会に挑むか。
いや、駄目だ。負けない。負けたくない。もう負けたくない。アーヤは心の中で慟哭するかのように叫ぶ。
今は完全に手詰まりなわけではない。それに、束縛弾ではなくさっきと同じパターンでナルイが攻撃すればいいことだ。勝てる。負けない。勝てる。私は負けない。
「さっきと同じタイミング!束縛弾はもう当たらないだろうから、次は攻撃!!」
「……了解。爆裂弾、セット」
【67式─半自動型狙撃銃─春雷】に、爆裂弾をセットしました。
アーヤとカーヤは天之水分神に接近、ナルイは再び爆裂弾を装填する。そしてアーヤは断罪の刃を、カーヤは反月脚を発動する。
術技【水の複製】を発動します。
初めて発動される術技、こんな術技Wikiにも載っていない。修正後実装された術技だろう。効果はしらないが、叩き潰すだけだ。
そしてアーヤとカーヤの攻撃が"直撃した"。
「っはぁ!?」
「えっ!?」
アーヤとカーヤは驚愕する。攻撃が直撃したはずの天之水分神が水となって消えたのだ。
この時点でアーヤが気づいた。振り返り、ナルイの方向を見る。そこには攻撃を受ける寸前のナルイと、水弾を二発撃つ天之水分神がいた。
カーヤは反月脚のモーション中で戻れない。ドラグノフで狙撃するにも時間などどこにも無い。ここから走り出しても間に合わない。
100秒で仕留める。
「邪教徒の虐殺劇、発動!!」
術技【HeresyGenocideDream】の範囲を設定します。これより、劇を──
魔法陣が辺りを覆う。大丈夫、範囲内にナルイは入ってる。
「開演!!」──開演します。カウント──100
術技【HeresyGenocideDream】を発動します。効果時間は100秒です。
2秒とかかることなく、ナルイを抱え、安全な位置まで退避した。
カウント────98
「……し、師匠……?」
「ごめんね。今話してる時間ないんだ。一気に攻めるよ」
【天之水分神】
Lv.231
HP 46721/104371
MP 181/531
今の術技で減ったMPは300だ。もう同じ術技は使えない。まだ使えるなら危なかったかもしれないが、使えないのなら大丈夫。厄介なのはあの回避力だけだ。一体どれほどのAgiなのだろうか。
カウント────90
時間がない。仕掛けた。
アーヤの姿は再び消え、次に現れたのは天之水分神の背後、ジャッジメントを振り切った後だった。そして天之水分神に一閃遅れて到達。
【天之水分神】
Lv.231
HP 45128/104371
MP 181/531
そこで立ち止まらず、更に消え、一閃、二閃。そこにカーヤも加勢、ナルイが援護する。
これまでは一撃たりとも当たらなかったが、今なら当たる。段々と動きが鈍くなってきてるようだ。
【天之水分神】
Lv.231
HP 37016/104371
MP 181/531
カウント────60
攻める。攻めまくる。立ち止まらない。ひたすらに走る。そして一閃。
【天之水分神】
Lv.231
HP 31477/104371
MP 181/531
カウント────40
さすがに疲れがとれるわけではない。加速での長距離走とは話が違う。超高速で0%から100%に加速し接近。100%から0%に停止し一閃。疲れないわけがない。現にダメージ量が減ってきた。
だが、今止まるわけにはいかない。このとき既に、アーヤに周りは見えていない。何も聞こえていない。あるのは自分の足とジャッジメント、そして敵の姿。
【天之水分神】
Lv.231
HP 26959/104371
MP 181/531
カウント────20
駄目だ。このままだと全然届かない。それに気づかないアーヤは、まだ、まだ終わらない。と無理矢理にでも足を速める。
【天之水分神】
Lv.231
HP 22573/104371
MP 181/531
カウント────2
この調子で更に足を速めれば────
カウント────1
「私は……私はまだ、まだ走れる!!!!」
遠く聞こえるカーヤとナルイの叫び声。
だが、最後までアーヤは気づくことはなかった。
カウント────0
────夢が終わる。
術技【HeresyGenocideDream】を終演します。ペナルティが発生します。
【アーヤ】
Lv.257
職業:正義の味方
HP 15882/15882 → 7941/7941
MP 432/932s
術技【水弾】を発動します。
ここぞと言わんばかりに迫る水の塊。そして、足が止まる。
「えっ?」──ドン!
水の塊はアーヤに直撃。アーヤは吹き飛ぶように転がり、壁に激突する。ここで死亡することはないが、相当の激痛だ。上手く両腕でガードしたカーヤとは違う。既にアーヤに意識はない。
【アーヤ】
Lv.257
職業:正義の味方
HP 313/7941
MP 432/932
運がいいようで、最悪だ。戦闘不能になればそこで転送され、次に目が覚めるのはHP全快で復活ポイントにいるが、これではただの生き地獄だ。
カーヤはアーヤが戦闘不能になったと思い込み、絶望。今まで負けたことのなかった姉が負けた、信じられないというような顔でただ呆ける。
ナルイは、呆けることそれすら出来なかった。混乱し、ゲームだという認識が吹き飛ぶ。その目に移るのは、恋慕のようにも似たものを感じるその人の死にかけの姿と、そこまで追いやった仇の姿。
ナルイが暴走した。ドラグノフでは殺せない。何が何でも殺す為、慣れない職業に転職する。
「……う、あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
影人。短刀【草影】を手にして走る。ただ、仇を殺す為に。
「影渡りぃぃ!!」
術技【影渡り】を発動します。発動可能範囲は半径10mです。
魔法陣が展開。10m圏内の影のある場所に瞬間移動する。移動した先は、まだ宙に浮いていない天之水分神の背後。
「毒突き!!」──ドッ!
術技【毒突き】を発動します。
草影が天之水分神に突き刺さる。そのまま内部を切り裂きながら草影の刃を抜く。たまらず宙へ逃げる天之水分神。
逃がさない。絶対に殺す。ナルイは追い討ちをかける。
「会心の刺突!!死ねぇぇぇぇぇぇええええ!!!!」
術技【会心の刺突】を発動します。
術技を発動し、草影を前に構え跳び上がり、天之水分神に迫る。
────トン……
頭を抑えられることで、草陰は天之水分神に届かなかった。そのまま頭を捕まれる。宙にぶら下がる、終わりを悟ったナルイ。
「あ、あぁぁ……」
ごめんなさい。師匠。勝てませんでした。私が勝つことで、貴女も勝たせたかったのに……。ごめんなさい。ごめんなさい。
ナルイの目から、涙が流れた。
術技【水弾】を発動します。
片手で捕まえたナルイに向け、空いてる手を向ける天之水分神。
────ドン!
「うっ……あ、あれぇ?」──ドン!、ドン!
「お、お姉ちゃん……?」──ズドン!!
涙で声が震え、何が何だかわからないといった様子のナルイと、カーヤ。
何かが、天之水分神の頭を四度穿ち、手が逸れることで水の塊は見当違いの方向へ。ナルイを掴む手が離れ、足が地につく。
まさか、と向けた視線の先には、意識が覚束ないのか、壁に背を預けたまま、震える手で【67式―対要塞城壁破壊用狙撃銃―遠雷】を構える、ボロボロになったアーヤの姿だった。
「人の物に……何か、ってに……手ぇ出してん…のよぉ……!!……カウント、3」──ドォン!
カウントが始まると同時に、天之水分神の頭が爆発した。アーヤが撃ったのは榴弾。いや、最後だけは違う。
【天之水分神】
Lv.231
HP 14947/104371
MP 181/531
「2」───ドォン!
爆裂弾と同じ、自作でしか入手できない砕榴弾。高揚しすぎて見苦しく暴走した分の仕返しもしたいが、今は他に返さなきゃいけない借りがある。
【天之水分神】
Lv.231
HP 11225/104371
MP 181/531
「1」──ドォン!
ナルイに酷い事をしたんだ。普段静かなあの子が、眠っている私にまで聞こえるほど叫んでしまうぐらい。それに、あんなに泣いて。
【天之水分神】
Lv.231
HP 7944/104371
MP 181/531
許さない。死ね。
「0」────ズドォォォォン!!
【天之水分神】
Lv.231
HP 0/104371
MP 181/531
天之水分神がついに沈んだ。
天之水分神が消滅した場所に、何かが落ちている。石だ。
【水石】レア度★×6
効果:Chapter1をクリアした証。捨てられない。
実際の時間は短かったのかもしれない、長い戦いが終わった。
ようやく、終わった。
ネブルに戻ったらまず師匠の手当てだ。
念のために病院に連れて行って診てもらおう。
その後落ち着いたらカーヤと一緒にご飯を食べて、宿に戻ってお風呂に入ろう。
そしたらもう寝る。今日は疲れた。
不謹慎だが、最後の師匠は師匠は本当に素敵だった。
誰よりもカッコよくて、誰よりも綺麗だった。
あぁ、愛しています。師匠。
戦闘を終了します。
チャプタークエストを終了します。
ChapterClear報酬として、アイテムが贈呈されます。
お疲れ様でした。
ギルドへ帰還します。
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Chapter1 End




