第十五話 「束の間の休息」
第十五話
「束の間の休息」
(妖桜鬼を倒し、巴が仲間となった後――)
命が抱きつく。
「巴ちゃん、おかえり!」
巴は少し照れながら笑った。
「ただいま」
その笑顔は、記憶を失っていた頃よりも、ずっと優しかった。
舞い散る桜。
幸村は、その光景を見ながら大きく頷く。
「これで七人――いや」
「ようやく全員が揃ったな」
信長が笑う。
「戦国の英傑がこれほど集まるとは」
「天下統一も夢ではないな」
「お断りします」
光秀が即座に返し、周囲が笑いに包まれた。
◇
そして――。
数日後。
天城市には、久しぶりの穏やかな時間が流れていた。
(風が吹く商店街)
幸村は八百屋の手伝いをしていた。
「幸村くん、こっち運んで!」
「任せてください!」
大量の野菜箱を軽々と持ち上げる。
おばちゃんたちが拍手した。
「さすが赤い侍!」
幸村は照れくさそうに笑った。
「いやぁ、それほどでも!」
◇
ゲームセンター。
政宗はクレーンゲームに夢中だった。
「よし、そこだ!」
ガコン。
失敗。
「くそっ!」
隣で命が笑う。
「もう十回目だよ?」
「戦なら負けねえのにな……」
結局、大きなぬいぐるみを取れず、店員に慰められていた。
◇
その頃――
信長はハンバーガーショップにいた。
「ほう……」
巨大バーガーを見つめる。
「現代の兵糧か」
豪快にかぶりつく。
「うまい!!」
二個。
三個。
四個。
店員が驚く。
「お客様、食べ過ぎでは……」
信長は笑った。
「天下人たるもの、食も豪快でなくてはな!」
◇
公園。
謙信は子どもたちと遊んでいた。
「謙信先生ー!」
「鬼ごっこ!」
「……分かった」
だが。
鬼になった謙信は速すぎた。
「あっという間に捕まったー!」
「手加減してよ〜」
子どもたちが大笑いする。
謙信は困った顔をした。
「む、難しいな……」
◇
図書館。
光秀は大量の本を抱えていた。
「戦後史」
「量子力学」
「人工知能入門」
「宇宙論」
幸村が驚く。
「全部読むのか?」
光秀は当然のように答える。
「はい」
「現代を知ることも、守ることの一つです」
信長が呆れた。
「真面目すぎる」
◇
商店街・武田堂。
ジュウジュウと音を立てながら団子が焼かれていた。
信玄が豪快に笑う。
「ほらよ!」
「焼きたてだ!」
子どもたちが群がる。
「しん兄ちゃんの団子、大好き!」
信玄は嬉しそうに笑った。
「戦よりこっちの方が向いてるかもな!」
その言葉に。
店の奥から謙信が現れる。
「そうかもしれんな」
信玄が吹き出す。
「おい上杉!」
「今いいこと言っただろ!」
「認めろ!」
「……少しだけな」
二人のやり取りに、商店街が笑いに包まれた。
◇
一方――
命と巴はショッピングモールへ来ていた。
「巴ちゃん!」
「これ似合う!」
命が桜柄のワンピースを見せる。
巴は微笑む。
「可愛いですね」
「でも命ちゃんの方が似合いますよ」
「ええー!?」
二人は笑い合う。
アクセサリー店。
雑貨店。
クレープ。
普通の女の子みたいな時間。
巴はふと足を止めた。
窓ガラスに映る自分を見る。
戦国時代では得られなかった時間。
穏やかな日々。
命が隣で笑っている。
巴は静かに言った。
「私……」
「この時代に来て良かった」
命は満面の笑みで答えた。
「私も!」
「巴ちゃんと会えてよかった!」
巴の胸が、温かくなった。
◇
――しかし。
その平和を。
遠くから見つめる者がいた。
地下深く。
巨大な黒い城。
歴史魔城・天統城。
玉座に座る邪神天統が、静かに笑う。
「束の間の休息を楽しめ…ハッハッハ…」
その前には。
五つの黒い炎が浮かんでいた。
獄炎。
独眼零。
魔心魔王。
裁天。
闇暗鬼。
倒された幹部たちの歴史因子。
天統が両手を広げる。
「ならば」
「絶望も、より深くなる」
五つの炎が融合する。
その中心から。
燃え盛る巨大な武者が姿を現した。
高さ――八十メートル。
全身を黒炎で包み。
巨大な刀を握る歴史魔神。
《我が名は――》
《巨大獄炎》
赤い瞳が開く。
邪神天統が命じる。
「行け」
「街も」
「この、偽りの平和も」
「全て焼き尽くせ!」
巨大獄炎が咆哮した。
◇
その瞬間――
天城市全域に警報が鳴り響く。
《超巨大歴史反応確認》
《危険度・最大》
《対象、天城市へ接近》
大十字ラボ。
命の顔色が変わる。
「な、何これ……!?」
大和博士が険しい表情でモニターを見つめる。
そこに映っていたのは。
ビルより巨大な黒炎武者。
大和がゆっくり言った。
「始まったか……」
「巨大歴史魔神との戦いが」
幸村が拳を握る。
「巨大な敵……!」
信玄が笑う。
「面白ぇじゃねえか!」
巴も薙刀を握る。
「みんなで守りましょう」
だが。
大和博士の表情は険しいままだった。
「いや……」
「今のサムライジャーでは勝てない…」
大和は静かに言った。
地下深く。
巨大な城門がゆっくりと開き始める。
その奥で。
五つの巨大な影が、静かに目を覚ましていた――。
次回予告 第十六話
「巨大獄炎、襲来!」
倒された幹部が巨大な姿で復活!
戦極システム最大の秘密――
炎紅騎! 蒼月砲! 覇王城! 緑龍守! 影忍機!
五体の戦極メカ、ついに出撃!
そして――
五将合体! 天守王、誕生!!




