表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人外娘さんと真面目にファンタジーしちゃう本  作者: 葛葉龍玄
剣聖の魂

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
61/67

神剣聖・ラファエラ

ーーそのとき、世界が揺れたーー

 激を繰り広げていたヤマト平原に、突如として一人の女性が現れたのだ。

 全員が全員、その女性に目を奪われていた。

 一瞬の静寂。 

 ほんの刹那。

 その刹那にで、三人の首がとんだ。

 ソウマはなんとかかわし。

 エグゼはかろうじて剣で受け。

 ビスタは槍を真っ二つに切り裂かれながらも避けた。

 その三人と相対していた『武神』『剣神』『神槍』。

 この三人が一瞬のうちに殺されたのだ。

 そして。

 大きく振り上げた剣から放たれた衝撃が、敵味方入り乱れた戦闘集団を吹き飛ばしたのだ。

 『メリクリウス』の兵士も『クロス・クルセイド』の戦士も。

 たった一発の衝撃波で半数が無力化された。

「な、なんだ!?」

 ソウマが叫ぶ。

「撤退だ!一般兵は急ぎ撤退を!!」

 ビスタが叫ぶ。

 それは懸命な判断だ。 

 こんな化け物、相手に出来るのは、ソウマ、エグゼ、ビスタくらいだ。

「伝令っす! あれは『神魔』っす! そして、最悪の鎧を装備してるっすよ!」

 空より、ハピナが、アーニャからの伝言を伝える。

「最悪の鎧だと!?」

 言って駆け出すソウマ。

 ダークエルフがソウマのほうに向く。

 再びダークエルフが上段に構える。

「食らうかよ!」 

 衝撃破を避け、上空に舞い上がるソウマ。

「『深淵流・砕破』!」

 渾身の力を両足に込める。

 多いなる空の膂力を込めた一撃が、ダークエルフの胸に叩き込まれる。

 激しい音がして、地面がえぐれる。

「これでどうだ!?」

 しかし、クレーターから何事もなかったかのように歩いて出てきたダークエルフは、鎧についたほこりを手でぱっぱっと払う。

「あれでノーダメージかよ」

 鎧にもエルフにも、傷一つ着いていない。

「あれは、母さんの……」

「あれの鎧は『剣聖』……」

『剣聖』に受け継がれる、ラルファリオンと呼ばれる希少な金属から作り上げられた鎧。

「なぜミハエルの元にその鎧がある!」

『お久しぶりですね、エグゼ君、ソウマ君。はじめましてお嬢さん。私がミハエルです。お見知りおきを』

 エルフの見た目はそのままに、声だけはミハエルのしゃがれ声だ。

『エグゼ君には良い物を頂いてしまいましたよ。あの森で、ね』

 あの森。  

 それは、ツクヨミに会うための宝玉を手に入れた森の事だろう。

『あそこには、とあるエルフが住んでいたみたいで、そこにこの鎧が保管されていたんですよ』

「まさか、あの家に…」

 うかつだった。まさか、あのアイテムを母がまだ所持していて、あの家のエグゼすら知らない場所で保管していたとは。

『ただ希少金属で出来た防御力高い鎧ではありません』

 コン、とダークエルフが見せるように鎧を叩いてみせる。

『とある魔法が付与されています。』

 再び剣が振るわれる。

 剣風がエグゼたちを襲う。

「ちっ!」

 ソウマが放った『深淵流・風鎌拳』を放つ。

 真空刃には真空刃を。

 相殺された見えざる空気の刃はぶつかり合うと、衝撃波を撒き散らしながら対消滅した。

「あいつ、トンでもなく強いぞっ! 気をつけろっ!」

 ソウマが叫ぶ。

 ここまで余裕のないソウマは見たことがない。

「それはそうだろう。史上最強の『剣聖・ルーシア』だからな……」

 武器を切り裂かれたビスタが、新しいハルバートを手にして、油断なく構える。

 それは神槍が持っていた魔水晶の槍であった。

「くそ、あの森の奥に、母さんのあんな遺品が残っていたなんて」

 母とは別人だ。だって母はこの手で……。

 それは分かっていた。そもそも母はダークエルフではない。

 しかし、その太刀筋は、あまりによく似ていた。

『そうですね。最強の剣士の能力をそのまま有しています『神剣聖・ラファエラ』とでも名づけましょうか』

 『神剣聖・ラファエラ』と名乗ったダークエルフは、そのまま超神速で、エグゼに切りかかる。

 思考加速で、間延びしたはずの世界でも、その速度は揺るがない。

「ぐっ!?」

 ぎりぎりで剣をあわせる。敵のその手には、先程殺した『剣神・ダムド』の『至高の魔水晶の剣』が握られていた。

『ちょうどよい剣も手に入れられましたし、いい勝負ができそうですね、エグゼ君』 

 鍔競り合いながら、言葉を交わすミハエル。

 単純な腕力でも、エグゼを上回っている。

 かろうじて受け流すと、返す刀で切り上げる。

 紙一重でラファエラはよけると、無造作に剣の柄で殴りつける。

 あまりの威力に、のけぞるエグゼ。

 体勢を崩したエグゼに追い討ちをかけようとしたところで、左ソウマ、右からビスタが攻撃をしかける。

 その完璧な不意打ちとて、ラファエラには読まれていた。

 左右の完全な死角からの攻撃をいとも簡単に防御して見せた。

 しかし、その隙を逃すエグゼではない。

 鋭い刺突が、ラファエラの心臓を穿つ。

 が。

 その会心の一撃も、強固な鎧にはじかれた。

「ばかなっ!?」

 まさに魂を削る思いで鍛え上げられた『大いなる精霊王の剣』。

 それが貫けぬ鎧があるとはっ!

『さすが、『剣聖・ルーシア』が残した鎧。防御力も伝説級ですね』

 それだけではない。

 遥か昔に死んだはずの剣聖の技を、なぜ今このダークエルフが使えるのか。

 それが気がかりだった。

 三者三様、様々な攻撃を繰り出すが、全てかわされ、受けられ、流された。

 エグゼとビスタが一撃で吹き飛ばされる。

 ソウマだけがかろうじて、対等に渡り合えていあ。

 ソウマが最前線で戦い、その隙をエグゼとビスタが縫うように攻撃をあわせる。

 しかし、ラファエラの一撃は重い。 

 エグゼは剣を受け、吹き飛ばされ、ビスタは何度も地面に転がった。

 ソウマもかわしてはいるが、かすっただけで致命傷になるだろう。

「ちっ!ラチがあかない!」

 ソウマは大きく飛びのくと、渾身の力を両の手に込め、吼える。

「『我が一撃よ、最強の矛となれ!』」

 大地と大気が震える。目に見えぬ、巨大な力が、ソウマの両手には込められていた。

「『深淵流絶技・激震』っ!!」

 神速の拳がラファエラに迫る。

 エグゼの思考をもってしてもすべてを見切ることは出来なかった。

 最初はかわしていたラファエラも、徐々にかわし切れなくなっている。

 目にも留まらぬその拳は終わることなく、無数の流星のように降り注ぐ。

『馬鹿なっ!?』

 そのスピードはさらにまし避け切れなかった拳を、剣で迎え撃ち打ち落とす。

「無駄ぁっ!」

 ぴきっ、と何かが割れるような音の後。

 稀代の名剣が砕け散る!

『素手で魔水晶を砕くなど!?』

 魔水晶自体はそう固いものではない。しかし、魔法力を有してる際には、最硬を誇るラルファリオンをも上回るという。

 その魔水晶を砕くということは、魔水晶に蓄えられた魔法力を全て使い切ったことになる。

 剣を砕いてもなお、止まらない拳撃は、そのまま無防備になったラファエラにも突き刺さる。

「どうだ!」

 さすがのソウマも肩で息をしている。

 そして、その両手からは血が滴っている。

 魔水晶だけではなく、地上最も硬い鉱石で作られた鎧を全力で殴りつけたのだ。

 無事であろうはずがない。

「あの男は本当に人間かっ!?」

 味方のビスタもが驚愕する。

 魔力の通った魔水晶を人間が素手で砕くなど聞いたことがない。  

『いい攻撃でした。さすがの私もひやりとしましたよ』

 しかし、それでもなお、ラファエラは無傷で立っていた。

『この剣が砕かれるとは……。とはいえ、この鎧は砕くことが出来なかったみたいですね』

 確かに、鎧は砕けなかった。

 しかし、鎧で護られていない部分は無事ではすまなかった。

 手も足も、ありえない方向に曲がっている。

 見た目にも、勝敗は明らかだった。

「そんなにやられて、何を言ってやがる!勝負は着いたぞ!」

 ソウマが叫ぶ。

『おや、失礼。しかし、肉体が砕かれなければ……』

 ラファエラが何かつぶやくと、一瞬のうちに傷が元にもどったではないか!

「そんな……。まさか、魔法なのか?」

 エグゼがつぶやく。

 『黒いカーテン』が展開されてから、魔法力は等しく、全ての者からなくなったはずだ。

 それを、ミハエルだけは使えるとでも言うのだろうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ