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異人  作者: 蒼蕣
47/59

プレゼンの極意

申し訳ありません。投稿が遅れました。

「商品はできましたね」

「でもまだ油断はできませんな」

「ええ」

もう何回やったかもわからない会議もいよいよ終盤。班それぞれから二人ずつと部長を加えた計七人で執り行われる今回の会議。議題はズバリ…

「プレゼンテーション」

「まずは誰が発表するかを決めましょうか」

そう言ったのは第二班の課長島津さんだった。

「ここはやはり会社の顔である部長でしょうか」

そういうと一斉に部長の方を見た。

甲斐部長は手入れしたスキンヘッドに茶色いスーツを着込んだ人。

見た目こそ近より難い印象を受けるが、叱るときには叱り、褒める時には褒めるいい上司だ。

「いや、私よりも作った第三班の者がいいと私は思うが。質疑応答があるかもわからんし」

そういうと一瞬にして私に注目が集まった。

三班から参加しているのは私と円城寺くんだ。

「わ、私はあまり人前で話すのはちょっと…」

部下の手前見得を切りたいところだが、あいにくそんなプライドはここでは捨てるべきだと思った。

「何を言ってる。大人が人前で話すのを怖がってどうする?」

大友さんが言い放った。

事実、私は人前で話すのは苦手だ。ましてやたくさんの人が一斉に私のプレゼンに聞き耳をたてるのは…

「会議で君はよく発言するじゃないか。その要領で発表会もやってくれたら助かるんだが」

「何より作った本人でないと商品の意図を熱弁するすることはできないだろう」

新納さんと立花さんも私が適任だと豪語する。

私が答えを渋っていると…

「誠悦ながら課長に変わって私が発表させていただきたいのです」

私の気持ちを汲み取ってくれたのか、円城寺くんが自ら重みを背負うと言ってくれた。

「まあ鍋島さんなら問題ないでしょう」

甲斐部長の鶴の一声で風向きがが変わった。

「うむ。君なら安心だ」

みんな案外私のことは諦めてくれたようだ。

それほどまでに嫌な顔をしていたのだろうか自分は。

それともただ単に円城寺くんがみんなから信頼されているからだろうか。

とにかくなんとか危機は免れた。こういう時、お礼を兼ねて部下を食事に誘うべきだろうか。

「さて、じゃあ発表についてだが、やはり段取りというものが大事だと考える」

「そうですね。まず商品のアピールポイントを言ってそれから詳しく説明すると言った形が相手からの受けもいいはずです」

「前置きに今回のテーマ、ズバリ親子が共に遊べるという点も入れた方がいいかもしれません」

「もしパワーポイントなどを使うのであれば、文字を出したり、次のスライドに行く時のタイミングとかも大事なってきますね」

皆次々に演説の極意を口に出す。プレゼーテーションに至ってはこの場では自分は完全に新参者。

「あの、私からも一ついいですか」

しかし私も一つ、披露したことはないがずっと考えていたプレゼンの極意をみんなに伝授した。

「商品の説明をする際にわざと全て言わないことです。わざとこの商品にはまるで穴があるように演じ、質問を受ける際にあえてそこをつくよう誘導する。そこにご心配なくなどと言って答えを出せば、この商品には不備がないように見えるって寸法です」

「いいアイデアだが、本当にその質問が来るとは限らないのではないか」

大友さんが尋ねた。私もその質問をしたかったと言わんばかりにみんな頷いた。

「大手メーカーが集まる発表会ですから気づかないことはないと思いますが、万が一誰もそこに突っ込まなければ後付けすればいいんです。お客様の中にはこんなご心配をされているかもしれませんが、などと言えば…」

「なるほど、ぜひ参考にしよう。他にも色々な質問が来ることを想定してスクリプトを書こう」

発表会のスクリプト作りの会議はその後三日かけて行われた。

実に発表会の二週間ほど前だった。

みなさん、ご無沙汰しております。いかがお過ごしですか。

主人公が提案したこの技術。実際に私が運用していました。英語のプレゼンではできませんでしたが、日本語の方ではことば巧みに聴衆を誘導することに成功したと言えるでしょう。理由は単純で、成績が良かったからです。プレゼン自体は練習すれば誰でもうまくできるでしょう。しかし質問は事前に準備ができないので、その人のアドリブ力や、冷静さ、自信などが試されます。しかしあらかじめ用意した質問に上手く誘導すれば、焦ることなく的確に答えることができるわけです。みなさんはこのように実施しているスキルなどはお持ちですか。よかったらお聞かせください。

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