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異人  作者: 蒼蕣
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一致団結

時間が過ぎていくのが早い。

三班が主体となって発表会用の新商品の開発と改良を繰り返すこと数回、すでに発表会まで二ヶ月を切っていた。

開発部に頼んで作ってもらった商品、今目の前にあるのは試作品三号である。

もちろん実物を作る前に何回も企画部や開発部の人たちと会議をして商品の改良や変更を行うのだが、実物を作った後もそれは行われる。

実物を見て思っていたのと違かったりすることはよくある。会議で人の意見を聞き、それをできる限り実現させる。全て拾うことは難しい。が、会議に参加した全員の合意を得るまでは改良を繰り返す。

時にはここを変えたせいで別の問題が発生したということを実物を作ってからわかることもある。だから試作品を作るのは大事なのだ。開発部には二度手間になるかもしれないが。

中には前の問題とそれを変えたせいで生じた別の問題を同時に対処する方法に数日かかることもあり、今まで発売してきた商品の中にはどちらかの問題に目を瞑ったという事例もある。

妥協も必要だ。世の中には改良する余地がありながらも商品化に踏み切るところはたくさんあるはずだ。別に失敗作ではない、これも一つ戦略と捉えるのだ。売りに出せば、当然妥協した点を指摘する客が現れる。ならば、それをなくした商品を作り上げれば、再び儲かる。完璧なものが世に出回れば、それまで。それ以上の商品は生み出せないのだ。

しかし人間の思考は無限大。完璧に思えても必ず誰かが不備を指摘する。やはりどれだけ人が集まって知恵を絞っても完璧な製品は出来上がらないのだ。必ず何か弱点がある。しかしその弱点を逆手にとって新しい商品を開発できるというものだ。

今回の新商品試作品は三号どまりで、これが表品化されることが決まった。

正直もっと難航するかと思っていたが、企画部と開発部でいい連携が取れていたおかげでスムーズにことを運ぶことができた。

負けた一班と二班も渋々協力、ではなく積極的に取り組んでくれた。呉越同舟ではなく、一致団結である。

一班と二班はいらないという認識は誰も持っていない。私自身うちの班にはない知識や経験、思考を他の班は持っていると感じており、そこから学べるものもたくさんあった。三人寄れば文殊の知恵とはよく言ったものだ。うちの班だけじゃ考えもつかなかった提案や意見を次々と出してくれて、商品により一層磨きがかかった。

この商品は絶対売れるとこの場にいる誰もが胸を張っていえる商品ができたと言えるだろう。

まあただ、自信を持てば持つほど裏切られた時の絶望感や屈辱は計り知れない。もし万が一この商品が発表会で酷評を受けたら、きっと私たちの商品を作ることへの意欲は潰えるだろう。そしてこの空気は瞬く間に会社全体に蔓延し、最悪会社は潰れるだろう。それだけ今回の発表会は我が社にとって一世一代の大勝負だ。

しかし今はみんなこの商品をいかに完璧に近づけるかに必死で後のことなんて考えてもいられなかった。

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