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異人  作者: 蒼蕣
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企画部第三班の五人衆

「ではこれより第三班の定例会議を行います。今回の課題は発表会に向けた新商品の企画です。では早速ですが何かアイデアがある人はいますか」

私は少ししてから手を挙げた。

「はい、課長」

「まあそういきなりアイデアを出せと言われても困ると思います。なのでまずは具体的な商品を決めていきましょう。どんな商品を売り出すべきか。今の時期にあった商品、つい最近ブームになった商品、過去に売り出した時に一番売り上げが良かった商品、消費者アンケートで一番書き込みが多かった商品。いろんなことを視野に入れて発表会で発表する商品を決めてい来ましょう」

鶴の一声のように部下たちの顔つきが変わった。

「今まで世になかった製品を発売するより、従来のものに画期的なアイデアを積んだ製品の方が反響がいいと私は考えています」

楕円形の机の角に座っている私、正面のもう一つの角には誰も座っていないが、代わりに大きなホワイトボードがある。そして私から見てホワイトボードの左隣に座っているのが今回の会議の進行役、成松涼吾(なりまつりょうご)くんだ。くんと呼んでいるのは私の方が階級が高いためであって年齢はおそらく私よりいくつか上だと思う。

一応課長としての威厳を見せつつも、誰に対しても覚えたての敬語を忘れない配慮もしている。

自分より年齢の高い人が私に頭を下げて来るのは居心地が悪い。私は自分をえらく見せたくないのだ。

「今の時期にあったものといえば涼しいものですか」

そういったのは私の右隣に座っている江里口千里(えりぐちせんり)くん。彼は吸収力に長けており、彼が一番の努力家であり、私の教えに忠実だ。

「いや、発表は五ヶ月後だ。その時には十分涼しいだろう。だから時期を考えるんだった秋頃によく使うものだな。同様にブームなどの流行に関しても五ヶ月後にそれがまだ流行っているかわからない。流行の先取りを予測するか、もしくはこの流行は長い間続くと信じてそれにあった商品を作らなければならない」

そう答えたのは江里口くんの目の前に座っている百武通則(ひゃくたけみちのり)さん。彼だけさん付けなのは彼がこの班の一番の古参で私と二十歳近く歳離れているからだ。

「わかっていると思うがうちは玩具メーカー。子供を惹きつける商品でなければならないが、それと同時に親たちから見てもこれはいい商品、自分の子供が楽しめそう、教育にいい商品であると認識してもらわなければならない」

「課長、我が社のコアコンピタンスはなんといっても前例のない画期的なアイデア。であればすでに存在している流行に乗っかるよりは新しい流行を生み出した方がいいと私は思います」

私に向かって質問したのは木下亮介(きのしたりょうすけ)くん。彼は私とほとんど同じ歳の青年だ。

「もちろんそのつもりです。しかし革新的すぎると人々はついていけないと私は思うんです。流行の一歩先をゆく程度でも十分画期的と呼べると思います。100円ショップを思い出して見てください。彼らのモットーは顧客のこんなのあったらいいなの声を実現すること。顧客の想像の域を達した商品は彼らにとっては未知の世界、そう簡単に足を踏み入れてもらえるかどうかわかりません。これと同じで、こんなことができるなんて考えたことなかったという商品よりこんなこと逆になんで今までできなかったんだと思ってくれる商品がお客様の受けがいいと私は考えますが、いかがですか」

「ではやはり教育系の玩具でしょうか」

そう発言した円城寺敦(えんじょうじあつし)くんはこの班の中で一番頭がキレる。彼の考え方や物事の捉え方には学ばせてもらうところがいくつもある。

この五人が企画部第三班のメンバーである。

「そうですね、でもそういった商品はすでに世に多く出回っているのでそこから画期的なアイデアを引き出すのは苦労するかもしれません」

私の発言に皆考え込んだ。

みなさん、ご無沙汰しております。いかがお過ごしですか。たまたまでしょうか、なぜか2023年最初の話を読んでくれた方がいつもより五、六倍多かったです。嬉しいのですが、なんか不気味です。

前も言ったと思いますが、私は社会人ではないので、”定例会議”というものがどういうものか知りません。現実味に欠けるかもしれませんが、ご了承ください。”コアコンピタンス”という言葉も最近知りました。正直使い方があっているのか不安です。ところでですが、今回登場した五人組、何か気づいたことはありませんか。よかったらお聞かせください。

最後に先日確認したところ、この『異人』も残り四分の一程度に迫ってきました。長い間お付き合いくださり、本当にありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。

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