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異人  作者: 蒼蕣
37/59

立場

「白谷課長」

誰かに呼ばれた。それにしてもその役職も聞き慣れたものだ。悪い気はしない。しかし調子に乗って傲慢になってはせっかく築きあげた信頼関係が崩れてしまう。

この会社に入ってまだ一年ちょっとしか経っていない。

それでも私は自分の天職とでもいうべき、自分の才能をこれ見よがしと発揮できるこの職業を見つけ、着実に自分の存在価値を上げている。

すでに企画部長が仕切る三つの班のうちの一つの長になっていた。

商品企画、開発部の席には必ず出席し、営業部の重役たちと日々議論を交わす。

自分自ら新商品のプレゼンをするということは少なくなり、代わりに部下が紹介する新商品にアドバイスをすることが多くなった。

上司の中には自分の考えが全て正しいと思い、自分の思想を部下に強制しようとするものがいるが、私はあくまで部下一人一人の考え方を尊重し、彼らが考えた新商品のアイデアに一工夫加える程度だった。

もちろんその新商品を売り出す時には部下の名前を使う。しかしそれでも部下たちには私の考えが十分に浸透していた。

一から私が考えた商品と比べて、売り上げはやや落ちるが、それでも私の入れ知恵が入った我が班の商品は他のどの班が作った商品よりも売り上げは好調だった。

企画部の三班常にせめぎあっている。私が来る前まではこの三班はどれも拮抗していたが、私が第三班に配属されると、その差が徐々に開いてきた。

おかげで部下たちからの信頼も上々で、班一丸となって商品企画に取り組むことができるようになった。

しかしそれと同時に他の班、特に同じ階級である課長たちからは煙たがられていた。

それもそのはず。相手が何年も苦労してようやく上り詰めた地位を、自分はわずか一年で追いついてしまったのだから。

おそらくその時の彼らの目はあの施設にいた時に、飛び級してAランクに難なく上がってきたエリートを見る私たちの目と似ていただろう。

流石に社会人にもなって小、中学生がやるようないじめはしてこなかった。

私としては多少邪魔されてくれた方が、帰って燃えるのだが、彼らはただ睨むだけだった。

私と彼らの実力差を認めてくれているということだろうか。

しかしついにある時、別の班の社員が自分の班から離脱し、私の班に入れてくれるよう懇願して来る事態が起きた。

いつしか私の班は出世コースと呼ばれ、私の班にくれば早く出世できるという迷信が広まっていた。

それを信じた社員が次々に自分の班を抜けるようになったのだ。

中には別の部から願い出て来る社員も現れた。

これには他の課長たちも怒り、私たちの班に嫌がらせをするようになった。

小さいものでは嫌味を言う程度だが、中には企画した新商品のデータを盗むと言うことまでしてきた。

もちろんこのことは企画部部長にバレ、その人物は大目玉を食らった。

しかしそれでも嫌がらせは続き、我が班の会議を盗み聞いては、私どもより先にそのアイデアを商品化して発表したり、ようやく出来上がった試作品にわざとお茶をこぼしてダメにしたり、部下の一人に下剤を飲ませ休ませたりと私たちの覇道をことごとく阻んできた。

これを摘発しようにも証拠が不十分だったため、私たちはだんまりを続けるしかなかった。

私にもっと力があればよかったのかもしれないが、意欲が湧かない。私はなにも会社にいる全員から信頼を得られるとは思っていない。私のことを好く人もいれば嫌う人もいるのは当然の道理だ。彼らを懐柔するよりかはすでに好いている人との関係を深めていったほうが効率がいい。

しかしそんな消極的な私とは裏腹に部下たちは孤立無援の中奮闘し、そんな嫌がれせには絶対屈しないと宣言するばかりに次々と画期的な新商品を企画し続けた。

いつしか私も彼らの熱意に押され、彼らの新商品作りに全力を注ぐようになった。

みなさん、ご無沙汰しております。いかがお過ごしですか。日本では寒い日が続いているようですね。お体にお気をつけください。こちらでも例年より雪が降る日が多い気がします。異常気象というやつでしょうか。そういえばここ数年カナダの夏が異様に暑く感じます。正直眠れないほどです。そろそろ宇宙の他の惑星へお引越しですかね…

それではみなさん、メリークリスマス。

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