第2話 隣、よろしいでしょうか?
翌日、エルンは朝から料理をしていた。
昼に公園でサンドイッチを食べる為自分の分を作り、同時に両親が家で食べる分も作っておく事にした。
去年のオーブンの件以来、料理のイロハをエリルから教わっていた。
その甲斐あって料理の腕は数段上がった。
時計を見ると、もう九時前になっていた。
エルンは落ち着いていられず、ソファで寛いでいるエリルに、そっと尋ねた。
エルン「お母さん、そろそろ行ってもいいかな?」
エリル「いいけど、本当に気をつけるのよ。変な人が来たら逃げるの、いいわね?」
エルンは嬉しそうな笑顔で返事をする。
エルン「うん、分かった!じゃあ行って来る!」
そう言って台所に、本とサンドイッチの入ったバスケットを取りに走る。
そのまま廊下を走って玄関に向かう。
エリル「時間迄に戻るのよ」
エルン「はーい」
玄関のドアを閉めて、エルンは出発した。
今日は天気も良いし、エルンの気分も爽快だった。
家から一キロ程の所に公園はあった。
これから念願の「公園で読書」が叶うのである。
そして、公園の敷地内に入った。
エルンはいつも両親と来ていた時に座っていたベンチに向かう。
そして遂に一人でベンチに座った。
少し公園の空気を愉しんだら、少し周りを見てみた。
これといって特に怪しそうな人は居ないし、他の人も疎らにしか居なかった。
エルンは安心してバスケットの中から一冊の本を取り出した。
そして読みかけのページを開くと次第に読み耽った。
耽読してるエルンは周りの変化には気付かなかった。
エルンの正面にある大きな噴水の方から背の高い黒いタキシードの男性が美姿勢で歩いて来る。
タキシードの男性は本を読むエルンの前で立ち止まって言った。
男性「申し訳ありません。お隣、よろしいでしょうか?」
その声に気付いたエルンは咄嗟に。
エルン「あ、どうぞ!」




