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第2話 風呂から三貴子、岩戸の前で神々ライブ

イザナギが禊をしたら、アマテラス、ツクヨミ、スサノオが生まれます。

そこから姉弟喧嘩、天岩戸、そしてオロチ退治へ。

風呂と引きこもりと酒が世界を動かします。古事記、なかなか自由です。


第四章 ~ みそぎ ~ 風呂に入ったら子供が増えた件 ~


黄泉の穢れを洗い流すため、イザナギは川で体を洗った。


ただの入浴シーンのはずだった。


ところが、脱いだ服から神が生まれ、洗い流した汚れから神が生まれ、水に入るだけで神がポコポコ生まれた。


そして最後に、イザナギが顔を洗ったとき――


左目を洗ったら、天照大御神アマテラスが生まれた。太陽の女神。


右目を洗ったら、月読命ツクヨミが生まれた。月の神。


鼻を洗ったら、建速須佐之男命スサノオが生まれた。嵐の神。


「……風呂入っただけで子供三人できたんだけど」


イザナギは疲れた顔でこう言った。


「アマテラス、お前は天を治めろ。ツクヨミ、お前は夜を治めろ。スサノオ、お前は海を治めろ」


役割分担まで即決。ベンチャー企業の創業者みたいなスピード感である。


アマテラスとツクヨミは「はい」と素直に従った。


スサノオだけが泣き叫んだ。


「やだ! 海なんかやりたくない! お母さんに会いたい! ママー!!」


成人男性(神)が地面に転がって号泣している。


山は枯れ、海は干上がり、あらゆる災いが起きた。泣いてるだけで天災を起こすな。


「うるさい! お前は追放だ!」


イザナギ、息子を勘当。


スサノオは「じゃあ最後にお姉ちゃんに挨拶してから行くわ……」と、天(高天原)にいるアマテラスのもとへ向かった。


第五章 ~ スサノオVSアマテラス ~ 姉弟でも容赦しない ~


スサノオが高天原に近づくと、山河が揺れ、大地が震えた。


アマテラスは思った。


「あいつ絶対、私の国を奪いに来た」


完全武装。髪を解いてみずらに結い、矢を千本背負い、弓を構え、地面を踏み鳴らしながら弟を迎えた。


「おい、何しに来た」


「い、いや、挨拶に来ただけで……」


「嘘つけ。証拠見せろ」


「じゃあ誓約うけいしよう! 俺の心が清ければ、女の子が生まれるはず!」


アマテラスはスサノオの剣を噛み砕き、息を吹きかけた。三柱の女神が生まれた。


スサノオはアマテラスの玉を噛み砕いて息を吹きかけ、五柱の男神が生まれた。


「ほらっ、女の子生まれたでしょ! 俺の心は清い! 勝ち!」


「いやそれ私の剣から生まれたんだから私の子では……? あと勝ちとかそういう話じゃ……」


だがスサノオは聞いていなかった。


「勝った勝った! やったー!」


調子に乗ったスサノオは高天原で暴れ始めた。


- アマテラスの田んぼの畦を壊す


- 神殿にうんこする


- 機織り小屋に皮を剥いだ馬を投げ込む


特に最後のやつで機織りの女神が一人死んだ。


完全にアウト。


第六章 ~ 天岩戸 ~ 日本最古の「推しのライブ」~


アマテラスはキレた。


キレた結果、天岩戸あまのいわとに引きこもった。


太陽の女神が引きこもった結果、世界は完全な闇に包まれた。


あらゆる災いが起き、悪い神々が暴れ回った。


推しが配信やめたらこの世の終わりだった。


八百万の神々が緊急会議を開いた。議長は知恵の神・思金神オモイカネ


「どうやってアマテラスを出す?」


作戦はこうだ。


まず、常世の鶏を集めて鳴かせた。「朝だぞ」というフェイクニュースである。


次に、天鈿女命アメノウズメが岩戸の前で踊り始めた。


桶の上に乗り、胸をはだけ、腰紐をほどき、ほぼ全裸で激しく踊った。


ストリップである。


八百万の神々は大爆笑した。


「あっはっは! ウズメちゃんサイコー!」


「いいぞもっとやれ!」


岩戸の中からアマテラスが不思議に思って声をかけた。


「ねえ、なんで外そんなに楽しそうなの? 私がいなくて暗いはずでしょ?」


ウズメが答えた。


「あなたより貴い神様が来たんですよー! だからみんな喜んでまーす!」


煽りスキルが高い。


アマテラスは気になって岩戸をちょっとだけ開けた。


その瞬間、鏡を見せられた。自分の姿が映っている。


「えっ、この綺麗な神って……?」


気を取られた隙に、力自慢の天手力男神アメノタヂカラオが岩戸をこじ開け、アマテラスを引きずり出した。


すぐにしめ縄が張られ、「もう戻るなよ」と封印された。


世界に光が戻った。


教訓:推しは引きこもらせるな。


第七章 ~ スサノオ、追放先でなぜかヒーローになる ~


スサノオは高天原を追放され、出雲の国に降り立った。


川に箸が流れてきた。


「人がいるな」


上流に行くと、老夫婦が美少女を挟んで泣いていた。


足名椎アシナヅチ手名椎テナヅチ、そして娘の櫛名田比売クシナダヒメ


「どうしたの」


「八岐大蛇ヤマタノオロチという八つの頭を持つ化け物が毎年娘を食べに来るんです。娘は八人いたのに、もう最後の一人で……」


「八つの頭!? かっけー! ……じゃなくて、大変だね。俺が退治してやるよ。代わりにこの子くれ」


交渉が早い。


「あなた様は一体……?」


「アマテラスの弟だけど?」


老夫婦、即土下座。


スサノオの作戦はシンプルだった。


「酒を八つの桶に入れて置いておけ」


ヤマタノオロチがやって来た。八つの頭がそれぞれ酒桶に突っ込み、がぶ飲みを始めた。


「「「「「「「「うめぇ~~~」」」」」」」」


全ヘッド酔い潰れた。


スサノオ、酔っ払って動けなくなったオロチをメッタ斬りにした。


「ズルくない?」と誰かが思ったかもしれないが、勝てばよかろうなのだ。


尻尾を切ったとき、剣に何かが当たった。中から出てきたのが草薙剣クサナギノツルギ。後に三種の神器の一つとなる伝説の剣である。


「おー、いい剣。姉ちゃんにあげよ」


さっきまで姉の神殿にうんこしてた男とは思えない殊勝さである。


こうしてスサノオはクシナダヒメと結婚し、出雲に新居を構えた。


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