第六回「本当に悩むべき事ですか?」
第六回「本当に悩むべき事ですか?」
青年と美しい女が、地球環境について熱弁を振るう博士の講演会を聞いていました。
一番後ろの席に二人で並んで座り、女は真剣に公演を聞いていました。
「見てください、あのグラフ。この百年で地球の平均気温は一度も上がってしまったのですよ」
「まぁね。人間のした事だから、仕方が無いよ」
女とは対照的に、青年は講演の内容に対して興味がなさそうでした。
「このまま温暖化が進めば、様々な異常気象によって、多くの人が苦しむかもしれません。北極海の氷が解けて、海面上昇によって水没する土地が出ます。砂漠化や、水不足、他にも色々な事が心配です」
講義で取り入れた知識で、さっそく女は心配そうに言い募ります。
けれど青年はどこか冷めた表情で問いました。
「この地球はいつも同じ温度だった訳じゃない。氷河期って知ってるよね?」
「え、えぇ。知ってはいますけど」
温暖化の話と何の関係あるのかさっぱりといった様子の女に、青年は再び問いました。
「氷河期は、物凄く寒そうじゃないか?」
「それは寒いですよ! きっと多くの物が氷漬けです」
そこで少しだけ笑った青年は、肩を竦めて言いました。
「氷河期の温度は平均気温で言うと、今から二度から四度程低かったんだって」
「え?」
「百年で一度上がったぐらい、別に驚くほどじゃないでしょ?」




