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第四回「壊された町」
第四回「壊された町」
とある赤レンガの美しい町並みがありました。
古い建物ばかりですが、かつて城壁の中で作られたその都市は、円形の奇麗な形をしています。
美しい女はそんな町並みを高いビルの上から見下ろしていました。
「奇麗だわ。歴史あるものは、人間の奥深くにある郷愁の念を呼び起こすものね」
「確かに、ここからの眺めは・・・良いんだけどね」
青年は眼下の町並みに感嘆する女とは打って変わって、近代的な鉄筋の建物のガラスに手を置いて、小さくため息をつきました。
眼下の美しい町並みは、そこからはとても遠い。
「あら。ここからの景色は美しく無い?」
女の問いに、青年は肩を竦めました。
「美しいとは思うんだ、だけどね」
「だけど?」
青年は女を見ながら、はっきりと言いました。
「レンガ造りの町並みのど真ん中に、こんなモダンな高層ビルが建っているのは、他の場所からじゃ見られた物じゃないよ」




