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天使と悪魔の語り  作者: Mr.X
第一編
3/8

第三回「どっちが幸せ?」

第三回「どっちが幸せ?」



 とある牧場で、美しい女は美味しそうに搾りたてのミルクを飲みました。

「やはり搾りたてに限ります。これを飲んだら他は飲めません。あなたもどうですか?」

「いや。僕はそんな哀れな牛から搾ったミルクは飲みたくない」

青年の憎悪を含んだ言葉に、女は首を傾げました。

「哀れ・・・可哀そうって事ですか?」

「そうさ! この乳牛は調合した餌を与えられ、常に妊娠状態を保つようにされているんだ。お陰でミルクは沢山出るけど・・・」

そこで青年は言葉に詰まり、女は優しく先を促しました。

「・・・そのせいで、この乳牛は十年しか生きられない」

「まぁ。そうだったの」

飲みかけのミルクを見下ろしながら、女は問いました。

「では、どうしたら可哀想でなくなるの?」

「もちろん普通に生きるのがいい」

青年は即座に答えました。

「普通って、どんな風に?」

「調合された餌を与えられずに、無理やり妊娠なんかさせられない。そうすれば、乳牛は二十年も生きるんだよ」

女は青年の言葉を考えながら、しばし沈黙した後に、もう一度問いました。

「乳牛って、最後はどうなるんですか?」

「もちろん食肉になるんだよ」



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