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第二回「何が奇麗?」
第二回「何が奇麗?」
とある花屋の店先で、青年が嘆いていました。
「見てくれよ、この花」
「まぁ、美しい花ですね」
色とりどりの花の中から、美しい女は青い薔薇を一輪抜きとって嬉しそうに笑いました。両手でそっと掴み、胸の前で薔薇を持って微笑みます。
「科学とは素晴らしいものですね」
「どこが良いんだよ。この花は、こんな色に染まりたいって言ったのかい?」
女とは対照的に、青年は寂しそうです。
そして怒りを隠すことなく、吐露しました。
「青い薔薇は不可能の象徴なのに、こんな事をして何が面白いんだろう」
「努力の先に生み出したものは、すべからく素敵ですよ」
そういって女が慰めても、青年は落ち込んだままです。
「・・・こんな風に命を弄んでいたら、きっと人間は罰を受けるよ」
暗い表情で青年はそう言いました。
けれど女はその言葉に瞬きをして、驚いた顔をしました。
「そうでしょうか? 私はそうは思いません」
青年は顔を上げると、笑顔を浮かべる女を見つめました。
「だって、ここの花は全て、人間が美しく育てたんですよ」
「そうか、そうだね。じゃあ全部、美しくなんてないよ」




