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ここは世界で一番空に近い檻 ディストピア一歩手前のオメガバースの世界で運命の番が幸せになるまで  作者: 庭師K炎


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健やかな眠り みつきのお留守番の日々5

忍者疑惑と

 カミユくんのおかげで、震えは思っているよりも早く収まった。

 いそいそとヴァルティさんのシーツと枕を自分の部屋へ運び込み、大事に枕元に置いておく。


 ……ちなみに、閃いてしまって、昨日匂いを失ってしまったヴァルティさんのシャツをシーツと枕の間に大事に挟んでおいた。


 こうしておけば、匂いがまたシャツに移る可能性がある。


 シーツと枕カバーは、明日の朝にどうしても洗わなければいけない。枕自体は干す予定だ。


 返却が決まっているものと、すでに自分が譲り受けたもの。


 ふふふ、と、自分でも気持ちの悪い暗い笑みを浮かべてから、リビングへ戻った。





 夜に麻婆豆腐を作っていたら、カミユくんに盛大に驚かれた。

 なんだと思ったら、お豆腐を手のひらで切ったのがあまりにも衝撃的だったらしい。


 手のひらが包丁で切れていないことまで確認して携帯で撮影されてしまう始末。


 そこから、カミユくんの話題が忍者一色になってしまって、どこでΩの知識を得たのか、聞くタイミングもなかった。


 もしかしたら、それはそれでカミユくんの気遣いだったのかもしれない。

 とりあえずカミユくんにとって私は、Ωという肩書きだけでなく、忍者疑惑という肩書きがつけられた様子だった。



 カミユくんはお風呂から上がると、なんだかソワソワして部屋へ引っ込んで行ってしまった。

 その視線が、まだ私を忍者だと疑っているのだと分かったから、そっとしておいた。


 お家に折り紙、あったかな? 手裏剣作ってあげたら喜んでくれたりして。


 そんなことを考えながら、お風呂へ。

 カミユくんはなぜかお風呂に入ったあと、必ずお湯を抜いて浴槽を綺麗に洗っておいてくれる。


 今日も新しいバスボムを一つ使って、新しいお寿司のおもちゃをゲットして上機嫌だった。

 友達がくれた和菓子シリーズのバスボムもあるんだよ、と伝えたらどうなるか、面白そうだからタイミングを見計らっている。


 お湯を入れ直して、私は最近のお気に入りのバスソルトを少しだけ入れる。

 お風呂に入って、感動したのは久しぶりのことだった。


 だって、髪が短い!!

 洗髪がすっごく楽!!

 トリートメントの量が、いつもの半分以下だ!!


 お風呂上がりにも感動した。


 抜け毛なんかを集めて捨てる楽さよ。

 きっとこの先、排水口のゴミ取りをちょっと数日サボったせいで水が詰まるだとか、ホラー映画さながらのべっちゃりした黒髪が、ヒイィィィッ、て出てくることはない、……はずだ。


 うきうきの気分で、浴室を出た。


 あ、そうだ。昨日も忘れてたんだけど、ヴァルティさんがいないから、このあとお風呂のお湯を抜いておかなくちゃ。


 身体を拭いて、髪を乾かすためにドライヤーを使い始めて、また感動した。

 すぐ乾くー!!


 終始上機嫌で、私はカミユくんにおやすみと告げて、寝床へ入った。


 シーツと枕で挟んでおいたシャツを大事に畳んで、クローゼットの奥に仕舞い直すことを忘れない。


 そして、ヴァルティさんの枕を抱きしめて、シーツに包まって、ニヤニヤが押さえられないまま、眠りに就いた。


 なんだか久しぶりに感じた、とても健やかな眠りだった。





みつき

カミユ

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