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ここは世界で一番空に近い檻 ディストピア一歩手前のオメガバースの世界で運命の番が幸せになるまで  作者: 庭師K炎


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よくある(?)携帯購入風景と少し早い昼食

+幕間

 隣でカミユがひどく落ち込んでいる。

 理由は明確だ。


 携帯を買いに、秋露が予約しておいてくれた店に来る前に寄ったコンビニで、お目当てのタマゴサンドに出会えなかったからだ。


 コンビニ自体は他にも二、三店舗あったのだが、どうもこだわりがあるらしく、一応と店内に入って確認もしてみたが、やはり思っていたものはなかったらしい。


 あまりのショックでコンビニのラインナップ自体をじっくり見ることを忘れてしまい、時間が来たので予約の店に向かい、今に至る。


 お座りを命じられたまま、公園に忘れていかれてしまった不運な飼い犬のように、しょんぼりとうなだれている。


「……みつきサンへのお土産買うのまで忘れた……」


 一番しょぼくれている理由はそれか、と納得したところで、担当者が現れて、俺たちを別室へと案内した。


 国の要人(Dr.水実秋露)から、国の要人(高位αの研究協力者)を紹介されたら、国際的な有名人 (ヴァルティ・ノーススター)が来た。


 まだ他の客が少ないうちに個室に案内してしまうのが正解だと判断を下した店長の行動は正しいと俺も思う。


 そして、カミユの携帯の購入とすべての手続きが終わるまでの一時間半、俺たちは思ってもいない好待遇を受けてしまったのだった。




 

「やったぜ、新しい携帯。思ってたよりも早く終わったね」


 買ったばかりの携帯をひとしきり眺めて、カミユはそれをポケットに突っ込んだ。


「確かに。昔、携帯買い替えたときは、たらい回しにされたもんな」

「あれほど時間の無駄だと思ったことはないよ」


 それに比べて、この国は。

 必要だろうと思った書類やパスポートなんかすべて持参していたからとはいえ、丁寧な対応と、丁寧な説明と、上質なコーヒーと菓子まで出してくれての対応だった。(ちなみに菓子はカミユが全部食べた)


「最悪、昼飯を諦めて、お前を携帯ショップに置いていって午後の予定をこなすかとも考えてたんだが、そんな必要がなくて助かった」

「ええ? 飯抜くのはやめたほうがいいよ?」

「だから助かったって言ってるだろ?」


 笑い合って、目的の店の前に立った。


「昼飯時間よりちょっと早い」

「まあ、朝が少なかったから、早くてもいいだろ?」

「もちろん。もらったお菓子じゃ足りないし」


 そして、目の前の店を見やる。


「いい匂いしてるね。何のお店?」

「えーっと、みつきオススメの、……ラーメン?」

「行くよ、ルティ!! 早く入ろう!!」


 ちょうど、開店準備をしに外へと出てきた店員が俺たちを笑顔で招いた。

 カミユに腕を引っ張られ、俺たちは一番乗りで店に入った。





幕間(第三者視点)

 ヴァルティとカミユは店員から、今日のオススメランチセットを勧められて、それを大盛りで頼んだ。


 濃厚スープとあっさりスープを半々で割った特別仕様に二種類のチャーシュー、メンマ、ネギ、もやし、味玉が二個乗った贅沢なラーメン。そして、鶏油で炒めた黄金色の炒飯。その上にラーメンにも乗っているチャーシューがふわりと一枚乗せられていた。


 カミユはそれをペロリと完食し、ヴァルティはもう一杯、店長オススメのチャーシュー麺を追加で注文した。


 二人は大満足で、美味しかったと伝えて席を立った。

 店長がこっそり「ファンです」と告白してきたから、握手で答えた。他の店員たちにもだ。


 店を出るときには店内はすでに混み始めていて、彼らはすぐに仕事に戻り、店を出て振り返ったときには、店の前には行列ができ始めていて、二人は驚きながらも足早にその場から離れた。





ヴァルティ

カミユ

携帯店店員

ラーメン店店員

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